薬剤師が教える!飲みすぎ、二日酔いの症状におすすめの市販薬
お酒を飲んだ翌日に体のだるさを感じる、頭が痛い、胃がムカムカして吐き気があるなど、経験したことがある方もいるでしょう。折角、楽しくお酒を飲みたいのに、翌日体調不良になるのは避けたいでしょう。今回は二日酔いの原因や症状、おすすめの市販薬から対処法まで解説します。正しい知識を身につけ、二日酔いの予防やケアができるようになることで、お酒の席をより楽しめるようになるとよいでしょう。
目次
そもそも二日酔いとは
お酒を飲んだことで起こる不快な症状を一般的に、二日酔いや悪酔いなどといいます。お酒を飲んだあと、比較的早い時間(血中アルコール濃度の高いとき)に起こるものが悪酔いで、血中アルコール濃度が低くなるか、ほとんど消えた翌朝になってもまだ見られる不快な症状を二日酔いといいます。
二日酔い | 悪酔い |
---|---|
血中アルコール濃度が低くなるか、ほとんど消えた翌朝になってもまだ見られる不快な症状 | お酒を飲んだあと、比較的早い時間(血中アルコール濃度の高いとき)に起こるもの |
アルコール代謝の仕組み
お酒に含まれるアルコールは、肝臓で代謝されます。肝臓では、酵素などの働きによってアルコールはアセトアルデヒド(有害)に分解され、さらに酢酸(無害)に分解されます。酢酸は、筋肉や脂肪組織で水と二酸化炭素に分解され、吐く息や汗、尿として体外へ排出されます。
二日酔いの原因と症状
二日酔いは、お酒の飲みすぎが原因であることは明らかですが、二日酔いの症状がどのような機序で起きているのかについては不明の点が多いのが現状です。要因の一つとして考えられているものが、アセトアルデヒドの蓄積です。
二日酔いの原因はアセトアルデヒドの分解
肝臓での分解が間に合わないほどお酒(アルコール)を摂取した場合、アセトアルデヒドの排出に時間がかかってしまい、血中のアセトアルデヒドの濃度が高くなり、その毒性によって吐き気や胃もたれ、頭痛、体のほてり、のどの渇きなどの症状が現れます。
また、アルコールの刺激で胃が荒れ、胃の機能が低下することや脱水症状になることなども、二日酔いの不快な症状を引き起こす要因とされています。
アルコールの血中濃度と酔いについて
公益社団法人アルコール健康医学協会よると酔いの状態にはいくつかの段階があります。
酔いの段階 (血中濃度(%)) |
酒量 | 酔いの状態 |
---|---|---|
爽快期 (0.02~0.04) |
・ビール中びん(~1本) ・日本酒(~1合) ・ウイスキー・シングル(~2杯) |
・さわやかな気分になる ・皮膚が赤くなる ・判断力が少しにぶる |
ほろ酔い期 (0.05~0.10) |
・ビール中びん(1~2本) ・日本酒(1~2合) ・ウイスキー・シングル(3杯) |
・ほろ酔い気分になる ・手の動きが活発になる ・抑制がとれる(理性が失われる) ・体温上昇、脈が速くなる |
酩酊初期 (0.11~0.15) |
・ビール中びん(2~3本) ・日本酒(3合) ・ウイスキー・ダブル(4杯) |
・気が大きくなる ・大声でがなりたてる ・怒りっぽくなる ・立てばふらつく |
酩酊期 (0.16~0.30) |
・ビール中びん(4~6本) ・日本酒(4~6合) ・ウイスキー・ダブル(5杯) |
・千鳥足になる ・何度も同じことをしゃべる ・吐き気・おう吐が起こる |
泥酔期 (0.31~0.40) |
・ビール中びん(7~10本) ・日本酒(1合~1升) ・ウイスキー・ボトル(1/2本) |
・まともに歩けない ・意識がはっきりしない ・言語がめちゃくちゃになる |
昏睡期 (0.40~0.50) |
・ビール中びん(10本超) ・日本酒(1升超) ・ウイスキー・ボトル(1本超) |
・ゆり動かしても起きない ・大小便はたれ流しに ・呼吸はゆっくりと深い ・死亡 |
二日酔いの対処法
二日酔いによる症状には、市販薬で対応して様子を見ることが可能です。また薬によってはお酒との相互作用が悪い種類がありますので、ドラッグストアや薬局などで相談するとよいでしょう。
二日酔いによる吐き気やもたれ、むかつきなど
吐き気やむかつきなどには制酸成分や胃腸粘膜保護成分などが配合されている胃腸薬がおすすめです。また胃もたれや胃部・腹部膨満感には健胃生薬や消化酵素などが配合されている胃腸薬がおすすめです。
アルコールの代謝を助ける成分も有効
ウコンにはポリフェノールの一種であるクルクミンが多く含まれており、クルクミンは胆汁の分解促進、肝機能改善の作用があると言われています。
二日酔いによる頭痛に
ロキソプロフェンやイブプロフェンなどを配合した解熱鎮痛薬などの使用が検討できます。胃腸障害が少ないとされるアセトアミノフェンは、肝障害の恐れがあるため、二日酔いの時には避けるとよいでしょう。
二日酔いによる胃の不快感(吐き気など)と頭痛の両方に
二日酔いになる際に吐き気など胃の不快感と頭痛の両方の症状が起こることが多い方は漢方薬の五苓散(ごれいさん)を服用するとよいでしょう。食事の前と後どちらも二日酔いのケアができます。
五苓散(ごれいさん)
五苓散はむくみ、頭痛、飲みすぎによる二日酔いに対応する漢方薬です。漢方では、こういった症状を「水(すい)」が滞った水滞(すいたい)が原因で起こるものとして考えます。その為、二日酔いの際には、体の働きを高め、余分な「水(すい)」を体の外へ出す五苓散が選択肢となります。
茵チン五苓散(いんちんごれいさん)
二日酔いに効果のある漢方薬は五苓散にインチンコウを加えた茵チン五苓散も選択肢となります。インチンコウを加えることで清熱と脂肪の消化吸収を助ける働きがある胆汁の分泌を促進する(利胆)効果が期待できます。
二日酔いによる全身倦怠感に
ビタミン剤などに含まれる「L-システイン」は有害物質(アセトアルデヒド)を無害化する体のはたらきをサポートします。またエネルギー代謝を促し、疲れやだるさなどの全身倦怠の改善も期待できます。
最近、疲れている、お酒に弱くなったと感じる方は、L-システインの配合されたビタミン剤なども選択肢とするとよいでしょう。日常的に服用することで疲れやお肌のケアに、お酒を飲んだ後は二日酔いのケアに服用できます。
胃腸障害時の栄養補給に
飲み会前にヘパリーゼとよく耳にすることがあると思います。実はヘパリーゼには二日酔いの効能効果はありません。肝臓水解物は必須アミノ酸をはじめとする合計18種類ものアミノ酸が含まれており、胃腸障害時の栄養補給に役立ちます。
迎え酒は対処法の1つ?
「二日酔いには迎え酒」と言われることがあり、実際に迎え酒した経験がある方もいるのではないでしょうか。迎え酒をすることで、二日酔いを長引かせたり、繰り返すことでアルコール依存症のリスクにもなったりします。
もう一度酔うことで不快感を麻痺させ、楽になった気分にさせるだけですので、迎え酒はやめましょう。
アルコールが対外に排出されるのはいつ?
アルコールが体外に排出される(酔いがさめる)までの時間には個人差があり、お酒に弱い体質の人や女性は長くかかるとされています。
公益社団法人アルコール健康医学協会は酔いがさめるまでの時間の目安を公開していますので、参考にしてはいかがでしょうか。
- 体重約60kgの人が1単位のお酒を30分以内に飲んだ場合、アルコールは約3~4時間体内にとどまります。2単位の場合ではアルコールが体内から消失するまで約6~7時間かかります。
<お酒の1単位(純アルコールにして20g)>
ビール(アルコール度数5度)なら | 500ml(中ビン1本) |
日本酒(アルコール度数15度)なら | 180ml(1合) |
焼酎(アルコール度数25度)なら | 約110ml(0.6合) |
ウイスキー(アルコール度数43度)なら | 60ml(ダブル1杯) |
ワイン(アルコール度数14度)なら | 約180ml(1/4本) |
缶チューハイ(アルコール度数5度)なら | 500ml(ロング缶1缶) |
<二日酔いに効く市販薬の選び方>
二日酔いによる症状に使用できる市販薬
症状に合わせたおすすめの市販薬を紹介します。
二日酔いによる胃の不快な症状に
吐き気やもたれ、むかつきなどに
有効成分スクラルファートが胃痛のもと(胃粘膜の荒れた患部)に直接貼りつき、患部を保護・修復
アズレンスルホン酸ナトリウムとL-グルタミンが荒れた胃粘膜の修復を促進します
スーッとした香りで溶けやすい顆粒タイプです
ウコン配合の食前胃腸薬
頭痛に
ロキソプロフェンを配合した解熱鎮痛薬
■Point1
頭痛・生理痛・歯痛に、速くよく効きます
■Point2
胃への負担が少ないプロドラッグ製剤
■Point3
眠くなる成分※を含みません(※鎮静成分等)
■Point4
飲みやすい小型錠
イブプロフェンを配合した解熱鎮痛薬
●OTC医薬品最大量1回イブプロフェン200mgを1日3回まで服用できます。(1日最大量600mg)
●有効成分のイブプロフェンが、液状に溶けています。
●眠くなる成分が入っていないので、仕事中や運転される方にもおすすめです。
二日酔いに効く漢方
五苓散(ごれいさん)
茵チン五苓散(いんちんごれいさん)
衰え肝臓を助けアルコールの分解・代謝を促進
※二日酔
●飲酒翌日の酒残り(二日酔い)に効く漢方処方“茵蔯五苓散”です
●アルコールの分解・代謝を促進し、酒残りを改善します
●飲みやすい錠剤タイプです
二日酔い、全身倦怠に
L-システイン配合のビタミン剤
*全身倦怠(疲れ・だるさ)のことをさします。
こんな方におすすめ/こんな時におすすめ
●シミだけでなく、疲れ※も改善したい方
※全身倦怠(疲れ・だるさ)のことをさします。
●錠剤の飲みやすさを重視する方
●便利な大容量サイズを求める方
胃腸障害時の栄養補給に
肝臓水解物+アミノ酸、ビタミンの補給に
※二日酔いに効能があるわけではない
滋養強壮効果で栄養プラス
医薬品ヘパリーゼシリーズのメイン成分肝臓水解物に加え、ビタミン、滋養強壮作用のある生薬など6種の生薬を配合。
ノンカフェインだから夜寝る前にもおすすめ
二日酔い予防のためのセルフケア
二日酔いはお酒を飲む前、最中、後のそれぞれでケアすることができます。また正しいお酒の飲み方を理解することで悪酔いや二日酔いを防ぐこともできますので、適正飲酒を心がけるようにしましょう。
正しいお酒の飲み方(適正飲酒)とは
公益社団法人アルコール健康医学協会が「適正飲酒の10か条」を公開しています。適量を適切な方法で飲むことで、美味しいお酒を楽しく飲むことができるでしょう。
- 1.談笑し、楽しく飲むのが基本です
- 2.食べながら、適量範囲でゆっくりと
- 3.強い酒、薄めて飲むのがおススメです
- 4.つくろうよ、週に二日は休肝日
- 5.やめようよ、きりなく長い飲み続け
- 6.許さない、他人(ひと)への無理強い・イッキ飲み
- 7.アルコール、薬と一緒は危険です
- 8.飲まないで、妊娠中と授乳期は
- 9.飲酒後の運動・入浴、要注意
- 10.肝臓など、定期検査を忘れずに
お酒を飲む前のケア
体調管理に気をつける
体調が悪いと、アルコールの代謝機能が弱まります。かぜ等の体調がすぐれないときの飲酒を控えること、寝不足や激しい運動後等の飲酒も控えたほうがいいです。
空腹時の飲酒を控える
胃が空っぽの状態でお酒(アルコール)を飲むと、胃や腸での吸収が早まり血中のアルコール濃度が急に上がってしまします。また、胃の粘膜がアルコールに刺激されて荒れやすくなります。
事前に食べ物や飲み物を摂っておくことで、吸収が穏やかになったり、胃の粘膜を保護したりできるので、気をつけるとよいでしょう。
お酒を飲んでいるときのケア
おつまみを食べながらの飲酒を
タンパク質やビタミンB群などはアルコールを代謝・分解する働きを助けます。また乳製品は飲酒前に食べることで胃に膜を作ってくれます。
<例>
乳製品 |
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タンパク質 |
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ビタミンB群 |
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チェイサーを活用しよう
アルコールだけでなく、水などのチェイサーも飲むことで、アルコールを薄められたり、アルコールを飲む量を抑えられたりします。またアルコールで体内の水分が失われると二日酔いになりやすくなります。
ちゃんぽんは控えよう
様々な種類のお酒を飲むことを「ちゃんぽん」と言います。ちゃんぽんが二日酔いの悪酔いや二日酔いの原因になるというわけではありませんが、種類を変えて飲むうちに飲んだ量がわからなくなり、気づかないうちに量が増えてしまいます。飲みすぎの原因となるので、ちゃんぽんは控えるとよいでしょう。
夜遅くまでお酒を飲むことは控えよう
夜遅くまでお酒を飲むことで、アルコールの代謝・分解が間に合わずに朝を迎えてしまいます。飲酒の時間や量を事前に決めておくとよいでしょう。
お酒を飲んだあとのケア
水などで水分補給を行おう
脱水状態を避けるため、水などで充分な水分補給を行いましょう。効率的に水分の吸収ができるスポーツドリンクや経口補水液などでよいでしょう。
吐き気がある場合は我慢をしない
胃が気持ち悪く、吐きたくなった場合は、我慢せずに吐くことで、不快な症状を軽減できます。
入浴は控えよう
お酒を飲んだ後の入浴は脱水や事故の危険があるため、控えましょう。入浴は翌朝にシャワーで済ませるとよいでしょう。また湯船につかる場合はぬるめの湯に短時間とするとよいでしょう。
サプリメントも1つの選択肢に
お酒を飲む機会が多い方はサプリメントを服用してみるのも1つの手段です。サプリメントには肝臓エキスやウコン・クルクミン、オルニチンなどアルコールの分解に必要な栄養素を含むものがあります。医薬品のように二日酔いなどに対する効能効果はありませんが、お酒を楽しみたい方は試してみることもできます。
<お酒を楽しみたい方のサプリメントの選び方>
CureBell(キュアベル)では目的や商品区分、1日当の価格、栄養成分、GMP・ドーピング認証有無などの項目で簡単にサプリメントの検索・比較ができます。「自分に合ったサプリメントが分からない」「安全に使用できるサプリメントを探したい」そのような方はキュアベルを使って自身にあったサプリメントを選んでみましょう。
こんな症状は受診を
以下のような症状は急性アルコール中毒の可能性がありますので、注意しましょう。
- めまいや力が入らない
- 息苦しい、呼吸がおかしい
- 呼びかけても反応がない
- 冷や汗をかいている
急性アルコール中毒の場合は、命の危険も
大いびきをかいて痛覚刺激に反応しない、揺すって呼びかけても反応しない、体が冷たくなっている、倒れて口から泡を吐いている、呼吸状態が不安定などの兆候が現れた場合はすぐに救急車を呼びましょう。