薬剤師が教える!風邪の諸症状におすすめの市販薬
いわゆる風邪薬というと、まず総合風邪薬が思い浮かぶのではないでしょうか。総合風邪薬には、熱を下げたり痛みをとる成分や鼻水を抑える成分、咳を抑える成分など、成分が複数含まれており、多種多様なものがあります。
「常備薬として家に置いておきたいけれど、どれが良いのか分からない。」という方もいるでしょう。
このコラムでは、風邪の諸症状に効く市販の風邪薬の選び方のポイントについて解説します。
どのようなときに風邪薬を使うべき?
ドラッグストアや薬局に来られる方の中には、少し鼻水が出ているだけの症状でも、「風邪を引いた」といって総合風邪薬の購入を希望される方も少なくありません。
風邪症状(発熱、せき、鼻水など)が1つの場合
しかし、症状が発熱のみであれば解熱剤を、咳のみであればせき止めを、鼻水のみであれば鼻炎薬を選ぶなど、症状にピンポイントに抑える市販薬を選ぶことで不要な成分を摂取することによる副作用(眠気、便秘、口渇など)やアレルギーのリスクを減らすことができます。
風邪症状が2つ以上ある場合
発熱、のどの痛み、咳、たん、鼻水、くしゃみなど、風邪の症状が2つ以上あるような場合には、総合風邪薬の出番となります。
解熱剤+咳止めといった個々の症状に合った市販薬を複数組み合わせる方法もありますが、飲み合わせが大丈夫かなどを薬剤師や登録販売者などの資格者へ相談するようにしましょう。
風邪の諸症状に効く市販薬の選び方
総合風邪薬には複数の有効成分が配合されておりますが、選び方としては、熱を下げたり痛みをとる成分(解熱鎮痛成分)の選択が大きなポイントになります。
高熱またはのどの痛みが強いとき
高熱が続き、体力を消耗してだるさを感じていたり、つらい頭痛やのどの痛みがある場合、使用者が15歳以上であれば、解熱鎮痛作用だけでなく抗炎症作用にも優れるロキソプロフェンやイブプロフェンなどが配合された総合感冒薬を選ぶと良いでしょう。
イブプロフェンを配合した総合風邪薬でさらに効き目を重視する場合は、イブプロフェンが1日最大用量の600mgが配合されている商品を選ぶと良いでしょう。
平熱から微熱のとき
風邪の初期や後期で、症状が軽度の場合やお子様などファミリーで使うといった場合は、お子様から高齢者まで使用できるアセトアミノフェンが配合された総合風邪薬を選ぶと良いでしょう。
病院で良く処方される医薬品でもあるアセトアミノフェンは、比較的安全性が高いのですが、抗炎症作用はほとんどないとされています。
また、アセトアミノフェンを配合した総合風邪薬は、
商品によって使用できる年齢が異なるため注意してください(1歳以上から使用可:パブロンS微粒、5歳以上から使用可:エスタック総合感冒、15歳以上から使用可パイロンPL顆粒Proなど)。
インフルエンザ流行期などに
インフルエンザに伴う発熱に解熱鎮痛薬を使用する場合はアセトアミノフェンが推奨されていることから、インフルエンザ流行期などにも解熱鎮痛作用がある成分としてはアセトアミノフェンのみを配合した総合風邪薬を第一選択として考えるとよいでしょう。ただし、高熱が続く、呼吸が苦しいなどの症状があれば医療機関を受診しましょう。
風邪の引きはじめ
また、風邪の初期(引きはじめ)であれば、葛根湯などの漢方薬も選択肢となります。眠くなる成分が入っておらず、自動車等の運転が可能なものが多くあります。発汗の状態や体力の有無も踏まえて選ぶようにしましょう。
成分 | 効果 | その他 |
---|---|---|
イブプロフェン ロキソプロフェン |
鎮痛効果は強め | 市販薬では15歳未満は服用不可 |
アセトアミノフェン | 鎮痛効果はやさしめ、炎症を抑える作用はほとんどない | 小児から高齢者まで使用できる 胃に優しい |
葛根湯 | 風邪の初期(ひきはじめ) | 眠くなる成分が入っていない |
風邪を予防するために
風邪の場合、薬は対症療法にすぎないので、日ごろから風邪を引きにくくするには、風邪の原因となるウイルスに感染しないよう、衛生面に注意することが重要な予防策です。
また、適度な運動やバランスのよい食事で抵抗力(免疫力)を養い、「風邪を引きにくい健康な体づくり」を心がけることも大切です。
手洗い・うがい
風邪は、電車のつり革や手すり、家具などに付着したウイルスを触った手を介して感染することもあるため、手洗いも大切です。手洗いやうがいをしっかりして予防しましょう。
空気の乾燥を防ぐ
空気が乾燥すると、鼻やのどの粘膜が乾燥して体の防御機能が低下し、ウイルスに感染しやすくなります。冬場の室内の湿度を適度に保って、感染しにくい環境を整えましょう。
栄養バランスの良い食事と適度な運動
ビタミンやアミノ酸など栄養バランスの良い食事や無理のない範囲での適度な運動、睡眠をしっかりとるなど、規則正しい生活をすることが大切です。
<総合風邪薬の選び方>
【選び方別】風邪の諸症状に効くおすすめの市販薬
喉の痛みがつらい風邪の症状に
など
鼻水がつらい風邪の症状に
など
咳、痰がつらい風邪の症状に
など
アセトアミノフェン配合のかぜ薬
1歳以上使用可能
5歳以上使用可能
7歳以上使用可能
風邪症状に対応した漢方薬
引きはじめで比較的体力があり、発汗がみられない場合
引きはじめで体力があり、寒気があり節々が痛む等の場合
風邪の鼻症状などに
持病や併用薬がある方の服用が検討可能な風邪薬
高血圧、糖尿病の方に対して注意がない風邪薬
高血圧、糖尿病、緑内障、排尿困難の方に対して注意がない風邪薬
※持病や併用薬がある方は、服用できない場合があるため登録販売者や薬剤師などに必ず相談してください。
こんな症状は受診を
以下に1つでも当てはまる場合は、医療機関を受診しましょう。
- 急激な高熱
- 発熱に加えて、下痢、発疹、胸痛、腰痛、動悸などがある
- 頭痛とともに吐き気・嘔吐やめまいがある
- 仕事など作業が継続できないほどの強い頭痛や今までに経験したことのない頭痛がある
- 激しい咽頭痛がある
- 色の濃い鼻水や痰が出る
- 咳が2週間以上続いている
- 発作性の激しい咳を繰り返す
- 呼吸が苦しい
- 風邪様症状(微熱など)が長く続いている、繰り返している