薬剤師が教える!便秘におすすめの市販薬とその選び方
便秘とは、だいたい3日以上便が出なかったり、便が硬くて量が少なかったりする状態のことを言います。不快感がなければ無理して薬を使用する必要はありませんが、軽度の便秘、一過性の便秘や慢性便秘の一時的な対応であれば市販薬でも効果が期待できます。
この記事では、市販の便秘薬の種類や選び方について解説、おすすめの市販薬を紹介します。
大手ドラッグストアでOTC(市販薬)を中心としたヘルスケア製品の接客販売や、メガベンチャー企業でオンライン診療事業の管理薬剤師を経験後、ウィルベース株式会社に入社。
現在は当サイト「CureBell」の運営・コラム作成、OTC・サプリメント等のリサーチ活動を務める。
市販の便秘薬の選び方
便秘薬を選ぶときは、使い方や生活習慣、体質などをふまえて自分に合ったものを選ぶのがおすすめです。ここでは、選び方とおすすめの市販薬を詳しくご紹介します。
まず市販薬を試したい:非刺激性・浸透圧性下剤
市販薬を試したいときにまず選ぶべきは非刺激性の浸透圧性下剤です。浸透圧を高めて腸壁から水分を引き出して便を柔らかくし、排便を施します。 効果は穏やかですが、自然に近い排便ができ、刺激性便秘薬に比べて腹痛などの副作用も少ないため、初めてでも使いやすくクセになりにくいとされています。 特に、酸化マグネシウムなどの塩類下剤といわれるものは専門の研究会のガイドラインでも推奨されており、腎機能に問題がなければおすすめです。
また、市販薬では一回量が3~6錠など、自分自身で服用量を調節できるものが多いので、最小量から使い始め、効き目を確認して量を調節するようにしましょう。多ければ多いほどいいといったことはありません、きちんと用法用量を守って服用しましょう。
妊娠中の便秘にも
浸透圧性下剤は妊娠中でも比較的使えるとされており、妊婦さんの便秘に対しては酸化マグネシウムが処方されることが多いです。妊娠中・授乳中は医師や薬剤師に相談してから購入することをおすすめします。
しつこい便秘:刺激性便秘薬
他の薬では効果がないときは、センナ(センノシド)、ビサコジルなどが配合されている刺激性便秘薬を使いましょう。刺激性便秘薬は、大腸に直接作用して腸のぜん動運動を促進して排便を促します。 ただし、腹痛などが起こりやすかったり、長期間使うと薬に慣れて効果がなくなったりすることがあります。そのため、短期間かつ便秘が気になるときだけ使いましょう。
また、刺激性便秘薬は、服用からだいたい8~10時間ほどで効果が出るので、タイミング重視の方におすすめです。夜飲んで寝れば、朝の排便が期待できます。
お腹が張る・ガスがたまる(腹部膨満感):整腸薬
お腹が張る、ガスがたまる(腹部膨満感)などのときは、整腸薬を選びましょう。
即効性がほしい:坐薬・浣腸薬
通常、坐薬や浣腸薬は使ってからすぐに効果が出ます。そのため、即効性がほしいときは坐薬や浣腸薬がよいでしょう。しかし長期間使用することで身体が慣れてしまい、効果が弱くなってしまうため、。使用する際は一時的な使用に留めましょう。
漢方も選択肢のひとつ!
便秘の漢方薬と言えば、生薬であるダイオウとカンゾウを組み合わせた「大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)」です。ダイオウの主成分はセンノシド。つまり、刺激性便秘薬と同様の効果が期待できると言えます。また、カンゾウは便秘による腹痛や、排便に伴う痛みの緩和に効果が期待できる成分です。 刺激性便秘薬と同様の効果が期待できる便秘の漢方薬は、刺激性便秘薬と同じく。長期の服用等に注意してください。
分類 | 成分 | 特徴 |
---|---|---|
非刺激性便秘薬(浸透圧性下剤) | 酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなど | 腸内に水分を増やし、便を柔らかく出しやすくする |
刺激性便秘薬 | ビサコジル、ピコスルファートナトリウム、センナ(センノシド)、ダイオウ末など | 大腸を刺激し、便を出しやすくする |
整腸薬 | 乳酸菌(ラクトミン)、ビフィズス菌など | 善玉菌で腸内環境を整える |
坐薬 | 炭酸水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウム | 炭酸ガスを発生させて、腸の動きを促して便を出す |
<便秘薬の選び方>
便秘におすすめの市販薬
ここからは、便秘におすすめの市販薬をご紹介します。
非刺激性・浸透圧性下剤(酸化マグネシウム)
効果は穏やかですが、自然に近い排便が期待でき、腹痛などの副作用が少ないため、使いやすい薬です。以下のような薬があります。カチカチ便の方にも効く便秘薬
・非刺激性成分の「酸化マグネシウム」が腸に水を集めてやわらか便にすることで、便に効き目をあらわします。
・おなかが痛くなりにくく、くせになりにくい。自然に近い排便を促します。
・女性や高齢者の方も飲みやすい錠剤。5歳から服用できます。
「スルーラックマグネシウム」は、酸化マグネシウム配合の便秘薬。
2.腹痛やクセになりにくい非刺激性便秘薬
刺激性便秘薬が腸を直接刺激するのに対して、腸を直接刺激しないので、
お腹が痛くなりにくく、繰り返し服用してもクセになりにくい便秘薬です。
レモン風味で、口中ですばやく崩壊し、服用しやすい錠剤です。
妊婦の方や5歳以上のお子様、ご高齢の方も服用できます。
刺激性便秘薬(ビサコジル、センナ等配合)
他の薬では効果がないといった頑固な便秘には、刺激性便秘薬を検討しましょう。ただし、副作用や耐性などのデメリットもあるので、理解した上で使ってください。
*動きが鈍った大腸
01 頑固な便秘に効く2つの有効成分
それぞれ異なる作用で腸を刺激します。
02 胃で溶けずに腸まで届けるコーティング錠
有効成分が腸まで届いて働くようにコーティング。
03 便秘の状態に合わせて調節できる服用量
自分の便秘の症状に合わせて、服用量を1回1〜3錠の範囲内で調節できます。
整腸剤
腹痛や不快感などの副作用が少ない方がよいときや、腸の状態を整えて根本から便を解決したいときは、整腸剤がよいでしょう。以下のような薬があります。※整腸のこと
人と相性のいい乳酸菌が生きたまま届いて、省庁から台帳まで幅広く腸の調子を整えます。
5歳から飲める錠剤はお子様からお年寄りまで、家族でお飲みいただけます、
5歳未満のお子様や錠剤が苦手な方には、同じ有効成分で細粒タイプもあります。
ほんのり甘みがある整腸剤です。
腸内フローラと大腸のバリア機能を改善することで、日ごろの便通を整えます。
便秘や軟便にも、日ごろのおなかのケアにも使えます。
のみやすい、やや甘みのある小粒の錠剤です。
漢方薬
ダイオウとカンゾウを組み合わせた「大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)」が代表的です。
●漢方処方「大黄甘草湯」が動きにくくなった大腸をしっかり動かし、便をスムーズに運び出します。
●就寝前に服用すると、約8~10時間後※の翌朝には自然に近い穏やかなお通じが得られます。※個人差はあります。
●錠剤には半分に割れる「割線」が入っており、便秘の度合いに合わせて半錠ずつ量を調節して服用できます。
●便秘に伴うお腹の張り(腹部膨満)・ふきでものなども緩和します。
坐薬、浣腸薬
飲み薬よりも即効性を重視する方は、坐薬や浣腸薬を選びましょう。以下のような薬があります。
●コーラック坐薬タイプは、およそ10~30分で効果があらわれる速効性の便秘用坐薬です。
●体温で速やかに溶解した坐薬は、粘液と反応して炭酸ガスを発生させます。炭酸ガスが直腸にはたらき、おだやかな便通を促します。
●12才から使用できます。浣腸を既にお使いの方や浣腸が苦手な方にもおすすめです。
イチジク浣腸30は、忙しい時でもおしりに注入して、3~10分待つだけ!
使い方もカンタンだから、毎日をすっきり気分でお過ごしいただけます。
便秘のセルフケアのポイント
便秘の原因の一つは生活習慣です。薬だけに頼るのではなく、日々の生活の中でできるセルフケアを行うことで便通の改善がより期待できるでしょう。また、重大な病気が隠れているケースもあるので、ときには病院の受診を検討することも大事です。詳しくは以下の通りです。
食事を見直す
朝食を抜かず、3食食べること、食物繊維や発酵食品を積極的にとることが大事です。詳しく見ていきましょう。
朝食を抜かず、3食食べる
食事によって胃結腸反射が腸に送られると、排便が促進されます。そのため、3食しっかり食べることが大事です。また、朝食後に起こる胃結腸反射が最も強いので、朝食をしっかり食べましょう。
食物繊維を積極的にとる
食物繊維は便秘対策において大事なものです。野菜や米、豆類などをしっかりとりましょう。食物繊維は善玉菌のエサにもなります。 ただし、食物繊維のとりすぎで便秘が悪化することもあるので注意が必要です。特に、サプリなどを使うと摂取量が過剰になることもあるので気を付けてください。
発酵食品を積極的にとる
便秘になると悪玉菌が増え、腸内細菌のバランスが悪くなります。そのため、発酵食品を積極的に摂り、善玉菌を増やしましょう。デザートやおやつはヨーグルトにするといった工夫をしてみましょう。
水をよく飲む
水分不足も便秘によくありません。1日2リットルを目安に十分な水分をとりましょう。
適度に運動する
運動不足も便秘の原因。運動すると腸が動いて排便しやすくなります。ウォーキングなどの軽い運動からでよいので、運動習慣をつけましょう。
生活習慣病予防の観点では、1回30分以上の運動を週に2回以上行うとよいとされています。便を我慢せず、トイレを習慣化する
排便を我慢していると、便意が消えて出なくなります。これを繰り返すとどんどん便秘になるため注意しましょう。 出なくても決まった時間にトイレに行くようにするのがおすすめ。朝食後は必ずトイレに行くなどの習慣をつけましょう。
規則正しい生活と十分な睡眠を心がける
腸の動きには自律神経が関係しています。睡眠不足や不規則な生活は自律神経の乱れにつながり、便秘の原因となるため注意しましょう。
ストレスをためない
ストレスも自律神経の乱れにつながります。そのため、ストレスをためないようにし、趣味やリラックスする時間をとってストレス解消に努めましょう。
しっかり寝ることや運動することもストレス解消につながります。他の薬との飲み合わせに注意する
他の市販薬や処方薬(医療用医薬品)を飲んでいる場合は、飲み合わせに注意する必要があります。たとえばマグネシウム含有の薬をすでに飲んでいる場合、便秘薬にマグネシウムが含まれることも多いため、併用すると摂取量が過剰になることがあり、よくありません。
病院の受診が必要なケース
便秘がある場合、大腸がんや腸閉塞などの重大な病気の恐れもあります。注意したほうがよい症状と、考えられる病気は以下の通りです。
- 下痢と便秘を日常的に繰り返している:過敏性腸症候群
- 便秘が徐々に悪化している:大腸がん
- 上記とともに、細い便や血便が出る:大腸がん
- 急な便秘、ガスが出ない、発熱・嘔吐・腹痛を伴う:腸閉塞
- 市販薬を1週間ほど飲んでいるのによくならない
- 高齢で腎障害のある方
上記の症状に心当たりがある場合は早めに医療機関を受診しましょう。また、高齢で腎障害がある場合は市販薬が使いにくいです。体に悪影響を及ぼすことがあるため、医師などに相談するとよいでしょう。