薬剤師が教える!湿疹、かぶれ、あせもなどの皮膚症状におすすめの市販薬
汗をかきやすい夏場などはあせも(汗疹)や湿疹(皮膚炎)などで悩まれる方も多いでしょう。皮膚トラブルの症状や原因も様々であり、それぞれに適した対処法があります。今回は、湿疹、かぶれ、あせもなどの皮膚症状に効く市販薬の選び方について解説します。
目次
夏場によく起こる皮膚症状について
皮膚のポツポツやかゆみ、赤みなどの皮膚トラブルには、あせも、かぶれ、じんましんなどがあります。かゆみに耐えられず、掻いてしまうと症状が悪化してしまうこともあるため、早めに対処することがポイントです。
湿疹(皮膚炎)の主な症状
湿疹(皮膚炎)は、皮膚に炎症を起こす病気の総称です。湿疹には、赤くなったり、かさぶたのようになっていたり、小さな水ぶくれができたり、様々な症状が起こります。
かぶれの主な症状
かぶれは、湿疹の中でも「接触皮膚炎」といわれ、原因物質にふれた部位にかゆみや痛み、赤み、腫れが起きることです。食物、金属、植物、化粧品、毛染め、虫などによる外的刺激にふれることで起きる皮膚の防御反応です。
あせもの主な症状
あせもは、汗をかきやすいところにできる湿疹です。首の周りやわきの下、肘・膝の裏、ベルトや下着で締め付けのある部分など、汗をかきやすくムレやすい部位に、赤みをもった小さなポツポツができます。
じんましんの主な症状
何らかの物質が皮膚に接触することで起こるかぶれに対し、じんましんは特定の食材や医薬品など、口に入れたり皮膚接触以外の原因から皮膚に症状が起こることが多いのが特徴です。
医療機関への受診が必要な症状
「かゆみがひどい」「あせもがひどい」と外用薬を購入される方が多いですが、湿疹やかゆみの症状でも、薬疹(薬が原因で発症する発疹)や帯状疱疹などの疾患により医療機関(皮膚科)への受診を要するケースが隠れている場合があります。また皮膚の症状以外にも発熱など他の症状を伴う場合も受診しましょう。
市販薬を購入する際は、湿疹などの部位や状態、経緯などを薬剤師や医薬品登録販売者などに相談してから購入すると良いでしょう。
湿疹、かぶれ、あせもに効く市販薬の選び方
湿疹、かぶれ、あせもなどに対応した市販薬には、複数成分を配合した商品が大半を占めています。主成分は抗炎症作用があるステロイドの他に、かゆみを抑えるジフェンヒドラミンなどの抗ヒスタミン成分など様々です。
ステロイド成分
炎症を抑えることを期待して、ステロイド成分が配合されます。
非ステロイド性の抗炎症成分
代表的な成分はウフェナマートです。ステロイドではありませんが、炎症を抑える効果があります。比較的軽い湿疹や、ステロイドが使いにくい顔などの湿疹に向きます。
かゆみ止め成分
かゆみを抑えることを期待して、抗ヒスタミン成分や鎮痒成分、局所麻酔成分が配合されます。
抗ヒスタミン成分
代表的な成分はジフェンヒドラミンやクロルフェニラミンです。かゆみの原因物質となるヒスタミンなどを抑えます。 ジフェンヒドラミンはじんましんのかゆみにもよく使われる成分です。鎮痒成分
代表的な成分はクロタミトンです。軽い灼熱感を与え、患部でかゆみを抑えます。ジフェンヒドラミン同様にじんましんのかゆみにも使われます。
局所麻酔成分
代表的な成分はリドカインです。知覚神経の伝達を抑え、かゆみを和らげます。抗炎症成分や抗ヒスタミン成分と併せて配合されています。
その他
メントールやカンフルなど患部に清涼感を与え、かゆみを緩和する目的で配合される成分などもあります。炎症を抑える作用はないですが、スーッとした使用感がかゆみを感じにくくするといったメリットがあります。
かゆみが強い、または患部が腫れている場合
湿疹、かぶれなどは、掻いてしまうとさらに症状が悪化してしまう場合もあるため、かゆみが強かったり、腫れていたりする場合などは、ステロイド配合のものを選ぶと良いでしょう。
かゆみや炎症などが軽症の場合
かゆみなどが軽症であれば、抗ヒスタミン成分などの非ステロイドが配合されたものも選択肢となります。
患部をかき壊した場合
かき壊してしまった場合など化膿を伴う湿疹には、フラジオマイシンなどの抗生物質を配合した製品を選ぶと良いでしょう。
じんましんの場合
抗ヒスタミン成分(アレルギー症状を引き起こすヒスタミンの作用を抑える)を配合したものを選ぶと良いでしょう。
種類 | 成分 | 特徴 |
---|---|---|
ステロイド成分 | プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルなど | 炎症をおさえる |
非ステロイド性抗炎症成分 | ウフェナマートなど | 炎症をおさえる |
抗ヒスタミン成分 | ジフェンヒドラミンなど | かゆみの原因物質となるヒスタミンなどを抑える |
鎮痒成分 | クロタミトンなど | 軽い灼熱感を与え、患部でかゆみを抑える |
局所麻酔成分 | リドカインなど | 知覚神経の伝達を抑え、かゆみを和らげる |
その他 | メントール、カンフル | 患部に清涼感を与え、かゆみを緩和 |
ステロイドとは
ステロイドは外用皮膚薬などに配合されており、その効き目の強さは市販薬ではウィークに分類されるものからストロングに分類されるものまであります。
ステロイドの使い分け
手足などのかゆみがとてもつらいといった場合には、ストロングクラスのステロイドを選ぶと良いでしょう。
顔や首、デリケートゾーンなどの吸収が高い部位や小児に使用したいといった場合には、必要に応じてウィークかミディアム(マイルド)クラスのステロイドを配合した商品、またはウフェナマートなどの非ステロイドの抗炎症成分を配合した商品や抗ヒスタミン成分を配合した商品などステロイド無配合のものを選ぶと良いでしょう。
強さのランク | 主な成分 |
---|---|
ストロング | ベタメタゾン吉草酸エステル、フルオシノロンアセトニドなど |
ミディアム(マイルド) | プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルなど |
ウィーク | プレドニゾロン、ヒドロコルチゾンなど |
ステロイドの留意点
ステロイドが含まれている外用皮膚薬は、5~6日使用しても症状がよくならない場合は使用を中止しましょう。目、口唇などの粘膜の部分や目の周囲は避け、顔面は広範囲に使用しないようにしましょう。
ステロイドの副作用
ステロイド外用皮膚薬は、全身への影響を軽減し、皮膚の患部へしっかり作用するように作られています。
市販薬のステロイド外用皮膚薬を使用する場合は、使用量や使用期間を守り、正しく使えば全身に影響のある副作用が問題となることはほぼないといえるでしょう。
長期にわたって連用した場合や、皮膚が薄くデリケートな部位に強いステロイドを使用し続けることによって、塗ったところに局所性の副作用が出ることがあるため、注意が必要です。
まず弱めのステロイドで試した方が良い?
かゆみなど症状が比較的ひどい場合には、効き目が充分期待できる症状に合わせたステロイドを選択しましょう。慎重にあえて弱めのステロイドを選択する必要はありません。
効果の低い治療薬を使い続けると、治療期間が長くなり、場合によっては症状が悪化することがあります。
ステロイドの使用を避けたい場合
かゆみを抑える成分である抗ヒスタミン成分を中心とした商品があります。ステロイドを避けたい方は、ステロイド無配合の商品を選ぶと良いでしょう。
湿疹、かぶれ、あせもなどに効く市販薬を選ぶ際の留意点
剤型の特徴
皮膚炎の塗り薬には軟膏やクリーム、液体など、いくつかの剤型(形状)の種類があります。軟膏は一般的に油性で水をはじきます。傷の保護作用があり、刺激が少ないのが特徴です。
一方、クリームは軟膏と比べてよくのび、広い範囲に使用でき、ベトつき感がありません。液剤・ローションは液状のため、より広い範囲に塗布することができ、特に頭皮などの軟膏やクリームの塗りにくい場所にも使いやすい特徴があります。
成分をたくさん配合する商品が良い?
皮膚炎の塗り薬にはステロイド成分や局所麻酔成分、殺菌成分など複数の成分を配合した商品、いわゆる配合剤が多数存在します。こうした商品は、成分を1つだけ配合した単剤よりも効き目がよくなったり、幅広い症状に対応できたりする場合があります。
一方で、配合成分が増えると、薬の成分によるかぶれなど副作用のリスクも高くなります。皮膚が弱い方やかぶれやすい方などは、ステロイド成分などを1つのみ配合した単剤など、配合がシンプルな商品の方が良い場合もあります。
塗布する適切な量は?
ステロイド外用皮膚薬や保湿剤では目安としてFTU(フィンガーチップユニット)を使います。
軟膏やクリームの場合、FTUは大人の人差し指の先から第1関節まで薬を乗せた量で、約0.5gに相当します(チューブの穴の直径が5mm程度の場合)。これを1FTUと呼び、大人の手のひら2枚分くらいの面積に塗ることができます(体表面積の約2%)。ローションの場合は、1円玉大が1FTUとなります。
子どもが使用できる薬
基本的に生後6ヵ月以上であれば、子ども用でなくとも、多くのものが使用できますが、注意が必要なものもあります。子ども用の外用皮膚薬を中心に選ぶのがよいでしょう。
またメントールやカンフルが配合されたものは清涼感があるため、デリケートな子供の肌にはあわないこともあります。
<湿疹、かぶれ、あせもに効く薬の選び方>
【選び方別】湿疹、かぶれ、あせもに効くおすすめの市販薬
ストロングステロイドの単剤
『リンデロンVs軟膏』はすぐれた抗炎症作用をもつ「ベタメタゾン吉草酸エステル」を配合した皮膚疾患治療薬で、OTC医薬品では最も強いストロングに分類されるステロイド外用剤です。
しっしん、皮ふ炎、あせも、かぶれ、かゆみ、しもやけ、虫さされ、じんましんといった、日常の皮膚トラブルや様々な皮膚炎などの症状に効果を発揮します。
「軟膏」は油性のため、水などで流れにくく、刺激性が少なく、保湿力が高いです。
頭皮湿疹などの場合
『リンデロンVsローション』はすぐれた抗炎症作用をもつ「ベタメタゾン吉草酸エステル」を配合した皮膚疾患治療薬で、OTC医薬品では最も強いストロングに分類されるステロイド外用剤です。
しっしん、皮ふ炎、あせも、かぶれ、かゆみ、しもやけ、虫さされ、じんましんといった、日常の皮膚トラブルや皮膚炎などの症状に効果を発揮します。
乳液タイプで伸びが良く、さらっとした使用感です。臭いが少ないのも特徴です。
ミディアムステロイドの単剤
●しっしん、皮ふ炎、かぶれなどの炎症やかゆみに効果をあらわす、ヒドロコルチゾン酪酸エステルを配合した軟膏です。
●のびのよい、油脂性の軟膏です。患部がカサカサしているとき、ジュクジュクしているとき、どちらでも使用できます。
非ステロイド性の抗炎症成分などの配合剤(ステロイド無配合)
顔のかゆみ・かぶれに「キュアレア」
Point1 肌に優しいから目のまわりにも使える。
Point2 かゆみをサッと鎮める
Point3 炎症の悪循環を断つ!
●ウフェナマートとグリチルリチン酸二カリウムは非ステロイド性の抗炎症成分で、炎症部位に直接作用し、炎症の原因物質の生成を抑え、患部の炎症や痛みを抑えます。
●ウフェナマート、グリチルリチン酸二カリウムに、かゆみを抑えるリドカイン、クロルフェニラミンマレイン酸塩、皮膚の血行を改善するトコフェロール酢酸エステルを配合し、皮膚炎、かゆみ、湿疹などに優れた効果を発揮します。
●ステロイドを配合していません。
●お子様の皮膚や、顔・首など皮膚の薄い部位にも使用できます。
●べとつかないのびの良いクリーム基剤です。
ステロイド成分+抗ヒスタミン成分などの配合剤
1.クロタミトンとジフェンヒドラミン塩酸塩が、虫さされ等のかゆみにすぐれた効果を発揮します。
2.ヒドロコルチゾン酢酸エステルとグリチルレチン酸が、しっしん・かぶれ等の皮膚の炎症をしずめます。
3.アラントインが皮膚の組織修復を助けます。
4.イソプロピルメチルフェノールが殺菌作用を発揮します。
頭皮湿疹などの場合
1.頭皮のかゆみをすばやく止める
かゆみ止め成分と清涼感成分がすばやくかゆみを止めます。
2.炎症をしっかり鎮める
抗炎症成分がかゆみの元となる炎症を鎮めます。
3.患部の状態を整える
・2つの修復促進成分が掻き壊しなどで荒れた頭皮の修復を助けます。
・殺菌成分が雑菌の繁殖を抑えます。
■頭皮の患部に塗りやすい!こだわり設計!
・患部に直接塗れるピンポイント容器
・べたつかないサラッとした透明ローション
抗ヒスタミン成分の単剤(ステロイド無配合)
じんましんなどの症状に
特長 1 かゆみに高い効果
特長 2 のびやすく、塗りやすい
特長 3 肌にやさしい
抗ヒスタミン成分+かゆみ止め成分などの配合剤
デリケートゾーンのかゆみなどに
●デリケートゾーンのかゆみ・かぶれに
●べたつかないクリームタイプのかゆみ止め薬
●生理時・おりものによるかゆみ、下着かぶれ、汗ムレによるかゆみ
●などにお使いください
かさつく肌のかゆみなどに
「メンソレータムADクリームm」は、3つのかゆみ止め成分(クロタミトン・リドカイン・ジフェンヒドラミン)配合で、かかずにいられないしつこいかゆみをすばやくしずめます。
かゆみをしっかり抑えて、かゆみの起きにくい肌へと導きます。
保湿基剤(グリセリン)配合で、かさつく肌もなめらかに。
伸びがよく、べたつかない非ステロイドのクリームです。
ステロイド+抗生物質の配合剤
かきむしってジュクジュクした湿疹・皮膚炎まで
いつも、そばに。フルコートf
優れた抗炎症作用のある「フルオシノロンアセトニド」と、抗生物質「フラジオマイシン硫酸塩」を配合した軟膏剤です。「フルオシノロンアセトニド」がつらい湿疹・皮膚炎の炎症を抑え、「フラジオマイシン硫酸塩」が細菌感染(化膿)を抑えます。
1.クロラムフェニコール、フラジオマイシン硫酸塩の2つの抗生物質を配合し、化膿した患部を治します。
2.プレドニゾロン(ステロイド成分)が、湿疹、皮膚炎等の炎症にすぐれた効き目を発揮します。
3.患部を保護する油性基剤なので、カサカサした患部のほか、ジュクジュクした患部にも使用できます。
かきくずし、化膿しそうな湿疹に適しています。効能が広いので、ご家庭に一つおいておくととても便利な軟膏剤です。
湿疹、かぶれ、あせもなどにおすすめのセルフケア
お肌のバリア機能を保つため、肌トラブルの改善にはのセルフケアも重要です。
スキンケアによるバリア機能の維持を
肌を清潔にし、潤いを保つことはバリア機能を維持するうえで、大切なことです。普段使うボディソープなどの洗浄料は低刺激のものを使ったり、医薬部外品などの肌あれ防止効果のあるものを使ったりするとよいでしょう。また洗った後などは肌が乾燥しないように保湿をすることでバリア機能を高めることも大切です。
規則正しい生活によるバリア機能の維持を
スキンケアと同時に規則正しい生活も大切です。偏った食生活や睡眠不足、ストレスなどで肌あれが起こったり、バリア機能が低下することもあります。
夏場は特に肌のケアを
夏場は汗をかくことが多くなり、湿疹やあせも、かぶれなどの症状が多くなります。日頃から以下のようなケアを心がけておくことも大切です。
- 汗をこまめにふきとる
- 汗をかいた後はシャワーなどを浴びて、肌を清潔に保つ
- 通気性や吸水性の良い服を選ぶ
- エアコンなどを活用し、汗をかく量や頻度を抑える
- 紫外線対策を行う(特に肌が弱い方は皮膚の露出も少なめにする)
こんな場合は受診を
以下に1つでも当てはまる場合は、医療機関を受診しましょう。
- 皮膚症状以外に発熱などの全身症状などがある
- 水ぶくれ(水泡)、腫れ、ほてり、痛みが強いとき
- 神経に沿った湿疹
- 薬剤服用後の湿疹
- かきこわし、ただれが強い
- ステロイドが含まれている外用皮膚薬を5~6日使用しても症状が良くならない