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原因不明の不調、「遅延型アレルギー」かも?

更新日: 2025年11月27日

原因がはっきりしない疲労感や肌荒れ、集中力の低下など、なんとなく不調を感じることはありませんか。その背景には、食物アレルギーの一種である「遅延型アレルギー」が関係しているかもしれません。中でも「遅延型アレルギー」と呼ばれるものは症状が数時間から数日後に現れるため、気付きにくいとされています。この記事では、遅延型アレルギーの特徴や検査方法、対策の考え方について解説します。
※この記事では「遅延型フードアレルギー」を「遅延型アレルギー」の呼び方で統一します。

この記事の監修者
牧田 淑美
管理栄養士
大学卒業後、福祉施設での栄養管理、企業向けの商品開発、特定保健指導、健康経営支援など多岐にわたる現場を経験。その後、独立し、現在は離乳食教室の運営や米粉パン事業をはじめ、健康をテーマにした複数のプロジェクトを展開中。ライフステージに寄り添った実践的な栄養支援を軸に、食の専門家として「より良い暮らしと健康」を支える活動を続けている。

遅延型アレルギーとは?

アレルギー症状には大きく分けて「即時型アレルギー」と「遅延型アレルギー」の2つのタイプがあります。即時型アレルギーは、アレルゲンとなる食物や環境要因に接触・摂取してから数分〜数時間以内に症状が現れるのが特徴です。蕁麻疹や花粉症、アナフィラキシーなどが代表例で、原因と症状の関連が分かりやすいため、比較的診断しやすいとされています。

一方、遅延型アレルギーは症状が出るまでに数時間から数日後になることが多く、何が原因か特定しにくいのが特徴。慢性的な疲労感、頭痛、肌荒れ、消化不良といった「なんとなく不調」として体内に現れることが多く、見過ごしてしまう方が多いです。こうした症状は、遅延型フードアレルギーとして食べ物が関与しているケースも少なくありません。

特に40代女性は、ホルモンバランスの変化や代謝の低下など身体の内側で変化が起こりやすい時期です。この時期は食べ物への反応の出方が変わるケースもあるといわれています。原因不明の不調が続く場合には、IgG抗体を調べる血液検査などを受け、専門のクリニックや医師に相談することが、改善への第一歩となります。

種類 発症までの時間 主な特徴 代表的な症状

即時型アレルギー(Ⅰ型)

食後すぐ〜数分以内

アレルゲンに触れてすぐに症状が出る

花粉症、蕁麻疹、アナフィラキシーショック、アレルギー性結膜炎

遅延型アレルギー(Ⅳ型)

数時間〜数日後

反応が遅れて現れるため原因が特定しにくい

疲労感、頭痛、下痢、便秘、肌荒れ、イライラ、不安感、集中力低下 など

https://www.tsujido-eye.com/delayed-food-allergy/

遅延型アレルギーでよく起こる症状

遅延型アレルギーは、「慢性的な不調」や「なんとなく調子が悪い」といった状態が続くケースが報告されています。反応が現れるまでに時間がかかるため、原因が分からないまま見過ごされやすい点が特徴です。主な症状としては、かゆみや湿疹などの肌トラブル、胃もたれや下痢・便秘といった消化器の不調、さらには疲労感やだるさなどが身体の全体にでることがあります。さらに、イライラや集中力の低下、不安感など、メンタル面に現れるケースも報告されています。

遅延型フードアレルギーの場合、日常的に食べている食物(小麦、乳製品、大豆など)に対して免疫が反応している可能性が研究されています。ここでは具体的な症状を紹介しています。思い当たるような症状がある場合には、自己判断せずに医師や専門機関に相談してみましょう。

肌に出るサイン

遅延型アレルギーが関係しているといわれる身体の変化のひとつに肌の不調があります。研究の中では主に肌荒れ、湿疹、アトピー性皮膚炎、ふけ、にきび、口内炎などさまざまな皮膚トラブルが指摘されています。即時型アレルギーと違い、遅延型アレルギーは症状が現れるまで時間がかかります。さらに、日常的に食べている食品が原因となることが多いため、自分では気づきにくいのが特徴です。たとえば、毎日牛乳を飲んでいる人が牛乳に対して遅延型アレルギーを持っている場合、肌荒れや体調不良といった不調が続くことがあります。なお、反応の有無や程度には個人差が大きく、同じ食品を摂っても人によって症状の有無や程度が異なります。

体に出るサイン

遅延型アレルギーの症状には、消化器や全身に関係する不調が現れることが報告されています。下痢・便秘・胃もたれのほか、むくみやだるさなどが見られるケースもあります。また、「疲れやすい」「体重の増減しやすい」といった日常生活に影響を与える不調につながることもあります。さまざまな要因が関係している可能性があり、原因を特定するのは簡単ではありません。

心や気分に出るサイン

遅延型アレルギーが原因で体内に慢性的な炎症が続くと、脳や自律神経にも影響が及び、イライラしやすい・強い眠気・集中力の低下・頭がぼーっとする(ブレインフォグ)といった心理的な症状が現れることがあります。これらは仕事や日常生活に支障をきたすことも少なくありません。

さらに、これらの不調は更年期のホルモンの変化やストレスによるものと似ているため、原因を特定しにくいのが特徴です。もし「なんとなく不調」が長く続き、改善が見られない場合には、遅延型フードアレルギーも含めて幅広い視点から体調を見直すことが大切です。

遅延型アレルギーを引き起こす主な食べ物

遅延型アレルギーの大きな特徴は、むしろ好んでよく食べている食品に反応が出やすいことです。健康に良いと考えて毎日摂取している食物やフードが、実は原因となり、疲労感や肌荒れ、消化不良などの症状を引き起こし、慢性的な体調不良につながっているケースも少なくありません。

遅延型フードアレルギーの原因になりやすい食品例

  1. 小麦(パン、うどん、パスタなど)
  2. 牛乳・乳製品(ヨーグルト、チーズなど)
  3. 大豆製品(豆乳、納豆、みそ)
  4. ナッツ類(ピーナッツ、アーモンドなど)

これは、IgG抗体が摂取量に比例して増加するためで、よく食べる食品ほど体内での抗体反応が起こりやすくなるためです。つまり、健康を意識して同じ食品を継続的に摂取していることが、かえって遅延型のアレルギー反応を引き起こす可能性があるということになります。

 

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自宅でできる簡単なチェック方法

自宅でできる遅延型アレルギーのチェック方法として最も大切なのは、食事の内容と日々の体調の記録を詳細に残すことです。継続して記録を行うことで、特定の食物や食品を摂取した後にどのような症状が現れるのか、そのパターンや関連性を見つけられる可能性があります。こうした食事・体調の記録は、遅延型フードアレルギーによる腸や体内の炎症反応を疑う際に役立つだけでなく、医師やクリニックでの相談や診療の際にも重要な情報となります。ここでは、具体的にどのように食事と体調を記録するのか、さらに気になるアレルゲン食品を除去してみる方法や対策について解説します。

記録する内容とコツ

遅延型アレルギーのセルフチェックで最も重要なのは、「食べたもの」と「体調の変化」をできるだけ詳しく残すことです。食材、調味料、飲み物、食べた時間まで細かく記録し、いつ、どのような症状(肌・胃腸・気分など)がどの程度出たか詳しく記録しましょう。また、排便状況、睡眠時間、ストレスなども記録すると、関連性が見えやすくなります。毎日継続することが最も重要です。スマホアプリやノートなど、ご自身が続けやすい方法を見つけることが大事です。

簡単な除去の試し方

アレルギー症状を避けるには、原因となる食品を特定し、気になる食品を数日間控えるのも有効な対策のひとつです。控えた食品に変化が見られれば、その食品がアレルギーの原因である可能性が高くなります。ただし、自己判断で長時間の除去を行うと、栄養バランスが崩れるおそれがあるため、食物アレルギーの専門医の診断を受け、無理のない範囲で摂取量を調整してください。

病院や検査で分かること

遅延型アレルギーは、摂取してから数時間〜数日後に疲労感、頭痛、肌荒れ、消化不良など、さまざまな症状が現れるため、原因を特定しにくいのが特徴です。一見バラバラな不調が続く場合でも、実は特定の食品が関係している可能性があります。こうした原因を探るために行われるのがIgG抗体を調べる血液検査です。検査の種類は、血液検査でIgG フードアレルギー検査(120項目) もしくはIgG フードアレルギー検査(240項目)で医療機関によって異なります。検査方法は、医療機関での採血もしくは自宅用キットで採血を行います。

項目 IgGフードアレルギー検査(120項目) IgGフードアレルギー検査(240項目)

検査対象食品数

約120種類

約240種類(より幅広い食品を網羅)

対象となる食品の例

乳製品、卵、小麦、大豆、ナッツ類など主要食品

120項目に加え、香辛料・果物・魚介類・ハーブなども含む

検査方法

採血(医療機関または自宅用キット)

採血(医療機関または自宅用キット)

結果をもとに、医師や管理栄養士と相談のうえ、食事の見直しや除去・再導入の計画を立てることが大切です。

毎日できる体質改善と予防法

遅延型アレルギーは体内の細胞反応が原因で、体質改善によって症状の緩和が期待できます。ここでは、アレルギー対策方法として腸を元気にする食事や40代女性向けの生活習慣も紹介します。

腸を元気にする食事

遅延型アレルギーは、腸内環境が乱れ、腸内細菌叢のバランスが崩れたことが原因で起こると言われています。腸の粘膜は本来、未消化の食べ物や有害物質、細菌などが体内に入り込むのを防ぐ“防御壁”の役割を担っています。ところが、何らかの要因でこの壁が弱まると、十分に消化されていない食物が血液中に漏れ出し、免疫系が異常に反応してIgG抗体を大量につくり出すことにつながることも。そのため、対策の1つ目は、腸内環境に配慮した食事を心がけることです。

  • 発酵食品(納豆、ヨーグルト、味噌、キムチなど)を毎日1品以上取り入れる
  • 食物繊維が豊富な食材(野菜、海藻、キノコ類など)で腸内の善玉菌を増やす
  • 水分補給を意識して腸の蠕動運動を促す

これらを意識することで、腸内フローラのバランスが整い、免疫の過剰反応を抑えるサポートになります。同じ食品を続けて摂りすぎるのではなく、さまざまな食品をローテーションしながら取り入れるのがポイントです。

睡眠と運動で免疫を整える

アレルギー対策の2つ目は、良質な睡眠と適度な運動習慣を心がけることです。軽い運動は血流や代謝を高め、自律神経や免疫バランスを整えるのに役立ちます。

・毎日15〜30分のウォーキング

・就寝前のストレッチ

などを習慣化することで、体調の安定と睡眠の質の向上が期待できます。

特に40代以降はホルモンバランスの変化や代謝低下が重なるため、無理のない強度で継続することが大切です。また、睡眠不足や不規則な生活習慣は、腸内環境や体内の炎症反応の悪化を招くことがあるため、日中に受けたダメージを夜間の睡眠で回復させるためにも、質の高い睡眠を確保することが健康維持のポイントです。

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まとめ

遅延型アレルギーは、自覚しにくいまま疲労感や肌荒れ、消化不良などの不調を引き起こすことがあるタイプの食物アレルギーです。原因となる食べ物は日常的に摂取している食品であることも多く、気づかないうちに体内の炎症や不調を悪化させてしまうケースがあります。しかし、食事記録やIgG抗体検査などを活用して食生活を見直すことで、食品を特定しやすくなり、医師やクリニックでの相談を通じて適切な対策をとることが可能です。改善の第一歩は、腸内環境を整え、食生活や睡眠習慣を見直すこと。発酵食品や野菜を取り入れた食事や十分な休養を意識するだけでも、遅延型フードアレルギーによる症状の改善につながることがあります。「なんとなく不調」を放置せず、自分の身体と向き合いながら健康バランスを整えていきましょう。