薬剤師が解説!日焼けにお悩みの方におすすめの紫外線対策

更新日: 2025年02月13日

「夏場は紫外線対策を頑張っても焼けてしまう」とお悩みの方も多いでしょう。しかし紫外線は年間を通して降り注いでおり、2月頃にはすでに中程度の強さになっています。夏場の紫外線対策に目がいきがちですが、3月になると紫外線はすでに9月と同程度の強さになるため、季節問わず紫外線対策を行うことが大切です。

正しい知識をつけ、シーンごとに適した日焼け対策グッズなどを取り入れて、しっかりと肌を守りましょう。今回は、薬剤師がおすすめする紫外線対策について詳しく解説します。

この記事の監修者
吉田 勝栄
薬剤師
大手ドラッグストアでOTC(市販薬)を中心としたヘルスケア製品の接客販売や、メガベンチャー企業でオンライン診療事業の管理薬剤師を経験後、ウィルベース株式会社に入社。
現在は当サイト「CureBell」の運営・コラム作成、OTC・サプリメント等のリサーチ活動を務める。

日焼けとは



日焼けとは、紫外線を浴びることで皮膚が赤くなったり、痛みや水ぶくれなどが起こったりする症状を指します。また、メラニン色素によって黒く変化する現象も日焼けの一種です。

日光に当たってから数時間程度で肌が赤くなる反応は皮膚のやけどの一種であり、「サンバーン」と呼ばれ、数日経つと症状が落ち着くことが多いです。一方、日焼けによってメラニンが増加し、数日経ってから肌が黒くなっていくことは「サンタン」と呼びます。サンタンが元の色に戻るまで早くて数週間、遅ければ数ヶ月かかるでしょう。

また紫外線はUVA・UVB・UVCの3つに分けられ、日焼けはUVBが主な原因となります。

紫外線の影響
紫外線の影響

日焼けの主な原因「UVB」はシミ・シワなどの原因にも

UVBは、日焼けを起こす力がUVAよりも600〜1,000倍ほど強いとされており、炎症や皮むけなど深刻なダメージの原因となります。UVBが細胞に吸収されると、遺伝子が傷つけられます。この傷そのものや、傷を修復する反応によって炎症の原因となる物質が放出されると、赤みや痛みなどの日焼け(サンバーン)の症状が現れます。

また、日焼け時の炎症によって表皮の内側にあるメラノサイト(メラニンをつくる細胞)が刺激されて、メラニンがつくられることで肌が黒くなります(サンタン)

通常メラニンは「体内で生成されて、皮膚から押し出され排出される」というサイクルを繰り返していますが、過剰に日光を浴びたり、肌のターンオーバーが乱れてしまうと肌にメラニンが蓄積してしまい、シミやそばかすの原因となります。

肌の奥まで届くUVAにも注意

UVAはUVBと異なり、日焼けのように短期間で肌に影響を及ぼすことはありません。しかしUVAは肌の奥深いところ(真皮)まで浸透し、じわじわと肌に悪影響を及ぼします。UVAは肌の奥深くにあるコラーゲンやエラスチンなどの肌のハリや弾力の維持に重要な存在を損傷させ、これが将来的なシワやたるみに繋がります。

また、UVAは地上に降り注ぐ量がUVBよりも多く、窓ガラスも透過する点にも注意が必要です。つまり、屋内でもUVAの影響を受けることがあるため、天気や場所にかかわらず、UVケアを行うことが重要と言えます。

日焼け対策グッズはどんなものがある?



日差しの強い屋外はもちろんのこと、曇りの日や室内でも日焼けのリスクはあるため、日ごろから日焼け対策に取り組むことが重要です。日焼け対策グッズを効果的に取り入れて、紫外線をしっかりとカットしましょう。日焼け対策グッズとして有効なものには以下のようなものがあります。

日焼け対策グッズ 詳細
日焼け止め ・顔など、衣類で覆えない部位を紫外線から守る
サングラス ・目への紫外線ばく露を90%程度カットすると言われる
日傘 ・高い紫外線防御機能を備えたものを選ぶのがおすすめ
ハット(帽子) ・頭や髪を直射日光から守る
・幅の広いつばのある帽子が効果大
アームカバー ・腕を直射日光から守る
・織目や編目がしっかりした生地のものが効果的
パーカーなどの長袖の上着 ・頭から上半身を直射日光から守る
・接触冷感のものならひんやりするので夏でも取り入れやすい
フェイスガード ・顔や首を直射日光から守る
マスク ・顔を直射日光から守る

上記のような日焼け対策グッズで肌の露出を減らして各部位を守りましょう。いずれもUVカット機能のあるタイプがおすすめです。

夏のキャンプなどのアウトドア、マリンスポーツなどだけではなく、冬~春のスキーも紫外線の影響を強く受けやすいため、しっかりと対策しておくことが重要です。

日焼け止めの選び方

日焼け止め
日焼け止め

日焼け対策グッズで欠かせないものが日焼け止めです。ここからは、日焼け止め選びについて詳しく解説します。

SPF・PAとは

日焼け止めを選ぶ際は、まず「SPF」と「PA」の表示を確認してください。SPFとPAの違いは下表のとおりです。

SPF (Sun Protection Factor)

  1. 紫外線B波(UVB)を防ぐ指標
    効果は数字で表記され、最大値は50+

PA (Protection grade of UVA)

  1. 紫外線A波(UVA)を防ぐ指標
    効果は+で表記され、最大値は++++

SPF (Sun Protection Factor)

  1. 紫外線B波(UVB)を防ぐ指標。効果は数字で表記され、最大値は50+

PA (Protection grade of UVA)

  1. 紫外線A波(UVA)を防ぐ指標。効果は+で表記され、最大値は++++

使用シーンごとの選び方

日焼け止めはシーンに合わせたものを使えば十分に対策できるので、常に数値の高いものを選ぶ必要はありません。シーンごとの選び方は以下のとおりです。

シーン SPFの目安 PAの目安
通勤や通学、散歩などの日常生活 5 +
ドライブ、軽めの屋外活動など 10 ++
晴れている日のレジャーやマリンスポーツ 20 +++
熱帯地方での屋外活動など 30以上 +++

日焼け止めを塗るときのコツ

顔であればパール粒2粒分程度を目安にしてください。腕や脚など、広い範囲に塗る場合は、その部位に直線を描くように日焼け止めを出し、手のひらでらせん状にのばして塗りましょう。

また、日焼け止めは摩擦や汗などにより、時間が経つと落ちてしまいます。2〜3時間おきにこまめに塗って、効果を持続させることが大切です。

肌だけじゃない!目の日焼けとは

サングラス
サングラス

日焼け対策でスキンケアを行う方は多いかと思いますが、実は目から入る紫外線も肌に悪影響を及ぼすことがあります。

目の日焼けとは

紫外線の強い夏はもちろん、冬のスキー場など紫外線の強い場所に1日中いたときなど、目が紫外線に長時間さらされることによって角膜が傷ついてしまい、目の充血や異物感、涙が出たり、ひどい場合は目が痛くてあけられないといった症状が起こる恐れがあります。これを「紫外線角膜炎(雪眼炎、雪目)」といい、強い紫外線にさらされてから約8時間後に発症し、1~2日ほど症状が続きます。

また、目が紫外線を吸収すると角膜だけではなく肌にも影響を及ぼします。目が紫外線を吸収すると脳が紫外線を浴びていると錯覚を起こしてしまい、身体に対して紫外線対策(肌の防御)を行うよう信号が送られ肌にメラニン色素を生成します。

そのため、せっかく日焼け止めなどで肌の紫外線対策を行っていても、目からの紫外線の吸収で肌が黒くなったり、将来シミなどの原因になる恐れがあります。

サングラスの選び方

目に入る紫外線を防ぐために、サングラスの着用するのも1つの選択肢です。サングラスや紫外線カットメガネを着用すると、目に入る紫外線を90%程度カットすると言われています。

なお、着用する際はUVカット機能をもつものを選ぶようにしましょう。濃い色のサングラスをかけると、目に入る光の量がへるため瞳孔が通常時よりも大きく開きます。そのためUVカット機能が不十分な濃い色のサングラスをかけるとかえって目に入る紫外線の量が多くなってしまう恐れがあります。

また紫外線はあらゆる方向から目に入ってくる恐れがあるため、サングラスや紫外線カットメガネを選ぶ際は顔にぴったりと合い、十分な大きさのものを選ぶと良いでしょう。

すでに日焼けによる症状が出ている場合

症状が軽度であれば、炎症を和らげるために患部を冷やせば落ち着くことも多いです。しかし、冷やしてもほてりや赤み、痛みなどが続く場合は塗り薬の使用も検討しましょう。詳細は以下のコラムにてご紹介しているので、興味がある方はぜひご覧ください。

日焼けによる症状におすすめの市販薬

対策グッズだけじゃない!外出時や家の中でもできる日焼け対策



日焼け対策は、グッズを使うことだけではありません。外出時や家の中で過ごすときにも工夫することで、より日焼けの影響を受けにくくなります。ここでは、外出時・家の中の2パターンでおすすめの日焼け対策をご紹介します。

外出時の日焼け対策

紫外線は1年中、曇りの日でも降り注いでいるため、季節や天気にかかわらず日焼け対策を心がけましょう。とくに、太陽が高くなる正午前後に紫外線はもっとも強くなるため、その時間帯を避けて外出すると日焼けのリスクを減らせるでしょう。

また、外出中は日陰を利用するのも効果的です。直射日光から身を守りながら移動すると、浴びる紫外線量を減らせます。外出時間の調整や日陰の利用は、熱中症対策にも有効といえます。ただし、紫外線は直接浴びるものだけでなく、空気中や地面などからの反射からも影響を受けます。日陰でも紫外線リスクにさらされていることを覚えておきましょう。

家の中で過ごすときの日焼け対策

紫外線は窓ガラスを透過するため、家の中にいるときも紫外線対策は欠かせません。外出しない日でも日焼け止めは毎日使うことをおすすめします。家にいるときは高数値の日焼け止めを使う必要はないので、低数値の日焼け止めで問題ありません。

また、窓ガラスにUVカットフィルムを貼り付けたり、遮光カーテンを使用したりして、紫外線をカットするとよいでしょう。カーテンの色は薄いものより濃いものを選ぶと高い遮光効果が期待できます。

日焼け対策のためのスキンケア



日焼け対策には、スキンケアも重要です。日焼けした肌は赤みやほてりが出たり、デリケートな状態になったりするため、まずは冷やして肌の状態を落ち着かせてください。また、紫外線を浴びると肌の水分が失われて乾燥しやすい状態になるため、赤みやほてりが落ち着いたら、低刺激の化粧水で水分をたっぷりと与えてください。

さらに、シミやそばかすの原因となるメラニンも生成されるため、メラニンを増やさないためのお手入れも心がけましょう。ビタミンC配合の市販薬などを服用することで、シミやそばかすの予防が期待できます。詳細は以下のコラムにてご紹介しているので、興味がある方はぜひご覧ください。

日焼けしたあとは、メイクも気をつけてください。ファンデーションなどを塗る場合は、肌の状態が落ち着いてからできるだけ摩擦を与えないようにやさしく丁寧に行いましょう。

日焼けによる症状におすすめの市販薬

まとめ

紫外線は夏だけでなく1年中降り注いでいるため、季節問わず対策することが大切です。

日焼け対策では、サングラスや帽子など体の各部位を守るグッズを取り入れつつ、日焼け止めを活用して紫外線から肌を守りましょう。外出時は日差しの強い時間帯を避けたり日陰を利用したり、家の中にいるときは遮光カーテン活用したりして、日中はあらゆる視点から日焼け対策を行うことが大切です。

紫外線を浴びた日はスキンケアにも注意して低刺激なお手入れを心がけましょう。肌の状態が落ち着いたらメラニンケアも取り入れることをおすすめします。毎日の丁寧な日焼け対策で、美しい肌をキープしましょう。

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