<薬局薬剤師向け>【地域支援体制加算対応】OTC医薬品48薬効群の商品リストと配置のポイントを解説
2024年調剤報酬改定で、保険薬局の地域支援体制加算の要件に健康サポート薬局と同様の48薬効群のOTC医薬品の取り扱いが追加されました。その詳細や取扱いをおすすめする商品を解説します。
目次
- 1 地域支援体制加算とは
- 2 48薬効群の商品選定のポイント
- 3 48薬効群おすすめのOTC医薬品
- 4 OTC医薬品例
- 4.1 かぜ薬(内服)
- 4.2 解熱鎮痛薬
- 4.3 催眠鎮静薬
- 4.4 眠気防止薬
- 4.5 鎮うん薬
- 4.6 小児鎮静薬
- 4.7 その他の精神神経用薬
- 4.8 ヒスタミンH2受容体拮抗剤含有薬
- 4.9 制酸薬
- 4.10 健胃薬
- 4.11 整腸薬
- 4.12 制酸・健胃・消化・整腸を2以上標榜するもの
- 4.13 胃腸鎮痛鎮けい剤
- 4.14 止瀉薬
- 4.15 瀉下薬(下剤)
- 4.16 浣腸薬
- 4.17 強心薬(センソ含有製剤等)
- 4.18 動脈硬化用薬(リノール酸、レシチン主薬製剤等)
- 4.19 その他の循環器・血液用薬
- 4.20 鎮咳去痰薬
- 4.21 含嗽薬(うがい薬)
- 4.22 内用痔疾用剤・外用痔疾用剤
- 4.23 その他の泌尿生殖器官及び肛門用薬
- 4.24 滋養強壮保健薬(ビタミンなど)
- 4.25 その他の滋養強壮保健薬
- 4.26 婦人薬
- 4.27 その他の女性用薬
- 4.28 抗ヒスタミン薬主薬製剤
- 4.29 その他のアレルギー用薬
- 4.30 殺菌消毒薬(特殊絆創膏を含む)
- 4.31 しもやけ・あかぎれ用薬
- 4.32 化膿性疾患用薬
- 4.33 鎮痛・鎮痒・収れん・消炎薬(パップ剤を含む)
- 4.34 みずむし・たむし用薬
- 4.35 皮膚軟化薬
- 4.36 毛髪用薬(発毛、養毛、ふけ、かゆみ止め用薬等)
- 4.37 その他の外皮用薬
- 4.38 一般点眼薬、人口涙液、洗顔薬
- 4.39 抗菌性点眼薬
- 4.40 アレルギー用点眼薬
- 4.41 鼻炎用内服薬、鼻炎用点鼻薬
- 4.42 口腔咽喉薬(せき、たんを標榜しないトローチ剤を含む)
- 4.43 口内炎用薬
- 4.44 歯痛・歯槽膿漏薬
- 4.45 禁煙補助剤
- 4.46 漢方製剤、生薬製剤(他の薬効群に属さない製剤)、生薬主薬製剤
- 4.47 消毒薬
- 4.48 殺虫薬
- 5 OTC医薬品48薬効群に関する調査を行っています
地域支援体制加算とは
地域医療に貢献している薬局を評価するために行う診療報酬の加算のことを地域支援体制加算と言います。2018年から新設されたもので、改定のたびに見直しがされています。
2024年度の改定では、地域の医薬品供給拠点としての役割を発揮するための体制がある薬局かどうかを評価するために見直され、以下などの要件が追加されました。
- 健康サポート薬局と同様のOTC医薬品48薬効群の取り扱い
- 緊急避妊薬の備蓄・相談体制の整備
- たばこの販売禁止(併設する医薬品店舗販売業の店舗を含む)
- 当該保険薬局の敷地内における禁煙の取扱い
調剤薬局でOTC医薬品の取扱いは増えるの?
今回の改定をきっかけにOTC医薬品の配置をして、地域住民が気軽に市販薬の選択や健康相談のために立ち寄るような存在になろうと動き出す薬局もあるのではないでしょうか。以下、令和6年度調剤報酬改定 疑義解釈資料(厚生労働省)の抜粋です。
地域支援体制加算の施設基準において、要指導医薬品及び一般用医薬品の販売は、「48 薬効群の品目を取り扱うこと」とされているが、48 薬効群の医薬品全てを薬局で備蓄しておく必要があるのか。
(答)そのとおり。購入を希望する来局者の求めに応じて、適切な医薬品が提供できるよう、薬局に必要かつ十分な品目を常備している必要がある。
厚生労働省 令和6年度調剤報酬改定 疑義解釈資料の送付について(その1)より
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/iryo_shido/000328786.pdfしかし、一部の薬局からは、「売れることが見込めない」「ドラッグストアで多数の扱いがある中、薬局に置く必要があるのか」といったネガティブな声や戸惑いの声も挙がっています。
また、48薬効群のOTC医薬品を取り揃えようとしても、どうしたら良いかわからないといった声もあります。今回は、48薬効群の商品を選ぶ際のポイントや、具体的な商品例などを紹介します。
48薬効群の商品選定のポイント
配置する商品点数は?
薬局の立地や来局者層などに応じて、相談が多いカテゴリーは複数品配置して、提案する機会の少ない薬効群は1品のみとする実践的な配置がポイントになります。
例えばカテゴリー「解熱鎮痛薬」では、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の単剤とアセトアミノフェンの単剤を2品配置することで年齢や来局者の背景によって幅広い対応が可能となります。
1品だけ配置する場合
もし、カテゴリー「鎮うん薬」において乗り物酔い薬を1品だけ配置する場合などは、小児から大人まで使用できる年齢の幅が広い商品を選ぶと良いでしょう。15歳以上の商品を選ぶと「子供用の酔い止めがほしい」といった相談に対応できなくなってしまいます。
選ぶならメジャーな商品?マイナーな商品?
広告が頻繁に流れるようなメジャーな商品は来局者の目を引くメリットがありますが、ドラッグストアなどの量販店で特売されることもあり、薬局で配置した場合の価格と比べてだいぶ差が出てしまうケースがあります。
そういった点では、あえてマイナーな商品を薬局に配置することも一つの手です。マイナーな商品を販売した場合、「この薬局にしか売ってないんだよね」と再来局につながるケースもあります。
採用する商品のサイズは?
サイズが複数ある商品は、基本的には大きなサイズの方が来局者にとって割安となります。ただし、かぜの症状や胃腸の症状などは、OTC医薬品を数日使用しても症状が改善しない場合には、医療機関を受診することも重要であるため、小サイズで対応が十分なケースが多いでしょう。
また薬局では、定価で販売した場合に、小サイズほどドラッグストアなどの量販店との価格差はつきにくい傾向にあるため、小サイズを選ぶことも一つの手です。価格は来局者が重視する要素の1つであり、軽視できません。
使用上の注意に着目して選ぶ
使用上の注意が多い商品と少ない商品では、少ない商品の方がより幅広い来局者への対応が可能となるでしょう。例として総合感冒薬の中でも高血圧で治療中の方が、してはいけないこと(禁忌)の商品がある一方で、高血圧に関して注意がなく、服用が検討できる商品もあります。このように使用上の注意に着目して商品を選ぶ方法もあります。
少数精鋭のラインナップを
現在の薬局は、医療機関のまわりのいわゆる門前薬局を中心に調剤に偏重し、OTC医薬品の取り扱いが少ない薬局も多いことから、薬局は『調剤だけをしてくれるところ』と認識している住民もいることでしょう。一方で、ドラッグストアなどの量販店は、広大なスペースに、かぜ薬だけでも100品目を超える品揃えの店舗もあります。
処方せん調剤を主としたいわゆる調剤薬局では、配置スペースが問題となり、かぜ薬でも置けたとしても2〜3品目のケースが多いと考えます。それでも地域住民の健康サポートに貢献できるよう、少数精鋭の工夫した商品を選んで有効活用し、地域住民が気軽に市販薬の選択や健康相談のために立ち寄るような存在の薬局を目指しましょう。
48薬効群おすすめのOTC医薬品
今回は、あくまでも例としておすすめの商品(令和6年5月時点)を選んでいます。実際は、上記で解説したポイントをご参考いただき、各薬局でベストな商品を選んで配置しましょう。
各商品の違いなどはOTC医薬品の検索・比較サイトであるCureBell(キュアベル)を参考にするのもよいでしょう。薬効別に商品の検索ができ、各商品の詳細がわかるだけではなく、詳細に比較して商品の選定をすることができます。
また、CureBellでは、添付文書が参照できたり症状や病態、妊婦授乳婦、飲み合わせなどの禁忌を勘案した商品の絞り込みができ、商品選定に役立つでしょう。
<CureBell>
https://curebell.jp/
OTC販売支援ツールを用いると、来局者に対するOTC医薬品の詳細情報の提供や薬剤師による詳細な説明が促進でき、選定・備蓄した商品をロスすることなく適切に販売することができます。『Dカウンセラーneo』はウィルベース社が提供するタブレット端末アプリで、ドラッグストア等1,600店が導入しています。OTC販売を推進しようとする保険薬局においても、強力な武器になることでしょう。
<Dカウンセラーneo>
https://www.willbase.co.jp/service/dcounselor.html
OTC医薬品例
かぜ薬(内服)
解熱鎮痛薬
催眠鎮静薬
眠気防止薬
鎮うん薬
小児鎮静薬
その他の精神神経用薬
ヒスタミンH2受容体拮抗剤含有薬
制酸薬
健胃薬
整腸薬
制酸・健胃・消化・整腸を2以上標榜するもの
胃腸鎮痛鎮けい剤
止瀉薬
瀉下薬(下剤)
浣腸薬
強心薬(センソ含有製剤等)
動脈硬化用薬(リノール酸、レシチン主薬製剤等)
その他の循環器・血液用薬
鎮咳去痰薬
含嗽薬(うがい薬)
内用痔疾用剤・外用痔疾用剤
その他の泌尿生殖器官及び肛門用薬
滋養強壮保健薬(ビタミンなど)
その他の滋養強壮保健薬
婦人薬
その他の女性用薬
抗ヒスタミン薬主薬製剤
その他のアレルギー用薬
殺菌消毒薬(特殊絆創膏を含む)
しもやけ・あかぎれ用薬
化膿性疾患用薬
鎮痛・鎮痒・収れん・消炎薬(パップ剤を含む)
みずむし・たむし用薬
皮膚軟化薬
毛髪用薬(発毛、養毛、ふけ、かゆみ止め用薬等)
その他の外皮用薬
一般点眼薬、人口涙液、洗顔薬
抗菌性点眼薬
アレルギー用点眼薬
鼻炎用内服薬、鼻炎用点鼻薬
口腔咽喉薬(せき、たんを標榜しないトローチ剤を含む)
口内炎用薬
歯痛・歯槽膿漏薬
禁煙補助剤
漢方製剤、生薬製剤(他の薬効群に属さない製剤)、生薬主薬製剤
消毒薬
殺虫薬
OTC医薬品48薬効群に関する調査を行っています
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