薬剤師が教える‼︎ニキビにおすすめの市販薬(大人ニキビ、思春期ニキビ)

更新日: 2024年10月15日

ニキビは多くの人が経験する身近な症状です。主に思春期から青年期にかけてよくみられ、すぐに治る軽いものから、「にきび痕(あと)」として跡を残してしまう重症なものまであります。また、ニキビの原因や状態によって、対処できる市販薬やケアの方法が変わります。正しいセルフケアの知識を身につけて対処できるように、今回はニキビについて解説します。

この記事の監修者
鈴木 伸悟
薬局に勤務する現役薬剤師。横浜市西区薬剤師会理事。大手ドラッグストアでの勤務を経験後、処方せん調剤を主体とした保険薬局にてOTC医薬品の販売に取り組む。また、薬剤師や医薬品登録販売者向けにOTC医薬品の役立つ情報をSNSで発信するほか、メディア出演、全国各地での講演会、日経DIプレミアムでは連載を持つなど多方面で活動している。著書『薬局OTC販売マニュアル 臨床知識から商品選びまで分かる(日経BP)』... 続きを読む

ニキビの主な原因と状態



ニキビとは、前額部(おでこ)、頬、口の周り、下あごなどにできる発疹のことで、「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」という皮膚の病気の通称です。毛穴に皮脂がたまり、出口が炎症を起こして小さく隆起したもののことを言います。また大人になってからできるニキビを「吹き出物」と呼ぶこともあります。

ニキビの主な原因

ニキビの原因は様々あるものの、主な原因は「毛穴の詰まり」「皮脂の過剰な分泌」「ニキビの原因菌(アクネ菌)の増殖」です。通常、皮脂は汗で毛穴から排出されますが、肌のターンオーバー(代謝)が正常でない場合に毛穴が閉じてしまい、皮脂が詰まってしまいます。皮脂が詰まることで、アクネ菌が増殖し、炎症が起こりニキビとなります。特に思春期には成長ホルモンの関係で皮脂の分泌量が多く、ニキビが多くなります。

  • 毛穴の詰まり

  • 皮脂の過剰な分泌

  • ニキビの原因菌(アクネ菌)の増殖

  • 食生活の乱れ

  • ストレス、睡眠不足

  • ホルモンバランスの乱れ

ニキビの状態

ニキビは患部の状態によって種類が異なり、早めにケアするほど、重症化を避けることができます。ニキビの状態は主に3つあり、「白ニキビ」「黒ニキビ」「赤ニキビ」に分けられます。

白ニキビ

初期の段階のニキビで、炎症はまだ起きておらず、白~乳白色の発疹ができます。毛穴に皮脂が詰まり、皮膚表面が少し盛り上がるのが特徴です。

悪化させないために正しく洗顔し、毛穴に詰まった皮脂や汚れを洗い流すことが大切です。

黒ニキビ

白ニキビが進行した状態で、炎症はまだ起きておらず、痛みもありません。毛穴に詰まった皮脂が皮膚表面に出て、酸化することで黒くなるのが特徴です。

白ニキビ同様に、悪化させないために正しく洗顔し、毛穴に詰まった皮脂や汚れを洗い流すことが大切です。

赤ニキビ

白ニキビや黒ニキビが悪化し、炎症が起きている状態で、痛みも出てきます。毛穴に詰まった皮脂や汚れに雑菌や細菌が繁殖・増殖することで皮膚表面が赤く盛り上がります。またこの段階まで悪化すると、にきび痕(あと)として残る可能性があります。

正しく洗顔し、毛穴に詰まった皮脂や汚れを洗い流すだけでなく、くすりを使用することで早めに炎症を抑え、症状を緩和することが大切です。また極力、肌への刺激は抑えたほうが良いため、可能な限り化粧などを控えるとよいでしょう。

ニキビのタイプ別の特徴

ニキビは主に10代によく起こるいわゆる「思春期ニキビ」と成人によく起こるいわゆる「大人ニキビ」の2種類のタイプがあります。

大人ニキビ

大人ニキビは、肌のターンオーバー(代謝)の乱れによる毛穴の詰まりによって起こります。肌のターンオーバーが乱れる原因は、様々ありますが、肌の乾燥や食生活の乱れ、ストレス、睡眠不足、ホルモンバランスの乱れ、飲酒や喫煙などがあります。特徴としては、あごや口周りのUゾーンにできやすく、治りにくい、また同じ場所にできやすいです。

思春期ニキビ

思春期ニキビは、成長ホルモンのはたらきによる過剰な皮脂分泌によって起こります。汗などで流れなかった皮脂が毛穴に詰まり、アクネ菌(ニキビの原因菌)が繁殖・増殖しやすくなります。特徴としては、おでこや鼻のTゾーンにできやすく、20代前後になるとホルモンバランスの安定により、自然に治ることが多いです。

大人ニキビ 思春期ニキビ

・肌のターンオーバー(代謝)の乱れによる毛穴の詰まりが原因

・あごや口周りのUゾーンにできやすく、治りにくい

・同じ場所にできやすい

・成長ホルモンのはたらきによる過剰な皮脂分泌が原因

・おでこや鼻のTゾーンにできやすい

・20代前後になると、自然に治ることが多い

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ニキビに効く市販薬の選び方



ニキビの治療で医療機関を受診した際によく処方される医療用医薬品に含まれる推奨度の高い成分は、市販薬としては販売されていません。また医療機関ではニキビが赤くはれているときや落ち着いている時期によって使用するくすりを使い分けるケースもあります。その為、市販薬を使用して様子を見ることもできますが、症状が初期や軽度であっても医療機関を受診することも選択肢になることを覚えておきましょう。

医療機関の受診がおすすめの場合

ニキビに効く市販薬に含まれる成分

ニキビ用の市販薬の主な成分には、イブプロフェンピコノールとイオウの2種類あります。

イブプロフェンピコノール

痛みを抑える作用や炎症を抑える作用があり、アクネ菌の生成を抑えます。

イオウ

殺菌作用や皮膚を軟化させて、古い角質を除去する作用、余分な皮脂を除去する作用があり、特徴的なにおいがあります。また肌を乾燥させる作用もあり、乾燥による皮脂分泌の促進で、ニキビを誘発することがあるため、ニキビがある場所にのみ塗布するようにしましょう。

そのほかの成分と作用

2種類の成分のほかに殺菌作用を目的に配合される成分があります。

成分 作用
イソプロピルメチルフェノール ニキビの原因菌であるアクネ菌などを殺菌
ベンゼトニウム塩化物 ニキビの原因菌であるアクネ菌などを殺菌
レゾルシン ニキビの原因菌であるアクネ菌などを殺菌

ニキビのタイプに応じた市販薬(成分)の使い分け

ニキビのケアはその原因によって、適した成分を配合した商品を選ぶと良いでしょう。

大人ニキビ

大人ニキビには炎症を抑える作用のあるイブプロフェンピコノールを配合した商品を選択すると良いでしょう。また生活習慣を見直すことが大切なため、規則正しい生活やバランスの良い食事、良質な睡眠などを心がけると良いでしょう。

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思春期ニキビ

思春期ニキビには、余分な皮脂を除去する作用のあるイオウを配合した商品を選択すると良いでしょう。ただし、イオウは、乾燥などが原因のニキビには適さないため注意しましょう。また余分な皮脂は洗い流すことが大切なため、洗顔でお肌を清潔な状態に保つと良いでしょう。洗顔料にはニキビケア専用のものもあります。

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妊娠中や授乳中の場合

イブプロフェンピコノールなどを配合した商品は、使用上の注意の記載がないため、使用できます。ただし、心配な場合は医師や薬剤師などに相談するようにしましょう。

内服薬も選択肢の1つに

ニキビに効能効果をもつ市販薬は外用の皮膚薬だけではなく、内服薬もあります。

ビタミンB製剤

大人になってからできる大人ニキビはビタミンの不足も関係している場合があります。特に脂質の代謝に関わり、皮脂分泌を適正に保つはたらきのあるビタミンB2はニキビ対策の1つの選択肢となります。

またビタミンB2を含むビタミンB群やビタミンCが不足すると、肌のターンオーバー(代謝)が乱れ、ニキビだけでなく、口内炎など様々な肌トラブルが起こります。

チョコラBBプラス(エーザイ)のように、ニキビに効能があり、その他の肌トラブルにも効能がある商品を選ぶとよいでしょう。

<チョコラBBプラス(エーザイ)の効能効果(抜粋)>

次の諸症状の緩和:
肌あれ、にきび・吹き出物、口内炎、口角炎(唇の両端の腫れ・ひび割れ)、口唇炎(唇の腫れ・ひび割れ)、皮膚炎、湿疹、かぶれ、ただれ、舌の炎症、赤ら顔に伴う顔のほてり、目の充血、目のかゆみ
「ただし、これらの症状について、1ヵ月ほど使用しても改善がみられない場合は、医師又は薬剤師に相談すること。」

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漢方薬

病院などの医療機関で相談しているものの、ニキビがなかなか良くならず、漢方薬を試したいという相談を受けることもあります。炎症性皮疹(皮膚の様々な炎症)には、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)、清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)が推奨されており、毛穴に皮脂や角質が詰まっている状態には、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)が推奨されております。

漢方処方 適する方
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう) 繰り返すニキビに
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう) 急性期の赤く炎症を伴うニキビに
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう) 化膿しはじめの赤いニキビ、湿疹のある方に

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市販の抗生物質の塗り薬は、ニキビに使える?

ニキビには使用できませんが、めんちょう(鼻先やあご先など顔の中心部にできる、できもの)や毛のう炎(毛穴の奥の毛根を包んでいる部分(毛包)に起こる炎症)の場合は、化膿性皮膚疾患に効能効果をもつ抗生物質を配合した市販薬を使用することはできます。ただし、市販薬に含まれる抗生物質は、医療機関で推奨されている抗生物質とは異なるため注意してください。

背中にできたニキビの場合は?

背中やデコルテなどにできるニキビを「背中ニキビ」や「身体ニキビ」と言いますが、大人ニキビや思春期ニキビとは原因菌が違います。背中ニキビの場合は、「毛のう炎」である可能性があり、細菌や真菌が毛包で繁殖し、炎症を起こすことで起こります。

背中ニキビの対処法

背中などのニキビ治療薬を使用して様子を見ることができますが、症状が良くならない場合は、医療機関を受診するようにしましょう。

背中やデコルテなどの症状に

<ニキビに効く市販薬の選び方>

ニキビに効く薬選びのフローチャート SP版curebellでのニキビの薬の選び方

CureBellでのお薬検索はこちら

【選び方別】ニキビにおすすめの市販薬

大人ニキビに

ペアアクネクリームW
税抜価格 14g・950円/24g・1,450円
第2類医薬品
第2類医薬品

フェイスラインの吹き出物・ニキビも治療する 炎症をしずめ、しっかり効く
メンソレータム アクネス25 メディカルクリームc
税抜価格 16g・1,200円
第2類医薬品
第2類医薬品

しつこい大人ニキビも治療 ニキビの根まで深く。高浸透のメディカルクリーム
イハダ アクネキュアクリーム
税抜価格 16g・ー 円/26g・ー 円
第2類医薬品
第2類医薬品

ニキビ・吹き出物に効く
マキロン アクネージュ メディカルクリーム
税抜価格 18g・1,200円/28g・1,700円
第2類医薬品
第2類医薬品

殺菌×抗炎症×血行促進 しつこいニキビに、トリプル処方でしっかり効く

思春期ニキビに

エスカメル
税抜価格 15g・933円
第2類医薬品
第2類医薬品

ニキビの治療に イオウ8%配合
メンソレータムアクネスニキビ治療薬
税抜価格 18g・1,100円
第2類医薬品
第2類医薬品

赤いニキビ、痛いニキビに しっかり効く ニキビ治療クリーム

ビタミンB製剤

チョコラBBプラス
税抜価格 60錠・1,280円/120錠・2,380円/180錠・3,380円
第3類医薬品
第3類医薬品

活性型ビタミンB2を最大量配合。肌の基礎力をきちんと育む
ハイチオールBクリア
税抜価格 30錠・850円/72錠・1,580円/180錠・3,580円
第3類医薬品
第3類医薬品

キメの整った肌へ。内側から、肌あれを改善。

漢方薬

漢方セラピー十味敗毒湯エキス錠クラシエ
税抜価格 96錠・2,362円
第2類医薬品
第2類医薬品

化膿性皮膚疾患の方、湿疹のある方に [8日分]
漢方セラピー荊芥連翹湯エキス錠Fクラシエ
税抜価格 96錠・2,080円
第2類医薬品
第2類医薬品

目や鼻の周りが重だるい 慢性化した鼻炎、ちくのう症に [8日分]
神農清上防風湯エキス錠
税抜価格 72錠・1,600円
第2類医薬品
第2類医薬品

にきび、顔面・頭部の湿疹・皮膚炎
ペア漢方エキス錠
税抜価格 112錠・2,180円/240錠・4,200円
第2類医薬品
第2類医薬品

生理前に繰り返すニキビ・シミに効く [14日/30日分]

背中やデコルテなどの症状に

セナキュア
税抜価格 100ml・1,260円
第2類医薬品
第2類医薬品

背中・デコルテなどのブツブツ治療薬 くりかえしやすいブツブツニキビに効く
メンソレータム アクネス25 メディカルミストb
税抜価格 100ml・1,200円/100ml・1,200円
第2類医薬品
第2類医薬品

しつこい大人ニキビも治療。届きにくい背中のニキビにも

セルフケアも重要!



ニキビはできやすい方とそうでない方がいますが、基本的なケアは同じです。まずは日常的にニキビにならないような予防を行うことが大切です。

正しいスキンケアを

まずはお肌を清潔な状態に保っておくことが重要です。その為、普段から正しい洗顔を心がけましょう。また洗顔後は保湿を忘れずに行い、お肌のバリア機能が低下しないようにすることも必要です。保湿されて肌が潤うことで、毛穴が詰まりにくくなります。

<洗顔のポイント>

①洗顔料をしっかりと泡立てる
※ニキビケア専用のものを使用することも検討しましょう

②肌を優しくマッサージするように洗顔する
※ゴシゴシこすらないように注意しましょう

③肌に洗顔料が残らないように洗い流す

④清潔なタオルで肌を軽く押さえるように拭く
※ゴシゴシこすらないように注意しましょう

⑤洗顔後は保湿を行う

規則正しい生活を

疲労やストレスをためないために、睡眠をしっかりとることや1日3回の食事をビタミンやアミノ酸など栄養バランスをよく摂ることがまず重要です。

ビタミンB2、B6、Cにおいては皮膚の健康維持に必要なビタミンとなります。食事で摂ることができない場合は、サプリメントやビタミン剤などで補うことも選択肢となります。一方で、脂の多い食事や飲酒などは控えめにするとよいでしょう。

腸内環境を整えよう

腸内環境が悪化し、便秘になることで肌のターンオーバー(代謝)が乱れる可能性があり、ニキビができやすくなってしまいます。便秘になりやすい方は食生活の改善や適度に運動を行うことも考えましょう。

こんな症状は受診を



以下に1つでも当てはまる場合は、医療機関(皮膚科)を受診しましょう。

  • 最初からより確実な治療(医療機関にて推奨度の高い治療)をしたい

  • ニキビの数が多い、顔全体に広がっている

  • 炎症がひどく、化膿がある

  • 繰り返しニキビができる

  • 市販薬を2週間使用しても改善しない