薬剤師が教える!正しいくすりの基礎知識<市販薬と処方薬の違いとは?>
「市販薬は効果が弱い?」「大人用のくすりを子どもに服用させてもいい?」普段、患者さんと接する中で、市販薬に対する疑問を耳にします。セルフメディケーションが推進されている中で、市販薬に関する知識を正しく理解することも大切でしょう。
今回は市販薬やくすりの基礎知識について解説します。市販薬を正しく理解し、上手なセルフケアを行っていきましょう。カロナールの名で知られる解熱鎮痛成分のアセトアミノフェン、ムコダインの名で知られる去痰成分のカルボシステイン、メジコンの名で知られる咳を抑える成分のデキストロメトルファンなど病院でよく処方されるくすりと同成分が配合されている市販薬についても紹介します。
目次
処方薬(医療用医薬品)と市販薬(OTC医薬品)の違いは?
処方薬は病院や診療所などの医療機関で、医師が身体の状態を観察・診断した上で発行する処方箋にもとづいて、保険薬局(調剤薬局)に従事する薬剤師が調剤したくすりです。医療用医薬品とも言われます。
市販薬は医師の処方箋がなくても、保険薬局やドラッグストアなどで薬剤師や医薬品登録販売者のアドバイスのもと、自らの判断で選んで購入できます。市販薬はOTC医薬品とも言われ、OTCは“オーバー・ザ・カウンター”の略語で、対面販売で購入できる医薬品という意味です。
市販薬に記載のある第1類医薬品や第2類医薬品って何?
また市販薬には処方薬にはない医薬品の分類があります。市販薬は一般の生活者の方が自身で判断し、購入できる為、そのリスクを考え、分類・管理されています。
要指導医薬品と第一類医薬品は市販薬ですが、薬剤師から購入する必要があり、薬剤師不在のドラッグストアなどでは購入することができません。一方、第2類医薬品と第3類医薬品は薬剤師が不在でも登録販売者が従事していれば購入することができ、多くの生活者が利用している市販薬です。
市販薬の分類 | 応対者 | 販売時の説明 | 相談応需 | ネット販売 | |
---|---|---|---|---|---|
要指導医薬品 | 薬剤師 | 対面で書面での情報提供(義務) | 義務 | 不可 | |
一般用医薬品 | 第1類医薬品 | 書面での情報提供(義務) | 可 | ||
第2類医薬品 | 薬剤師、または登録販売者 | 努力義務 | |||
第3類医薬品 | 法律上の規定なし |
※令和6年9月13日現在
市販薬より、病院で処方される薬の方が効果は良い?
市販薬は、幅広い方が使用することを前提として製造、承認、販売されます。そのため、基本的に安全性が高いとされる成分を配合しており、処方薬(病院で処方されるくすり)よりも一般的に作用がマイルドです。
ただし最近では、処方薬と同成分かつ同量を配合されている市販薬も増えています。これらは“スイッチOTC”とも言われ、医療用医薬品のうち、比較的副作用が少なく安全性が高いものを市販薬(OTC医薬品)に転用(スイッチ)したものです。
市販薬は副作用などのリスクがない?
市販薬にも処方薬と同様に副作用のリスクはあります。そのため、市販薬だから作用が弱く、安心ということはないと覚えておきましょう。市販薬を購入する前や使用する際には、商品の外箱や添付されている説明文書(添付文書)などに記載されている使用上の注意をよく読み、用法用量を守って使用するようにしましょう。
処方薬と同成分の市販薬ってどんな商品があるの?
医師から処方されるくすり(処方薬)と同成分の市販薬は、「医療用と同量配合」などと記載があるものもあり、その配合量も同一のものまで販売されています。薬によっては、医療機関に行かなくても処方薬と同等のくすりを一般の生活者が入手できます。
医療用と同成分の代表的な市販薬
『カロナール』の名で知られる解熱鎮痛成分のアセトアミノフェン、『メジコン』の名で知られる咳を抑える成分のデキストロメトルファン、『ムコダイン』の名で知られるたんを出しやすくする成分のカルボシステイン、『アレグラ』の名で知られるフェキソフェナジンなどが市販薬として販売されております。
市販薬とサプリメントの違いは?
市販薬は薬機法※で規定されており、症状の治療や緩和、予防を目的として使用され、効能効果が示されています。そのためかぜを引いてしまったときや病気の心配があるときなどに使用します。
健康食品やサプリメントは病気を治療するものではなく、あくまで食品に区分され、食生活を補うために使用するものです。ただし、食品だからといって安易に考え、摂りすぎることで体調に良くない影響が出たり、また成分によっては体質に合わなかったりすることもあります。持病がある方やくすりを服用している方は特に注意が必要です。
くすりとサプリメントは一緒に摂ってもいい?
サプリメントの成分によっては、くすりの効果が弱まったり、副作用が強まったりすることがあります。くすりとサプリメントを併用する場合は、医師や薬剤師などの専門家に相談するようにしましょう。
「食間」とはいつ服用すればいい?
食間とは、『食事と食事の間』のこと。食事をしてから2~3時間ほどたったころを指します。胃の中がほぼ空になった空腹の状態で服用しましょう。『食間』を食事中に飲むと勘違いしている方も見かけますので注意してください。
服用タイミングの目安は以下となりますが、特に処方薬の場合はしっかりと医師や薬剤師の指示に従って服用するようにしてください。
- 「食前」は食事の30分ほど前
- 「食間」は食事をしてから2~3時間後
- 「食後」は食事が終わって約30分以内
- 「寝る前」は就寝の30分ほど前
- 「頓服(とんぷく)」は症状が出たときなど、必要に応じて飲む
大人用のくすりは量を少なくすれば子どもに使用できる?
子どもは臓器が未成熟で、大人のように体内でくすりを吸収したり、代謝、排泄したりする能力が十分に発達していません。また子どもが使用した時の安全性が確認できていない成分もあります。大人用のくすりを半分に減らすなどして、子どもに服用することは絶対にしないようにしましょう。
「栄養ドリンクなら少量だけいいですか」などと聞かれることもありますが、必ず用法用量を守った服用をするようにしましょう。
製品名から子どもの服用を判断することは注意が必要
子ども用、およびファミリー向けの市販薬には小児用やジュニア、ファミリーといった製品名の記載がある商品が多く、選びやすいです。ただし商品を購入する際には、必ず使用できる年齢を確認してから購入しましょう。
くすりの正しい保管方法は?
直射日光や高温多湿を避けて保管するようにしましょう。くすりは湿気や温度、光による影響を受けやすいです。また冷蔵庫で保管するように指示されたくすりは冷蔵庫にしっかりと保管し、凍結しないように注意しましょう。お子さまがいるご家庭では、子どもの誤飲を防ぐため、子どもの手の届かないところに保管するようにしましょう。
くすりを飲み忘れたら、2回分まとめて服用してもいい?
飲み忘れても2回分を一緒に服用しないようにしましょう。血中濃度が高くなりすぎて、副作用が出やすくなり、危険です。
飲み忘れに気づいた場合や次の服用時間が近い場合は、飲み忘れた分は飲まずに次のタイミングから決まった時間に決まった量を用法用量に従って、服用しましょう。対応に困ったときは薬剤師や医薬品登録販売者などに相談しましょう。
くすりは水以外の飲み物でも服用してもいいの?
内服薬は、コップ1杯分の水かぬるま湯で服用するようにしましょう。水以外で服用するとくすりによっては成分の吸収を妨げたり、効き目が弱まったり、逆に効果が強く出すぎたりすることがあります。
特に牛乳やグレープフルーツジュース、アルコールなどには注意が必要です。また、くすりを水なしで服用すると、のどや食道にくすりが貼りつき、炎症を起こす場合もあるため、チュアブル錠などを除き、用法用量を守り、コップ1杯分の水かぬるま湯で服用しましょう。
注意が必要な主な飲み物 | 理由 |
---|---|
牛乳 | くすりの効果が弱まる場合がある |
ジュース(グレープフルーツ以外も含む) | くすりの効果が強く出すぎたり、弱まったりする場合がある |
コーヒー、緑茶などのカフェインを含むもの | カフェインを含むくすりの場合、カフェインの過量摂取となる恐れがある |
アルコール | 多くのくすりの効果に影響がある、かつ副作用が起こる恐れもある |
市販薬の選び方のポイント
商品の外箱を見て、自らの症状にあったものを選ぶことも大切ですが、使用上の注意をよく読んで、選んではいけないものを選ばないようにすることも大切です。
例えば市販薬には、高血圧で治療している方が服用できない商品や服用後の自動車の運転が禁止されている商品などが多く存在します。使用上の注意の中に記載されている「してはいけないこと」の項目は特に注意して確認するようにしましょう。
市販薬選びに悩んだ際に
市販薬を活用した上手なセルフケアをしたいと思うものの、ドラッグストアなどで陳列している商品の数が多すぎて、自身に合ったものを選びにくいと感じている方もいらっしゃるでしょう。そういった方は是非、CureBell(キュアベル)を市販薬選びのツールの一つとして、利用してはいかがでしょうか。
①症状を選択、②くすりのこだわりや自身の身体の状態を選択、③気になる商品を比較の簡単3ステップで自身に合ったくすりを見つけることができます。まずは一度、利用してみてください!!