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薬剤師が教える！ストレスによる症状にあったくすりの選び方（身体や心の不調）

更新日: 2024年10月31日

現代社会は、ストレス社会ともいわれます。現代人とストレスは密接な関係にあり、日頃ストレスを感じている方も多いでしょう。過剰なストレスは様々な体調不良をもたらすことがあります。
身体的な不調としては、頭痛や肩こり、腹痛、下痢などのほか、胃・十二指腸潰瘍などを引き起こすこともあります。精神的な不調としては、不安やイライラ、気分の落ち込み、不眠などがあり、重症化するとうつ病などになってしまうこともあります。

そんなストレスによる症状にまず市販薬を活用して様子を見ることもできます。頭痛には解熱鎮痛薬、下痢には止瀉薬（下痢止めの薬）、不眠には睡眠改善薬など、対症療法として市販薬を利用することができます。また、体の疲れを感じたときは、ビタミン剤や滋養強壮剤などが活用できます。

ただし薬を飲んでも症状が変わらない、悪化する場合は早めに専門医を受診しましょう。精神的に落ち込むことが長く続く、眠れない、仕事や家事育児などに意欲が湧かないなどの症状が続く場合は、早めに受診するようにしましょう。

この記事の監修者

鈴木伸悟

薬局に勤務する現役薬剤師。横浜市西区薬剤師会理事。大手ドラッグストアでの勤務を経験後、処方せん調剤を主体とした保険薬局にてOTC医薬品の販売に取り組む。また、薬剤師や医薬品登録販売者向けにOTC医薬品の役立つ情報をSNSで発信するほか、メディア出演、全国各地での講演会、日経DIプレミアムでは連載を持つなど多方面で活動している。著書『薬局OTC販売マニュアル臨床知識から商品選びまで分かる（日経BP）』... 続きを読む

1 そもそもストレスって？
- 1.1 年代ごとの主に職場でのストレスの特徴
2 5分でできる職場のストレスセルフチェック
3 ストレスの主な原因
4 ストレスと自律神経の関係
5 ストレスによって起こる諸症状とおすすめの市販薬
6 ストレス緩和や溜めないためのセルフケアが重要！

そもそもストレスって？

ストレスとはからだや心に外部からかかる刺激「ストレッサー」と外部刺激に適用しようとして、からだと心に起こる様々な反応「ストレス反応」をあわせて「ストレス」と言います。

年代ごとの主に職場でのストレスの特徴

年代ごとに職場で経験するストレスが異なります。

年代	考えられる主な要因	ストレスを感じる主なシーン
20代	・社会人として働き始める	・職場環境や新生活への適応・仕事の習得・人間関係の構築
30代	・仕事で期待されるようになる・結婚や出産	・仕事の忙しさ、量的負担・私生活の大きな変化
40代	・より高度な仕事を求められる（管理職など）	・仕事の質・上司、部下との人間関係
50代	・職場での能力や立場・定年後の仕事や老後の生活・自身の健康問題・両親の介護	・職場での人間関係・将来への不安

ストレスによる症状におすすめの市販薬

5分でできる職場のストレスセルフチェック

生活をする中で多くの方は何らかのストレスを感じています。まずは自身のストレス度合いを知っておくことが重要です。以下の厚生労働省のサイト「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』」で簡単にチェックできるため、試してみてください。

ストレスセルフチェックはこちら

ストレスの主な原因

ストレスを感じるシーンは、人によってさまざまです。主な原因について、解説します。

仕事

勤務する時間が長く、休日が少ないことによるストレスがあります。また、やりがいが感じられない、責任が重い、成績に追い込まれているなどでもストレスを感じます。仕事が忙し過ぎたり、合わなかったりするとストレスが生じますが、逆に時間に余裕がありすぎてもストレスが生じることもあります。

人間関係

職場や私生活でも、人間関係がストレスになる方もいます。職場では上司だけでなく、同僚や部下との関係もストレスの原因となります。

性格

真面目で何事も完璧にこなさないと気が済まない人や競争心が強い人、せっかちな人、神経質な人などはストレスが溜まりやすいといえます。

睡眠不足

睡眠によって心身を休めることで、ストレスを癒すことができます。しかし、何かのきっかけで睡眠不足が続くと、それ自体が大きなストレスとなり、不眠を引き起こすという悪循環に陥ることがあります。

ストレスによる症状におすすめの市販薬

ストレスと自律神経の関係

心身の健康維持に重要な役割を果たしているのは、自律神経です。自律神経には交感神経と副交感神経があります。
交感神経はいわゆる「活動モード」で、心拍数や血圧をあげて筋肉への血液の供給量を増やしします。副交感神経はいわゆる「休息モード」で食事中や睡眠中に優位になり、心拍数や血圧を下げます。活動時には交感神経が優位になり、休息時には副交感神経が優位になるというように、2つの神経が交互に働くことで体を調整しています。

しかし、ストレスを受け続けるとこの２つの神経のバランスが崩れ、交感神経が優位になり続けます。その結果、だるさや血行不良による冷え・コリ、不眠、胃腸障害などが起こり「自律神経失調症」の状態となります。

自律神経の乱れはストレスによる影響が大きいといわれています。精神的なストレスによる悲しみや不安、焦燥感を日常的に抱えている人や抑うつ状態にある人は、自律神経が乱れ、食欲を感じにくくなったり、胃痛を起こしたりすることもあります。また、食べても味がしない味覚障害を起こすこともあります。

交感神経	副交感神経
・心身を活動に導く緊張・興奮の神経・優位になると、血管が収縮して血流が低下・胃腸のぜん動運動が抑制される	・心身を休息に導くリラックスの神経・優位になると、血管が拡張して血流が良くなる・胃腸のぜん動運動が促進される

ストレスによって起こる諸症状とおすすめの市販薬

ストレスが原因で引き起こされる心身の不調はさまざまです。自身の症状に合った市販薬を選択しましょう。

ストレスによる頭痛

ストレスとの関係性が深い頭痛には、緊張型頭痛や片頭痛などがあります。軽度であれば、市販の解熱鎮痛薬で対処できる場合が多いです。何度も繰り返すようでしたら、医療機関を受診しましょう。

単一の成分のみ配合の薬

第1類医薬品

1回1錠で痛みに速く効く。さらに飲みやすい小型錠

第❷類医薬品

つらい頭痛・生理痛・発熱に速く効く

解熱鎮痛成分＋補助成分配合の薬

第❷類医薬品

つらい頭痛に、速効・すぐれた効き目。さらに、胃にやさしい解熱鎮痛薬。

第❷類医薬品

頭痛・熱などに

頭痛の薬の選び方はこちら

ストレスによる胃の不調

ストレスは胃の不調を引き起こす主な原因です。ストレスによる自律神経の乱れから、胃の機能低下により様々な不調症状が引き起こされます。

漢方胃腸薬

乱れた自律神経を整え、胃痛・食欲不振・はきけなどの胃の不調を改善する

第2類医薬品

悩み、不安、緊張などによるストレス胃に効く漢方胃腸薬 [4日/11日分]

空腹時に感じる胃の痛みに

ストレスにより胃酸が逆流したことによる胃痛やむかつきを改善する

第1類医薬品

胃痛・もたれなどの胃の不快な症状に　小粒の糖衣錠

少し食べるだけで胃に残って苦しい

ストレスによって続く胃もたれや吐き気を改善する

要指導医薬品

少し食べるだけで胃に残って苦しい方に

急に起こる胃痛・腹痛に

ストレスや緊張などによる胃痛や腹痛、突然のギューっとつかまれるような胃の痛みを改善する

今、とめたいその痛みに急に起こる胃痛・腹痛に

胃の不調の薬の選び方はこちら

ストレスによる下痢

下痢の原因となる腸の異常収縮は、自律神経の1つである副交感神経が活発になることで引き起こされます。この作用はアセチルコリンという神経伝達物質によって、強まりますが、ストッパ下痢止めEX錠（ライオン）などに含まれるロートエキスは、このアセチルコリンをブロックして、腸の異常収縮による下痢を抑制します。

ロートエキス配合の薬

第2類医薬品

ストレスやプレッシャー、飲みすぎなど　突発性の下痢に水なし１錠で効く

第2類医薬品

女性特有の下痢にも！　突発性の下痢に水なし１錠で効く

下痢・軟便の選び方はこちら

ストレスによる過敏性腸症候群（IBS）

腹痛や下痢、便秘などの症状を慢性的に繰り返す過敏性腸症候群の再発症状改善薬であるため、以前に医師の診断・治療を受けた人に限ります。医師の診断を受けていない方は、まずは受診するようにしましょう。

薬剤師のいないドラッグストアなどでも購入可能（第2類医薬品）

第2類医薬品

過敏性腸症候群（IBS）の再発症状改善薬

薬剤師のいるドラッグストア・薬局などで購入可能（要指導医薬品）

要指導医薬品

過敏性腸症候群改善薬

ストレスによる不眠

ストレスなどによる一時的な不眠症状を改善します。ストレスが多く眠れない方や疲れているのに神経が高ぶって寝つけない方、心配ごとがあって夜中に目が覚める方、不規則な生活で睡眠リズムが狂っている方などに適しています。

ストレスによる蕁麻疹（じんましん）

ストレスは蕁麻疹を悪化させる要因とされています。ジンマート錠（ロート製薬）は、抗アレルギー作用と抗ヒスタミン作用を併せもつメキタジンを配合し、蕁麻疹とかゆみを体の中から抑え、あちこちに広がる蕁麻疹を改善します。

飲んで効く蕁麻疹の改善薬

第2類医薬品

広がったかゆい蕁麻疹に飲んで効く

ストレスによる口唇ヘルペス

ストレスはヘルペスの再発要因の一つとされております。アラセナS（佐藤製薬）に含まれるビダラビンは、口唇ヘルペスの再発に1日1〜4回の使用で、口唇ヘルペスの再発に優れた効果をあらわします。以前に医師の診断・治療を受けた人に限ります。医師の診断を受けていない方は、まずは受診するようにしましょう。

口唇ヘルペスの再発治療薬

第1類医薬品

抗ヘルペスウイルス成分「ビダラビン」を配合した口唇ヘルペスの再発治療薬

ストレスによる倦怠感

ストレスは、疲労をためる原因となり、疲れや倦怠感につながります。キューピーコーワゴールドαプレミアム（興和）は、5種の滋養強壮生薬と5種のビタミンを配合し、滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労・病後の体力低下・食欲不振などに効果があります。配合成分であるエゾウコギ乾燥エキスは、抗ストレス作用などがあり、疲労に効果をあらわします。