ドルマイシン・テラマイシン・ドルマイコーチ・テラコートリルの違いは?成分と効能効果を比較
ドルマイシン、テラマイシン、ドルマイコーチ、テラ・コートリル。
どれもドラッグストアで手に入る化膿止めの軟膏ですが、名前が似ていて違いが分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
実はこの4つは、「抗生物質だけ」のタイプと「抗生物質+ステロイド」のタイプに、2つずつ分かれます。
この記事では、各製品の添付文書をもとに、成分・効能・効果・使用上の注意を比較して整理します。
まず2つのタイプに分けて考える
4製品は、ステロイド(副腎皮質ホルモン)が入っているかどうかで大きく分かれます。
| 製品 | ステロイドの有無 | 分類 | 顔面への使用 |
|---|---|---|---|
| ドルマイシン軟膏 | なし | 第2類医薬品 | 制限の記載なし |
| テラマイシン軟膏a | なし | 第2類医薬品 | 制限の記載なし |
| ドルマイコーチ軟膏 | あり | 指定第2類医薬品 | 広範囲に使用不可 |
| テラ・コートリル軟膏a | あり | 指定第2類医薬品 | 広範囲に使用不可 |
※表は横にスクロールできます。
ただし、同じタイプでも製品ごとに「してはいけないこと」の記載は異なります。
以下、タイプごとに詳しく見ていきます。
抗生物質だけのタイプ:ドルマイシンとテラマイシン
まずはステロイドを含まない2製品です。
どちらも化膿に対応する軟膏ですが、効能・効果の範囲と使用上の注意が異なります。
| 製品名 | 製造販売元 | 成分(1g中) | 化膿の「予防」 | 長期連用 | 目や目の周囲 | 用法・用量 | 軟膏の色 | 包装 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ドルマイシン軟膏 | ゼリア新薬工業 | コリスチン硫酸塩 50,000単位 バシトラシン 250単位 |
効能・効果に含まれる | 記載なし | 禁止の記載なし (目に入らないよう注意) |
1日1〜3回 | 白色 | 6g・12g |
| テラマイシン軟膏a | 陽進堂 (販売元:JNTLコンシューマーヘルス) |
オキシテトラサイクリン塩酸塩 30mg ポリミキシンB硫酸塩 10,000単位 |
効能・効果に含まれない | しないでください | 使用しないでください | 1日1〜数回 | 黄色 (衣服への付着に注意) |
6g |
※表は横にスクロールできます。
ドルマイシン軟膏(ゼリア新薬工業)

ドルマイシン軟膏は抗菌作用をもつ両抗生物質(コリスチン硫酸塩、バシトラシン)を配合し、グラム陽性・陰性菌による単独又は混合感染症はもちろん、一般外部疾患の感染予防並びに治療に効果を発揮する皮膚疾患治療剤です。
2種類の抗生物質を配合した軟膏です。
1.コリスチン硫酸塩(50,000単位)
グラム陰性菌に選択的に作用し、殺菌作用を発揮します。緑膿菌に対しても効果を発揮します。
2.バシトラシン(250単位)
ペニシリンと近似の抗菌スペクトルを持ち、大部分のグラム陽性菌と陰性菌の一部に奏効します。
効能・効果(添付文書より)
外傷・火傷等の化膿予防及び治療、膿痂疹(とびひ)、癤(せつ)、癰(よう)、疔(ちょう)、毛嚢炎、湿疹、グラム陽性・陰性菌の単独及び混合感染による皮膚疾患、化膿症、伝染性皮膚炎、皮膚潰瘍
この製品の特徴
4製品のなかで効能・効果の範囲がもっとも広く、「化膿予防」を効能・効果に含む唯一の製品です。
また、長期連用の禁止記載も、目や目の周囲への使用禁止記載もありません。
使用してはいけない部位
湿潤、ただれのひどい患部/深い傷、ひどいやけどの患部
テラマイシン軟膏a(陽進堂/販売元:JNTLコンシューマーヘルス)

テラマイシン軟膏aはグラム陰性桿菌(特に緑膿菌)に効果のあるポリミキシンB硫酸塩とグラム陽性菌および陰性菌などに広い抗菌力を示すオキシテトラサイクリン塩酸塩の2つの抗生物質を配合しています。
こちらも2種類の抗生物質を配合しています。
1.オキシテトラサイクリン塩酸塩(30mg)
グラム陽性菌および陰性菌などに広い抗菌力を示します。
2.ポリミキシンB硫酸塩(10,000単位)
グラム陰性桿菌、特に緑膿菌に効果があります。
効能・効果(添付文書より)
化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎)
この製品の特徴
効能・効果が化膿性皮膚疾患の3つに絞られています。「化膿予防」は効能・効果に含まれていない点に注意してください。
使用してはいけない部位
湿潤やただれのひどい患部/深い傷やひどいやけどの患部/目や目の周囲
そのほかの注意
・長期連用しないでくださいと記載されています
・本剤または抗生物質でアレルギー症状を起こしたことがある人は使用できません
・黄色の軟膏のため、衣服への付着に注意が必要です
ステロイド入りのタイプ:ドルマイコーチとテラ・コートリル
抗生物質にステロイドを加えた2製品です。
効能・効果はどちらも同じですが、成分と使用上の注意が異なります。
| 製品名 | 製造販売元 | 抗生物質(1g中) | ステロイド(1g中) | 目や目の周囲 | 化粧用・ひげそり後用 | そのほかの注意 | 軟膏の色 | 包装 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ドルマイコーチ軟膏 | ゼリア新薬工業 | バシトラシン 250単位 フラジオマイシン硫酸塩 3.5mg |
ヒドロコルチゾン酢酸エステル 2.5mg | 禁止の記載なし (目に入らないよう注意) |
記載なし | ラテックスゴム製品を劣化させる可能性 | 白色 | 6g・12g |
| テラ・コートリル軟膏a | 陽進堂 (販売元:JNTLコンシューマーヘルス) |
オキシテトラサイクリン塩酸塩 30mg | ヒドロコルチゾン 10mg | 使用しないでください | 使用しないでください | 塗布後、患部をラップ等でおおわない | 淡黄〜黄色 | 6g |
※表は横にスクロールできます。効能・効果は2製品とも同じです。
ドルマイコーチ軟膏(ゼリア新薬工業)

かきくずし、化膿しそうな湿疹に適しています。効能が広いので、ご家庭に一つおいておくととても便利な軟膏剤です。
2種類の抗生物質にステロイドを加えた軟膏です。
1.バシトラシン(250単位)
2.フラジオマイシン硫酸塩(3.5mg)
この2つが、化膿の原因となる細菌(ブドウ球菌やレンサ球菌など)に対して抗菌作用を示し、患部の化膿をおさえます。
3.ヒドロコルチゾン酢酸エステル(2.5mg)
炎症を抑えて、かゆみや湿疹、かぶれなどをしずめます。ステロイドの強さは5段階中もっとも弱い「weak」ランクに分類されます。
効能・効果(添付文書より)
・化膿を伴う次の諸症:湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、じんましん
・化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎)
この製品の特徴
抗生物質が2種類入っている点が、テラ・コートリルとの違いです。
使用してはいけない部位
水痘(水ぼうそう)、みずむし・たむし等/湿潤、ただれのひどい患部/深い傷、ひどいやけどの患部
そのほかの注意
・顔面には広範囲に使用しないでください
・長期連用しないでください
・基剤の油脂性成分が、コンドーム等の避妊用ラテックスゴム製品を劣化・破損させる可能性があるため、これらとの接触は避けてください
テラ・コートリル軟膏a(陽進堂/販売元:JNTLコンシューマーヘルス)

テラ・コートリル軟膏aは優れた抗炎症作用を示すヒドロコルチゾン(副腎皮質ステロイド)とグラム陽性菌および陰性菌などに広い抗菌力を示すオキシテトラサイクリン塩酸塩を配合しています。
抗生物質1種類とステロイドを配合した軟膏です。
1.オキシテトラサイクリン塩酸塩(30mg)
グラム陽性菌および陰性菌などに広い抗菌力を示します。
2.ヒドロコルチゾン(10mg)
抗炎症作用を示す副腎皮質ステロイドです。強さは「weak」ランクに分類されます。
効能・効果(添付文書より)
・化膿を伴う次の諸症:湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、じんましん
・化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎)
この製品の特徴
効能・効果はドルマイコーチと同じですが、使用上の注意はこちらのほうが厳しく設定されています。
使用してはいけない部位
水痘(水ぼうそう)、みずむし・たむし等のある患部/湿潤やただれのひどい患部/深い傷やひどいやけどの患部/目や目の周囲
そのほかの注意
・顔面には広範囲に使用しないでください
・化粧用やひげそり後用として使用しないでください
・長期連用しないでください
・塗布後、患部をラップフィルム等の通気性の悪いものでおおわないでください
・本剤または抗生物質、副腎皮質ホルモンでアレルギー症状を起こしたことがある人は使用できません
4製品共通の「使ってはいけない部位」
製品ごとに記載が異なるため、まとめて整理します。
| 使用してはいけない部位 | ドルマイシン | テラマイシン | ドルマイコーチ | テラ・コートリル |
|---|---|---|---|---|
| 湿潤、ただれのひどい患部 | × | × | × | × |
| 深い傷、ひどいやけど | × | × | × | × |
| 水痘、みずむし・たむし等 | 記載なし | 記載なし | × | × |
| 目や目の周囲 | 記載なし | × | 記載なし | × |
| 顔面(広範囲) | 記載なし | 記載なし | × | × |
| 化粧用・ひげそり後用 | 記載なし | 記載なし | 記載なし | × |
| 長期連用 | 記載なし | × | × | × |
※表は横にスクロールできます。「記載なし」は各製品の添付文書「してはいけないこと」に該当項目の記載がないことを示すもので、使用が推奨されることを意味するものではありません。
注意していただきたいのは、「記載なし」=安全という意味ではないということです。
メーカーによって添付文書の記載方針が異なるため、同じような成分構成でも記載内容が揃っていません。使用前には必ず、お手元の製品の添付文書をご確認ください。
使用前に相談が必要な方
| 該当する方 | ドルマイシン | テラマイシン | ドルマイコーチ | テラ・コートリル |
|---|---|---|---|---|
| 医師の治療を受けている | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 妊婦または妊娠していると思われる | 記載なし | 記載なし | ○ | ○ |
| 授乳中 | 記載なし | 記載なし | 記載なし | ○ |
| 薬などでアレルギー症状を起こしたことがある | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 患部が広範囲 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 鼻腔等の粘膜に病変がある | ○ | 記載なし | ○ | 記載なし |
| 小児 | 記載なし | 記載なし | 記載なし | ○ |
※表は横にスクロールできます。
なお4製品とも、小児に使用させる場合は保護者の指導監督のもとで使用させてください、と記載されています。
4製品すべてに共通して、5〜6日間使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し、医師・薬剤師または登録販売者に相談してくださいと記載されています。
使い分けの考え方
添付文書の効能・効果と使用上の注意をもとに整理すると、次のようになります。
| こんなとき | 効能・効果に含まれる製品 |
|---|---|
| すり傷・やけどの化膿を予防したい | ドルマイシンのみ |
| おでき(せつ・よう・ちょう)ができた | ドルマイシンのみ |
| とびひ・めんちょう・毛のう炎 | 4製品とも |
| 化膿を伴う湿疹・皮膚炎・あせも・かぶれ | ドルマイコーチ、テラ・コートリル |
| 化膿を伴う虫さされ・しもやけ・じんましん | ドルマイコーチ、テラ・コートリル |
※表は横にスクロールできます。
迷ったときの考え方をまとめると、
1.まず「症状が各製品の効能・効果に含まれるか」を確認する
4製品は、配合成分だけでなく、認められている効能・効果も異なります。まずは、自分の症状が各製品の効能・効果に含まれているかを確認しましょう。
・外傷・やけどなどの化膿予防・治療:ドルマイシンの効能・効果に含まれます
・とびひ・毛のう炎などの化膿性皮膚疾患:複数の製品で効能・効果に含まれます
・化膿を伴う湿疹・皮膚炎・あせも・かぶれなど:ドルマイコーチ、テラ・コートリルの効能・効果に含まれます
「化膿している」「かゆみがある」といった症状だけで選ぶのではなく、添付文書に記載された効能・効果を確認することが大切です。
2.「予防」が目的ならドルマイシン
傷ややけどが化膿しないように予防したい場合、効能・効果に「化膿予防」を含むのはドルマイシンだけです。
3.使用したい部位の注意事項を確認する
製品によって、目や目の周囲、顔面などへの使用に関する注意事項が異なります。使用したい部位が、添付文書の「してはいけないこと」に該当しないか確認しましょう。
なお、添付文書に使用禁止の記載がないことは、その部位への使用を積極的に推奨する意味ではありません。特に目の周囲など判断が難しい部位に使用したい場合は、薬剤師・登録販売者に相談してください。
4.判断がつかないときは薬剤師・登録販売者に相談する
なお、湿潤やただれのひどい患部には4製品とも使用できません。
ジュクジュクした状態がひどい場合は、市販薬で対応せず医療機関を受診してください。
また、どの細菌に感染しているかを自分で判断することは困難です。5〜6日間使用しても改善しない場合も受診をおすすめします。
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よくある質問
Q1. 4つの中でどれが一番強いですか?
A. 「強い・弱い」という比較はできません。配合されている成分が異なり、効能・効果も製品によって異なります。
大きな分かれ目はステロイドの有無です。化膿を伴う湿疹やかぶれなど、かゆみ・炎症も対象になるかどうかで選ぶのが基本の考え方です。
Q2. ドルマイコーチとテラ・コートリルはどう違いますか?
A. 効能・効果は同じですが、成分が異なります。ドルマイコーチは抗生物質2種類(バシトラシン、フラジオマイシン硫酸塩)+ヒドロコルチゾン酢酸エステル 2.5mg、テラ・コートリルは抗生物質1種類(オキシテトラサイクリン塩酸塩)+ヒドロコルチゾン 10mgです。
また、テラ・コートリルには「目や目の周囲」「化粧用・ひげそり後用」への使用禁止が記載されている点も違いです。
Q3. 顔に塗れるのはどれですか?
A. ドルマイコーチとテラ・コートリルは「顔面には広範囲に使用しないでください」と記載されています。
ドルマイシンとテラマイシンには顔面への制限記載はありませんが、テラマイシンは「目や目の周囲」への使用が禁止されています。また4製品とも、目に入らないよう注意してください。
Q4. とびひにはどれを使えばいいですか?
A. 4製品すべてが化膿性皮膚疾患(とびひ)を効能・効果に含んでいます。
ただし、とびひは他人にうつる感染症です。症状が広がっている場合や、湿潤・ただれがひどい場合は市販薬を使わず、早めに医療機関を受診してください。
Q5. 子どもにも使えますか?
テラ・コートリルを小児に使用する場合は、使用前に医師・薬剤師・登録販売者に相談してください。また、4製品とも小児に使用させる場合は、保護者の指導監督のもとで使用しましょう。
Q6. みずむしに使えますか?
A. ドルマイコーチとテラ・コートリルは、添付文書に「みずむし・たむし等」が使用してはいけない部位として明記されています。
ドルマイシンとテラマイシンの添付文書にはこの記載はありませんが、いずれの製品も効能・効果にみずむしは含まれていません。みずむしが疑われる場合は、薬剤師・登録販売者にご相談ください。
Q7. ドルマイコーチを使うとき、気をつけることはありますか?
A. ドルマイコーチの基剤に使われている油脂性成分は、コンドーム等の避妊用ラテックスゴム製品の品質を劣化させ、破損させる可能性があります。これらとの接触は避けてください、と添付文書に記載されています。
まとめ
4つの化膿止め軟膏は、「抗生物質だけ」か「抗生物質+ステロイド」かで大きく2グループに分かれます。
ドルマイシン軟膏
4製品で唯一「化膿予防」を効能・効果に含みます。長期連用や目の周囲についての禁止記載はありません。
テラマイシン軟膏a
効能・効果は化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎)に絞られます。長期連用および目や目の周囲への使用が禁止されています。
ドルマイコーチ軟膏
化膿を伴う湿疹・皮膚炎などに対応します。抗生物質が2種類。ラテックスゴム製品との接触を避ける必要があります。
テラ・コートリル軟膏a
効能・効果はドルマイコーチと同じですが、目や目の周囲、化粧用・ひげそり後用への使用が禁止されており、使用上の注意はより厳しく設定されています。
製品ごとに「してはいけないこと」の記載が異なるため、使用前には必ずお手元の製品の添付文書をご確認ください。
どれを使うか迷ったときは、薬剤師・登録販売者に症状を伝えてご相談ください。5〜6日間使用しても症状が改善しない場合は、医療機関を受診してください。
参考情報
本記事の情報は、各製品の添付文書(2026年8月時点)に基づいています。
1.ゼリア新薬工業「ドルマイシン軟膏」添付文書(2012年9月改訂)
2.ゼリア新薬工業「ドルマイコーチ軟膏」添付文書(2012年9月改訂)
3.陽進堂/JNTLコンシューマーヘルス「テラマイシン軟膏a」添付文書
4.陽進堂/JNTLコンシューマーヘルス「テラ・コートリル軟膏a」添付文書
本記事は、各製品の添付文書に基づき作成しています。特定の製品の使用を推奨するものではありません。実際の使用にあたっては、お手元の製品の添付文書をよく読み、薬剤師・登録販売者にご相談ください。症状が改善しない場合や悪化する場合は、医療機関を受診してください。