【専門家解説】ヘルペスの症状・治し方・市販薬|再発予防までわかる完全ガイド

更新日: 2025年11月18日

ヘルペスは、誰にでも発症する可能性のある一般的な皮膚感染症です。主な原因は「単純ヘルペスウイルス(HSV)」というウイルスへの感染で、一度体内に入ると神経節に潜伏し、疲労・ストレス・免疫力の低下をきっかけに再発することがあります。発症すると、唇や顔、体の一部に小さな水ぶくれや赤み、痛み、かゆみといった症状があらわれ、見た目だけでなく日常生活にも不快感をもたらします。この記事では、ヘルペスの原因や感染の仕組み、皮膚科での診察内容、市販薬によるケア方法などをわかりやすく解説します。

この記事の監修者
檀上 大貴
医薬品登録販売者。大手ドラッグストアでの勤務を経験後、ウィルベースに入社。ドラッグストア等向けにOTC(市販薬)販売のコンサルティング、OTC、サプリメントに関する各種リサーチ、新しい販売・購入方法に関する研究開発を行っている。

ヘルペスの症状、メカニズム、原因とは?

ヘルペスはヘルペスウイルスの感染症によって起こります。そして、一度感染すると免疫力の低下やストレスによって再活性化しやすい特徴があります。ここでは、ヘルペスの症状、メカニズム、原因について解説します。

ヘルペスとは

ヘルペスとは、ヘルペスウイルスへの感染によって皮膚や粘膜に小さな水ぶくれや痛みが生じる感染症です。人体に感染するヘルペスウイルスは8種類あり、いずれも感染力が強く、唇・性器・体幹などさまざまな部位に発症します。水痘(水ぼうそう)や帯状疱疹も同じウイルス群に属しています。

なかでも、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)は口唇ヘルペスの主な原因で、キスや唾液、皮膚・粘膜の接触を通じて感染します。単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)は性行為によって感染し、性器ヘルペスの原因となります。男女ともに発症しますが、特に女性では初感染時に発熱や排尿痛を伴うこともあります。

ヘルペスウイルスは一度感染すると神経節に潜伏し、ストレス・発熱・疲労・免疫力の低下などをきっかけに再発します。

ヘルペスの主な症状

ヘルペスは、ピリピリとした痛みやかゆみ、赤みが前兆としてあらわれ、その後、小さな水ぶくれやかさぶたができるのが特徴です。初期のうちは軽い違和感程度でも、次第に痛みが強まり、患部がヒリヒリとするようになります。水ぶくれは数日で破れ、かさぶたとなって自然に治りますが、再発を繰り返すケースもあります。

一方、ニキビとの違いは、症状の出る場所と痛みの強さにあります。ニキビは毛穴の炎症によってできるため、毛穴周辺に限定されますが、ヘルペスは皮膚や粘膜のどこにでも発症する可能性があります。また、ヘルペスでは発熱やリンパの腫れなど全身症状を伴うこともあり、感染症として皮膚科での診察が必要になる場合があります。

  ヘルペス ニキビ
主な症状

・単純ヘルペスウイルスによる感染症

・ピリピリした痛み、かゆみ、小さな水ぶくれ

・初めて感染すると神経節に潜伏

・疲労・発熱・強い紫外線・ストレス・生理前などで
免疫力が低下すると再活性化して発症

・毛穴の出口が皮脂や角質で詰まりアクネ菌が増えることで炎症が起きる

・医療用の外用薬を使うことで改善が期待できるホルモンの影響、
乾燥や摩擦、睡眠不足やストレス、偏った食生活などが関与して発症

ヘルペスはニキビと同じ皮膚炎と考えがちですが、重症化するとヘルペス脳炎や髄膜炎、角膜炎などの合併症や後遺症が起こる恐れがあります。そして、ヘルペスの症状が出やすい部位は、口周りや唇、目、顔、首、指、さらにはデリケートゾーン周りなどが挙げられ、まれに顔、首、指先などに症状が出るケースも。特に目(角膜)に症状が出ると、最悪の場合、失明や脳にヘルペスウイルスが感染し重症化します。

ヘルペスが出やすい部位と症状

主な部位 症状

口周り、唇

水ぶくれ、かさぶた

涙が出る、まぶしい、コロコロする、見にくい、充血

顔、首、指

赤みや腫れ、ズキズキとするような強い痛み

デリケートゾーン

かゆみ、ヒリヒリするなどの違和感、水ぶくれ

ヘルペスの原因

ヘルペスウイルスは、感染者の水ぶくれや潰瘍、体液(唾液・精液・腟分泌液など)の中に存在し、それらに直接触れることで人から人へ感染します。 また、水ぼうそうや帯状疱疹の原因となる水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)も、ヘルペスウイルスの仲間に含まれます。

ヘルペスウイルスの特徴は、一度感染すると症状が治まっても体内の神経節に潜伏し続けることです。 そのため、ストレス・疲労・発熱・紫外線・免疫力の低下など、体の抵抗力が落ちたタイミングで再び活動を始め、ヘルペスの症状が再発します。

再発を繰り返す場合は、皮膚科で診察を受け、抗ウイルス薬の服用などで早期治療を行うことが大切です。正しい知識と対策を持つことで、ヘルペスの再発リスクを減らすことができます。

ヘルペスの治療法

ヘルペスは、症状や状況に応じて市販薬で対応できる場合と、専門医の診察が必要な場合があります。それぞれのケースについて見ていきましょう。

市販薬で治す場合

口唇ヘルペスが再発し症状が軽い方や過去に感染し症状を抑えたいといった場合は、市販薬での対応も可能です。市販薬の多くは、ヘルペスウイルスの増殖を抑える「抗ウイルス成分」を含んだ軟膏やクリームタイプで、飲み薬はありません。代表的な成分としては、アシクロビルやビダラビンなどがあります。

ヘルペス治療の主な市販薬

市販薬は、症状が初期症状での使用が効果を高めます。下記の2種類の塗り薬が代表的なものです。

  • ビダラビン配合の塗り薬:ウイルスの増殖を抑え、症状が悪化するのを防ぐ。アラセナSが該当する
  • アシクロビル配合の塗り薬:ヘルペスウイルスの増殖を抑える。ヘルペシアクリーム

数日使用しても症状が改善しない、悪化する、広範囲に広がるなどの場合は、すぐに使用を中止し、医療機関を受診してください。さらに、ヘルペスの市販薬は口唇ヘルペスにしか使えませんので、他の部位のヘルペスには使用しないでください。

そして、市販薬の購入には薬剤師の説明が必要な「第1類医薬品」に該当するものがありますので、コンビニで購入するのは難しい可能性が高いです。さらにドラックストアでも購入できる時間帯が制約される場合があります。

病院での治療が必要なケース

初めて症状が出た場合には、自己判断せずに必ず病院を受診することが大切です。さらに、唇以外に症状が出た場合や広範囲にわたり症状が出て重症な場合は必ず専門医の治療を受けましょう。

ヘルペスの治療は何科が良いかわからない方は、内科や皮膚科にかかる方が一般的です。しかし、症状が出た場所によっては別の診療科に相談する方もいます。例えば、目の周りに症状が出た場合は眼科、デリケートゾーンに出た場合は、婦人科や泌尿器科へ診察に行くといった使い分けもできます。

主な病院での治療が必要な症状

  • 初めて症状が出てヘルペスか見分けがつかない
  • 全身症状や広範囲に症状が出ている
  • 目の周りに症状が出た
  • デリケートゾーンに症状が出た
  • 乳幼児や高齢者、免疫力が低下している
  • 市販薬で改善しない、悪化した

医療機関では、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬が処方されます。代表的な薬剤には、アシクロビルやファムシクロビル、そして市販では手に入らない「バラシクロビル」などがあります。 特に内服薬(飲み薬)は、体の内側からウイルスの活動を抑えるため、症状が広範囲に及ぶ場合や重症例に効果があります。

症状の程度に応じて、飲み薬・塗り薬(外用薬)・点滴薬などが組み合わせて処方されることもあります。 自己判断で市販薬だけに頼らず、医師の診察と指示のもとで適切な治療を行うことが、早期回復と再発予防の鍵です。 服用を途中でやめるとウイルスが残り、再発リスクが高まるため、処方通りに継続することが大切です。

 

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ヘルペスを早く治すためのセルフケア

ヘルペスを早く治すためには、初期治療が何より重要です。唇や皮膚にチクチク・ピリピリ・ムズムズといった違和感や痛み、かゆみを感じたら、すぐに皮膚科などの医療機関を受診するか、症状に合った市販薬を早めに使用しましょう。水ぶくれ部分に触れると、ウイルスが指先に付着して他の部位や他者へ感染する可能性があります。触れた場合は、石鹸で手を洗い清潔を保ちましょう。

ヘルペスウイルスは、一度感染すると体内に潜伏し、免疫力が低下したときに再発します。そのため、日常的に免疫力を高める生活習慣が再発予防の鍵になります。十分な休養、栄養バランスの取れた食事、ストレスの軽減を意識し、体の抵抗力を整えましょう。

また、食器やタオルの共有を避けるなど、家庭内での感染拡大を防ぐ工夫も欠かせません。特に妊娠中の方や赤ちゃんは免疫が未熟で重症化しやすいため、密接な接触を避けるよう注意が必要です。再発を完全に防ぐことは難しいものの、早期治療と日々のケアで症状を軽くし、重症化を防ぐことができます。

ヘルペスに関するよくある質問【完治・感染期間・再発】

ヘルペスについてよくある質問をご紹介します。

Q.ヘルペスは完治するのか?

A. 一度感染すると、ヘルペスウイルスは神経節に潜伏し、体内に一生涯存在し続けるため、現代の医学では完全に完治させることはできません。治療としては、抗ウイルス薬を使って症状を抑えたり、再発を予防したりすることは可能です。

Q.ヘルペスはどのくらいの期間でうつるのか?

A. 口唇ヘルペスの潜伏期間は2~10日、帯状疱疹で潜伏期間は2~3週間、潜伏期間は2~10日といわれています。この期間は他者との接触には気をつけたほうが良いでしょう。

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まとめ

ヘルペスは、誰にでも起こり得る身近な感染症ですが、初期症状の段階で適切に対処することが何より大切です。唇や皮膚に違和感やピリピリとした刺激を感じたら、早めに市販薬を使用するか、皮膚科などの医療機関を受診して治療を始めましょう。初期対応が早いほど症状の悪化を防ぎ、回復までの時間を短縮できます。

また、再発予防には生活習慣の見直しと免疫力の維持が欠かせません。栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠、ストレスのコントロールを心がけ、体の抵抗力を保つことが再発を防ぐ最大のポイントです。小さなサインを見逃さず、早めのケアと日常の健康管理で、ヘルペスとうまく付き合っていきましょう。