話題の「内臓脂肪減少薬」アライ(オルリスタット)について解説〜現役薬剤師からのアドバイス〜
ニュースや広告で話題となっているOTC医薬品(市販薬)である「内臓脂肪減少薬」アライ(オルリスタット)が気になった、購入してみたいと思った方がいることでしょう。市販薬を販売する現役の薬剤師が、アライについてポイントを解説します。
目次
アライ(オルリスタット)とは?
内臓脂肪減少薬です。2024年4月に発売され、薬剤師から対面で情報提供や指導を受けて購入することができる市販薬(要指導医薬品)です。アライの成分であるオルリスタットは、消化管管腔内で脂肪分解酵素リパーゼの活性を阻害し、食事由来の脂肪の吸収を抑制します。その結果、食事由来の脂肪のうち、約25%を便として排泄することが期待できます。
アライは効くの?
日本人の臨床試験では、生活習慣の改善に取り組みながら1日3回、約1年間にわたり服用した人は、内臓脂肪の面積が約21.5%、腹囲が約4.7センチ減少したデータがあります。また、服用開始4週間後からの効果が認められています。大正製薬のサイトにアライを使用した国内の臨床試験結果があります。
アライは誰でも購入できる?
このような効果が認められるアライですが、購入できる方には制限があり、いくつかのチェック事項をクリアする必要があります。
購入を検討したい方はまずチェックを!
チェック事項はたくさんありますが、まずは以下の3点を確認すると良いでしょう。
- 18歳以上
- 腹囲(へその高さ):男性85cm以上、女性90cm以上
- 生活習慣改善に取り組んでいる(生活習慣記録があるか?)
腹囲が上記未満の方は対象外となります。また、健康障害を有するような肥満の方などは、医療機関での治療を優先するため服用することができません。
その他、妊娠または妊娠していると思われる人、授乳中の人は服用できないほか、併用が禁じられている薬もありますので、薬剤師に相談しましょう。
生活習慣改善の取り組みや記録とは?
アライは、3ヶ月以上の生活習慣改善の取り組みをおこなっている方が購入可能で、直近1ヶ月間の生活改善の記録の確認が必要です。生活習慣記録は、見本がダウンロード可能です。
食事、運動、腹囲、体重の記録は、週に1回以上であれば許容範囲です。また、体脂肪率とBMIは任意記入であり、生活習慣記録はアライを購入しようとするその場で記入することも可能です。ただし、時間をかけて記録をつけていただいても販売できないケースがあるため、購入前チェックシートにて服用が可能か、事前に薬剤師に相談するようにしましょう。
服用後おならをすると便が出るって本当?
オルリスタットの特徴としては、食事に含まれる油(脂肪)の吸収を抑制することにより、油(脂肪)をそのまま排出するため、特有の症状(下痢や軟便)が生じる可能性があります。「おならをすると便が漏れる」「気づかない間に肛門から油が漏れる」といった副作用の可能性もあります。
しかし、これらの症状の多くは、軽度で、服用を開始して早い時期に出ることが多く、短期間でなくなる傾向があります。できる限り、油(脂肪)の多い食事を避けることで軽減できる可能性があります。また、以下のような対策をすると良いでしょう。
- 下着にパッド(ナプキン)を付ける。
- 替えの下着を準備しておく
- おならが出そうなときや便意があるときはすぐにトイレに行くようにする
- 外出時はトイレの場所を把握しておく
アライの飲み方は?
アライは、1日3回食事中又は食後1時間以内に服用します。食事を摂らなかった場合や、かけうどんなど脂肪がほとんど含まれていない食事を摂った場合は服用しないようにします。また有効成分オルリスタットが作用するメカニズムによって、脂溶性ビタミンであるビタミンA、D、E、K、βカロテンの吸収低下が生じる可能性があります。その対策として、オルリスタット服用中は、マルチビタミンサプリを就寝前に補充することも検討できます。
最後に、アライ購入検討の際のお願い
アライは、前述したように必ず薬剤師が販売する市販薬(要指導医薬品)です。使用上の注意をしっかりと守り、購入・服用するようにお願いします。
また薬剤師は、アライの使用が可能かどうかのチェックシートを用いての判断はもちろんですが、そのお客様にとって使用することが有益なセルフケアにつながるのか、医療機関へ受診する必要性がないかなどを総合的に判断します。
そのためには、お客様としっかりとコミュニケーションをとって、BMIや生活習慣、持病などの確認、特有の副作用の説明などを丁寧に情報提供する必要があります。そのため、薬剤師からの質問にはぜひご協力をお願いします。「薬剤師は、薬局でただ薬を集めて出しているだけ」と思われるかもしれませんが、こうした市販薬販売のサポートや相談など販売後のフォローアップもしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
要指導医薬品とは
ドラッグストアや薬局にて自分で選んで買うことができる市販薬には、要指導医薬品と一般用医薬品の2種類があります。これらはOTC医薬品とも呼ばれます。要指導医薬品には、医療用医薬品から市販薬に転用されて間もない薬などがあり、取扱いに十分な注意が必要なため、安全に使用されるように購入の際には必ず薬剤師から対面での指導や情報提供を受けることとなっています。
要指導医薬品は、原則3年間市販薬として販売された後、安全性に問題がなければ一般用医薬品へ移行されます。
要指導医薬品はどのドラッグストアや薬局でも購入できるわけではなく、取り扱い店が限られているため、事前に取り扱いしている店を探しておくとよいでしょう。
アライの取り扱い店は、大正製薬のサイトから検索できます。