薬剤師が教える!水虫におすすめの市販薬
水虫は、白癬菌というカビの一種に感染することで生じる病気です。足の指の間の皮がむけたり、じゅくじゅくしたり、足のいたるところに水ぶくれやかさかさができる、かかとなどの皮膚が硬くなる、かゆみを生じるといった症状が出ます。
市販薬でも水虫への効果は十分期待できるため、上手に市販薬を使いましょう。
今回は、おすすめの市販薬とともに、成分や選び方、使用時の注意点などを紹介します。
大手ドラッグストアでOTC(市販薬)を中心としたヘルスケア製品の接客販売や、メガベンチャー企業でオンライン診療事業の管理薬剤師を経験後、ウィルベース株式会社に入社。
現在は当サイト「CureBell」の運営・コラム作成、OTC・サプリメント等のリサーチ活動を務める。
市販薬でも水虫を治すことはできる!
市販の水虫薬には様々なものがあります。最近では、医療用医薬品の強力な成分を含むものが市販されるようになり、完治ものぞめる優れものです。
症状がなくなっても使い続ける、症状がない部分にも広範囲にしっかりと薬を使うといったポイントを押さえることで、高い効果が期待できます。薬の正しい使い方については後半で詳しく解説するのでご参考にしてください。
ただし、病院での治療が必要なケースや水虫以外の皮膚の病気であることもあるので注意しましょう。
病院の受診が必要なケース
- 水虫の診断を受けていない人
- 炎症などの症状が強いケース
- 症状が広範囲にわたるケース
- 爪白癬の人
- 糖尿病の人
- アレルギー体質の人
- 妊娠中・妊娠の可能性がある人
- 市販薬でよくならないケース
- 子ども
本当は水虫ではないのに、自己判断で水虫だと思い込んでしまうケースでは、薬を使っても治ることはありません。まずは適切な診断を受けることが大事です。
また、症状が強い場合は、市販薬を使うことでさらに症状が悪化することも。
さらに、
爪に症状がある場合は、市販薬では効果が期待できないため、爪が濁っている、爪が変色している等の場合は皮膚科を受診しましょう。
そのほか、体質によっては市販薬の使用にリスクがある方もいます。上記のような状況に当てはまる方は、医療機関の受診を検討しましょう。
市販の水虫薬の種類
水虫の原因は、白癬菌という真菌(カビ)の一種です。白癬菌は、身体のさまざまな部位に感染することがあります。その中でも 高温多湿なところで増殖しやすいという特徴があるため、靴や靴下で蒸れやすい足に水虫の症状が出る方が多いです。
水虫の治療では抗真菌薬を使うのが基本です。さまざまな有効成分がありますが、成分によって、必要な塗布回数が異なります。高い効果が期待できるものは1日1回使えばよいですが、そうでないものは1日2~3回塗る必要があるのです。
基本的には、 1日1回塗ればよい成分が配合されたものを選ぶとよいでしょう。効果が高いうえに、塗る回数が少ないため、使いやすいです。
市販の水虫薬の選び方
市販の水虫薬を選ぶときは、症状に合った成分・剤形(形状)のものを選ぶようにしましょう。
また抗真菌成分以外にも、かゆみ止め等さまざまな成分が配合されている薬や、クリーム、液体、スプレーなど剤形(形状)の違いがありますので、いくつかの点を勘案し、自分に合ったものを選びましょう。
成分で選ぶ
ブテナフィン、テルビナフィンなどの抗真菌成分で 1日1回塗ればよいものを選ぶのが基本です。病院で処方される薬としてもよく使われている成分であり、1日2~3回タイプのものより効果が高いと言われています。
かゆみなどの症状が気になる場合は、抗真菌成分とあわせてかゆみ止めや清涼成分が配合されているものを選びましょう。
かゆみがある:かゆみ止め成分・清涼成分の配合の薬
かゆみがあるときは、ジフェンヒドラミンなどのかゆみ止めやメントールなどの清涼成分が配合されていると、症状緩和につながりやすいでしょう。
日中たびたびかゆくなるような場合は、かゆくなるたびに塗れるように、あえて1日に2~3回の塗布が必要な薬を選ぶのも一つの方法です。
種類 | 主な成分 | 効果・特徴 | |
---|---|---|---|
抗真菌薬 | 1日1回タイプ | ・ブテナフィン ・テルビナフィン ・ビホナゾール ・ラノコナゾール |
白癬菌の増殖を防いだり、破壊したりする効果が期待できる |
1日2~3回タイプ | ・エコナゾール ・オキシコナゾール ・クロトリマゾール ・ミコナゾール |
||
かゆみ止め成分 | 鎮痒成分 | ・クロタミトン | かゆみを緩和する効果が期待できる |
抗ヒスタミン成分 | ・ジフェンヒドラミン | ||
局所麻酔成分 | ・リドカイン ・ジブカイン |
||
清涼成分 | メントール | さっぱりとした使い心地がする | |
殺菌・消毒成分 | イソプロピルメチルフェノール | 患部を殺菌・消毒する |
症状に合った剤形(形状)で選ぶ
症状によっても適した剤形があります。剤形とは、 軟膏、クリーム、液体、スプレーなどの薬の形態のこと。それぞれで使い心地が異なるため、使い心地を重視して剤形を選ぶのもおすすめです。
ひび割れがある:軟膏・クリーム
かかと等がカサカサでひび割れがある場合は、刺激が少ない軟膏を選ぶとよいでしょう。軟膏は刺激が少ないため、患部の状態がどんな状態でも使えるのがメリットです。 ベタつきが気になる方はクリームも選択肢の1つです。
ジュクジュクが気になる:軟膏・パウダースプレー
軟膏は患部の状態によらず使えるため、ジュクジュクしているときのよい選択肢となります。また、ジュクジュクしているときは、 さらっとするパウダースプレーもおすすめです。グジュグジュした患部が保護され、乾燥しやすくなります。
かさかさしている:液体・スプレー
かさかさはどんな剤形でも使いやすいですが、特に液体やスプレーがおすすめです。ただし、ひび割れには液体やスプレーは刺激が強いため、 ひび割れてしまっているときは軟膏を選びましょう。
また、液体・スプレータイプはアルコールを含むものもあり、 傷がある場合は刺激になるため注意しましょう。
水ぶくれがある:クリーム・軟膏
水ぶくれも基本的にはどんな剤形でも問題ありませんが、べたつき、刺激ともに少なめのクリームがおすすめです。
ただし、クリームは刺激があるので、 水ぶくれがやぶれたりただれたりしている場合は使えません。軟膏を選びましょう。
種類 | おすすめの剤形(形状) |
---|---|
ひび割れがある | 軟膏、クリーム |
ジュクジュクが気になる | 軟膏、パウダースプレー |
かさかさしている | 液体、スプレー |
水ぶくれがある | クリーム、軟膏 |
使い心地で選ぶ
軟膏、クリーム、液体、スプレーなどの剤形(形状)で使い心地が異なるため、使い心地に合った剤形を選ぶのもおすすめです。
しっかり塗りたい:軟膏
しっかり塗りたい、刺激が少ないものが良い方は軟膏がおすすめです。ただ、べたつきがあるので使い心地はあまりよくありません。
さっと塗りたい:クリーム・液体・スプレー
べたつきがなく、さっと塗りたい方にはクリームや液体、スプレータイプがおすすめです。クリームはさっと塗れて、液体やスプレーより刺激が少ないのが特徴です。
液体やスプレーは乾燥が比較的早いので、すぐに靴下などを履くことができます。
また、スプレータイプは手が汚れないのもメリットです。
さらっとさせたい:パウダースプレー
さらさら感が好みの方は、パウダースプレータイプがおすすめです。ただ、値段がやや高いことが多かったり、足全体には広げづらかったりするというデメリットもあります。
価格で選ぶ
水虫治療は根気よく続けることが大事です。ある程度の期間使い続ける必要があるため、使い続けやすい価格を選ぶこともポイント。一般的に、パウダータイプはやや価格が高い傾向があります。
水虫のおすすめ市販薬
ここからは、抗真菌薬の剤形(形状)別に、おすすめの水虫薬をご紹介します。
軟膏
1.すぐれた抗白癬菌作用があります。
抗生物質ピロールニトリンと抗真菌剤クロトリマゾールの協力作用により、効率的に白癬菌を消失させ、炎症等の症状を改善します。
2.すぐれた鎮痒効果があります。
鎮痒剤のクロタミトンが、不快なかゆみをとります。
1.殺真菌成分「ラノコナゾール」が、患部によく浸透し、角質が厚くなってしまったみずむしにも効果を発揮します。長時間患部に貯留し、1日1回の使用で効果をあらわします。
2.「イソプロピルメチルフェノール」が、かきこわし等による患部の二次感染を防ぎます。
3.「グリチルレチン酸」が、患部の炎症をおさえます。
4.ワセリン基剤の軟膏剤ですので、ジュクジュクタイプの症状にも適しています。
クリーム
エクシブシリーズは1日1回の使用で効果をあらわす水虫治療薬です。
奥深くの水虫菌も浸透殺菌し、しつこいかゆみにもはたらく処方設計。
不快な水虫を角質層の奥まで退治し、キレイな素足へ導きます。
さらに、かゆみと炎症をしっかり抑えます。
「エクシブ Wディープ10クリーム」は、尿素を10%配合。硬くなったかかと、足裏を柔らかくし、有効成分が浸透しやすい皮膚状態にします。
爽やかなせっけんの香り。
●ダマリングランデXは、白癬菌を殺菌する「テルビナフィン塩酸塩」に、患部を殺菌・消毒する「イソプロピルメチルフェノール」、かゆみ・痛みをしずめる「リドカイン」、炎症を改善する「グリチルレチン酸」、清涼感を与える「l-メントール」の5種類の有効成分を配合。1日1回の使用により、かゆみや痛みを伴う水虫・たむしを改善します。
●サラッとべたつかないクリームで、ジュクジュクした患部におすすめします。
・白癬菌が皮膚表面の角質層等のケラチン質を侵すことによって激しいかゆみがおこります。
・ブテナロックVαクリームは優れた効きめで水虫の原因菌(白癬菌)を殺菌する、水虫・たむし治療薬です。
優れた殺菌力「ブテナフィン塩酸塩」配合。かゆい水虫にも効く!
・角質層によく浸透し、水虫の原因菌(白癬菌)を殺菌します。
・かゆみ止め成分「クロルフェニラミンマレイン酸塩」「ジブカイン塩酸塩」「クロタミトン」に加え、l-メントールのスーッとした使用感でかゆみを抑えます。
・抗菌成分「イソプロピルメチルフェノール」配合。
・炎症をおさめる「グリチルレチン酸」配合。
・皮膚貯留性が優れている為、1日1回で効きます。
・使いきりチューブ採用。
液体
エクシブEXシリーズは1日1回の使用で効果をあらわす水虫治療薬です。
抗真菌剤「テルビナフィン塩酸塩」が患部にしっかり浸透して、水虫菌を浸透殺菌!不快な水虫を角質層の奥まで退治し、キレイな素足へ導きます。
さらに、3つのかゆみ止め成分(クロルフェニラミンマレイン酸塩・クロタミトン・リドカイン)が、しつこい痒みもしっかり抑えます。
また、抗炎症成分「グリチルレチン酸」が炎症をしっかり抑えます。
患部に触れず手が汚れないミストタイプ。カサカサ水虫に。
清潔感のある爽やかな「せっけんの香り」です。
1.殺真菌成分「ラノコナゾール」が、患部によく浸透し、角質が厚くなってしまったみずむしにも効果を発揮します。長時間患部に貯留し、1日1回の使用で効果をあらわします。
2.「クロルフェニラミンマレイン酸塩」「クロタミトン」が、患部の不快なかゆみをしずめます。
3.「l-メントール」が、患部にスーッとした清涼感を与え、かゆみをしずめます。
4.「グリチルレチン酸」が、患部の炎症をおさえます。
5.カサカサタイプの症状に塗りやすく、使いやすい液剤です。
●ダマリングランデX液は、白癬菌を殺菌する「テルビナフィン塩酸塩」に、患部を殺菌・消毒する「イソプロピルメチルフェノール」、かゆみ・痛みをしずめる「リドカイン」、炎症を改善する「グリチルレチン酸」、清涼感を与える「l-メントール」の5種類の有効成分を配合。
1日1回の使用により、かゆみや痛みを伴う水虫・たむしを改善します。
●浸透しやすい液剤で、カサカサした患部におすすめします。
スプレー
パウダースプレー
乾燥させて治す
1日1回で効く
●ダマリンパウダースプレーDXは、白癬菌を殺菌する「テルビナフィン塩酸塩」に、かゆみ止め成分「リドカイン」、炎症を改善する「グリチルレチン酸」、清涼感を与える「l-メントール」の4種類の有効成分を配合した1日1回型の水虫・たむし治療薬です。
●手を汚さず、手軽に使えるパウダーinスプレーで、患部をさらさらにします。
●外装は、店頭で効き目感を伝えるデザインに、中身はご家庭に置きやすいシンプルなデザインです。
市販の水虫薬を使うときの注意点
水虫薬は使い方によって効果が左右されることがあります。そこで、水虫薬を使うときの注意点についても見ていきましょう。
水虫を自己判断しない
水虫のような症状があっても、白癬菌が存在しなければ水虫ではありません。水虫ではないのに抗真菌薬を使っても症状はよくならないため、 まずは水虫かどうかを診断してもらう必要があります。
そのため、水虫かも?と思ったら皮膚科を受診しましょう。
上手な塗り方
症状があるところだけでなく、足全体に塗りましょう。症状がない場所にも白癬菌は存在するためです。 足の裏、側面、指の間、くるぶしまわりまでしっかり塗ってください。
また、片方の足だけに症状が出ることがありますが、症状がない足にも白癬菌がついている可能性が高いため、症状がない足にも塗りましょう。
清潔かつ皮膚が柔らかくなっている(薬が浸透しやすい)お風呂あがりに塗るのがおすすめです。水分をよくふいてから塗りましょう。
薬を中断しない
水虫の治療は想像以上に時間がかかるものです。症状がなくなり、見た目が普段通りの状態に戻っても、しばらくは白癬菌が存在しています。そのため、症状がなくなったからといって薬を中断するのはNG。 症状が改善されてから最低でも1~2ヶ月は薬を塗り続けましょう。
また、毎年水虫が再発してしまうという悩みのある方は、白癬菌を退治しきれていない可能性が高いため、しっかり塗り続けて根治を目指しましょう。
かゆみ止めだけでは完治しない
水虫薬を買うのは恥ずかしいから、かゆみ止めを使ってみよう、と思ってしまう方もいるかもしれません。しかし、水虫治療のためには白癬菌を退治しなければならず、そのためには抗真菌薬を使う必要があります。
かゆみ止めには抗真菌成分は入っておらず、かゆみを止めるための対症療法にしかなりません。
きちんと水虫を治すためには水虫薬を使うことが大切です。
爪の水虫は塗り薬では治らない
爪が白~黄白色に濁っている、分厚い、もろいといった状態になっているときは、爪水虫の恐れがあります。
爪水虫の場合、白癬菌は爪の中まで入り込んでいるため、塗り薬では有効成分が爪まで届かず、治すことができません。そのため、爪水虫には飲み薬を使うことが一般的です。 市販薬はないので皮膚科などを受診し、適切な治療を受けましょう。
妊娠中・授乳中は医師や薬剤師に相談しよう
外用の水虫薬は、妊娠中も授乳中も問題ないとされています。これは、皮膚から血液中に吸収される抗真菌薬の成分がとても少ないためです。
しかし、妊娠中や授乳中は普段と体の状態が異なることもあるうえに、子どもへの影響も気になるものです。そのため、 担当医や薬剤師に相談してから購入するようにしましょう。
しばらくしても治らないときは病院へ
市販薬を2週間程度使っても全く症状がよくならないときは、自分に合っていない成分を使っている可能性や、水虫ではない可能性があります。皮膚科などを受診し、医師の判断を仰ぎましょう。
水虫にはセルフケアも重要!
水虫は家庭内で感染してしまうことも多い病気です。そのため、たとえ薬を塗っていたとしても、家族の誰かが水虫になっていたり、白癬菌が家の中に存在したりすればなかなか治りません。そのため、セルフケアもとても重要となります。
まず、 毎日お風呂に入って足を石けんで洗い、きちんと洗い流すなど、清潔を心がけましょう。よくふいて乾燥させることも大事です。
できれば バスマットやタオル、スリッパなどを洗わないまま共用しないようにしましょう。 バスマットやタオルは頻繁に交換し、日の当たるところで干すこともポイントです。高温多湿も大敵なので、 靴下や靴は通気性のよいものを選び、できれば履かないほうがよいでしょう。
水虫薬による治療とセルフケアを両方しっかり行い、水虫を治しましょう!