薬剤師が教える!口内炎におすすめの市販薬
口内炎は、治るまで我慢する人もいれば、早く治したいと考えてドラッグストアや薬局で市販薬を購入する方もいます。口内炎の原因は、免疫力の低下や細菌の繁殖など、様々です。症状が軽い場合は生活習慣の改善に加え、市販薬を活用して、様子をみることも可能です。今回は、口内炎に効く市販薬の選び方について解説します。
口内炎の主な症状
口内炎は、アフタ性口内炎、カタル性口内炎、ヘルペス性口内炎、びらん性口内炎(カンジダ性口内炎)などがあります。
この中でアフタ性口内炎やカタル性口内炎などは市販薬で対処できるでしょう。
アフタ性口内炎
最も頻度が多い口内炎で、口腔粘膜に明瞭な円形や楕円形の小さな潰瘍ができるのが特徴です。原因は明確ではないものの、疲労やストレス、また栄養不足や睡眠不足、免疫力低下時などで起こります。
直径は10mm以内程度、潰瘍の中心表面は白色から黄色の薄い膜で覆われ、痛みを伴います。周囲は赤くなります。1個から数個の潰瘍ができることが多く、通常1~2週間ほどで自然に治癒します。
カタル性口内炎
入れ歯の接触や、ほほの内側を噛んでしまったなどの物理的刺激によってできるのが特徴です。患部が赤くはれたり、水ぶくれになったりします。アフタ性口内炎とは異なり、患部の境界が不明瞭です。
ヘルペス性口内炎
歯ぐきや唇の裏、舌などに多くの小さな水ぶくれができ、発熱や強い痛みを伴うことがあります。主に唾液などの接触感染や飛沫感染によって感染し、ヘルペスウイルスが原因となります。
カンジダ性口内炎
カビの一種であるカンジダ菌が口内で増殖して、白い斑点ができ、赤くただれるのが特徴です。カンジダ菌はもともと口内にいる常在菌ですが、免疫力の低下などに伴い、増殖します。
ウイルス感染症やカンジダ感染症の場合は受診を
口腔内に黄色の膿があれば細菌感染症、白い斑点が広がっていればカンジダ感染症、小さな水ぶくれが複数あればウイルス感染症などがそれぞれ疑われます。そのため、速やかに受診するようにしましょう。
主な症状 | 特徴 | 原因 |
---|---|---|
アフタ性口内炎 |
・最も頻度が多い口内炎 ・円形や楕円形の小さな潰瘍ができる ・直径は10mm以内程度 ・潰瘍の中心表面は白色から黄色の薄い膜 |
・疲労やストレス ・栄養不足 ・睡眠不足 ・免疫力低下 など |
カタル性口内炎 |
・物理的刺激によってできる ・患部が赤くはれたり、水ぶくれになったりする |
・入れ歯の接触 ・口内の損傷 など |
ヘルペス性口内炎 |
・多くの小さな水ぶくれができ、発熱や強い痛みを伴うことがある ・唾液などの接触感染や飛沫感染によって感染 |
ウイルス感染 |
カンジダ性口内炎 | 白い斑点ができ、赤くただれる |
免疫力の低下などに伴うカンジダ感染 など |
【症状別】口内炎に効く市販薬の選び方
口内炎の市販薬には大きく分けて内服薬と外用薬の2種類の用法があります。症状や目的に応じた薬の形状(剤形)や成分などで選ぶことがポイントとなります。
内服薬と外用薬どちらがおすすめ?
内服薬には、抗炎症成分のトラネキサム酸やビタミンB2、B6などの成分が配合されており、口内炎以外にのどのはれ・痛み(咽頭炎・扁桃炎)やにきび、肌荒れなどの効能効果を有するものもあります。
一方で、外用薬には、副腎皮質ステロイドのトリアムシノロンアセトニド、抗炎症成分のアズレンスルホン酸ナトリウム水和物(水溶性アズレン)、殺菌成分のセチルピリジニウム塩化物水和物などが含まれています。
まずは、患部に直接作用する外用薬を使用することをおすすめします。外用薬とビタミンB2、B6を配合する内服薬などを併用しても良いでしょう。
用法 | 特徴 | 主な成分 | |
---|---|---|---|
内服薬 | 口内炎以外の効能効果を有するものがある | 抗炎症成分 | トラネキサム酸 など |
ビタミン | ビタミンB2・B6 など | ||
外用薬 | 患部に直接作用する | 副腎皮質ステロイド | トリアムシノロンアセトニド など |
抗炎症成分 | アズレンスルホン酸ナトリウム水和物(水溶性アズレン) など | ||
殺菌成分 | セチルピリジニウム塩化物水和物 など |
アフタ性口内炎の場合
優れた効果が期待できるトリアムシノロンアセトニド(副腎皮質ステロイド)を含む商品が良いでしょう。
トリアムシノロンアセトニドを配合した商品の効能効果は、『口内炎(アフタ性)』と記載されており、アフタ性口内炎のみを効能効果としています。他の種類の口内炎には使用できないことがポイントです。
カタル性口内炎の場合
カタル性口内炎や口腔内の感染の疑いがあるが受診する前に使いたいなどの場合は、副腎皮質ステロイドは避ける必要があります。
抗炎症成分である水溶性アズレンや殺菌成分であるセチルピリジニウム塩化物水和物を配合する商品を選ぶと良いでしょう。
副腎皮質ステロイドが無配合で、水溶性アズレンなどを配合した商品の効能効果は、『口内炎』と記載されており、口内炎の種類に関わらず、使用が可能です。また、水溶性アズレンなどを配合した商品は、口内炎だけでなく、舌炎など他にも効能効果を有する商品もあります。
アフタ性口内炎 | カタル性口内炎 | |
---|---|---|
副腎皮質ステロイド | 〇 | × |
効能効果 | 『口内炎(アフタ性)』 と記載のものを選ぶとよい |
『口内炎』 と記載のもの、口内炎の種類に問わず使用可能 |
剤形も商品を選ぶ上で重要
口内炎の薬の形状は外用薬である貼り薬、塗り薬、スプレーと内服薬の主に4種類あります。
貼り薬
食べ物などの外部刺激から患部を保護したいときに適しています。口内炎が痛くて、飲食がつらい方などにおすすめです。
一方で口内炎の範囲が広い場合には他の形状のものを選択すると良いでしょう。
<貼り方のポイント>
適切に使わないとすぐに剥がれてしまうため、以下をポイントに使用すると良いでしょう
- 患部に付着しやすくするため、貼る前にティッシュペーパーやガーゼなどで唾液を拭き取る
- 貼り付ける面を事前に確認する
- 疲れやだるさ以外に頭痛、めまい、吐き気など他の症状がある
- 付着後、数分間は薬がずれないように舌で触れない
- 貼付直後は飲食を避ける
塗り薬
患部が数か所ある場合や範囲が広い場合、貼り薬を貼りづらい場所に適しています。
スプレー
手の届きづらい口の奥などの貼り薬や塗り薬が使えない場所にはスプレーがおすすめです。塗り薬と同様に患部が数か所ある場合や範囲が広い場合、貼り薬を貼りづらい場所に適しています。
またスプレーはのどのはれや痛みなどにも効能効果を有するものもあります。
内服薬
口の中に薬を入れるのに違和感がある場合などは内服薬が良いでしょう。
内服薬もスプレーのように、のどに作用し、のどの炎症を抑えてくれるものもあります。
うがい薬
口内炎の予防や再発を防ぐ目的であれば、うがい薬もおすすめです。うがい薬は口の中やのどの殺菌消毒を行うことができ、口の中を清潔に保つことができます。
口内炎の薬との併用できる場合も多く、口内炎で悩むことが多い方は日々のセルフケアを行うと良いでしょう。
剤形 | 特徴 | 主な商品 |
---|---|---|
貼り薬 | 食べ物などの外部刺激から患部を保護したいときに適する | アフタッチA など |
塗り薬 | 患部が数か所ある場合や範囲が広い場合に適する | トラフル軟膏Proクイック、サトウ口内軟膏 など |
スプレー | 患部が数か所ある場合や範囲が広い場合、手の届きづらい口の奥などに適する | チョコラBB口内炎リペアショット など |
内服薬 | 口の中に薬を入れるのに違和感がある場合などの選択肢となる | チョコラBBプラス、ペラックT錠 など |
うがい薬 | 口内やのどの殺菌消毒を行うことで、予防や再発を防ぐ | トラフルクリアウォッシュ など |
<口内炎に効く薬の選び方>
【選び方別】口内炎に効くおすすめの市販薬
トリアムシノロンアセトニド配合(ステロイド配合)
塗り薬
貼り薬
水溶性アズレンやグリチルリチン酸などの抗炎症成分配合(ノンステロイド)
舌炎にも使える塗り薬
歯肉炎・歯槽膿漏にも使える塗り薬
スプレー
内服薬
ビタミンB群配合
トラネキサム酸配合
うがい薬
口内炎にならないためのセルフケアも重要!
疲労やストレス、偏った食事、睡眠不足、免疫力が低下した際に口内炎になることがあります。日々の生活習慣を気を付けることでセルフケアを行いましょう。
規則正しい生活を
疲労をためないために、睡眠をしっかりとることや1日3回の食事をビタミンやアミノ酸など栄養バランスをよく摂ることがまず重要です。
ビタミンB2、B6、Cにおいては皮膚や粘膜の健康維持に必要なビタミンとなります。食事で摂ることができない場合は、サプリメントやビタミン剤などで補うことも選択肢となります。
睡眠
睡眠は身体と脳の両方を休める効果があります。その為、十分な睡眠時間や質の良い睡眠をとることが疲労をためないうえで、重要です。目安ですが、7時間程度の睡眠時間を確保していただくとよいでしょう。
また口の中が乾くことで、口内炎になる場合があります。寝ているときの口呼吸や口を開けて寝ることで、口内の菌が増殖しやすくなります。睡眠時のケアにも気を付けると良いでしょう。
口の中を清潔に
カンジタ菌など口の中で菌が増殖して、口内炎になる場合もあります。その為、口の中は清潔に保つことを心がけましょう。食後の歯みがきやうがいは口の中を清潔に保つために重要です。
こんな症状は受診を
よく見られるアフタ性口内炎などは、市販薬でも対処可能ですが、症状や経過 によっては、白血病など医療機関の治療が必要なケースもあります。こうした重篤な疾患を見逃ないために、まずは受診すべき症状に当てはまらないかを確認することが重要です。
以下に1つでも当てはまる場合は、医療機関を受診しましょう。
- 2週間以上口内炎が治らない
- 何度も口内炎の再発を繰り返している
- 口の中全体に白斑を認めるなど感染症の疑いがある
- 非常に強い痛みがある、または痛みを全く感じない
- 口腔がただれている
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