薬剤師が解説!月経前症候群(PMS)や更年期障害におすすめの市販薬

現代の女性は、時代や文化などが変わったことにより、妊娠・出産の機会が減っているため、月経回数は昭和初期に比べて約10倍に増加したといわれています。そのため、思春期から性成熟期にかけて、月経痛(生理痛)や月経前症候群(premenstrual syndrome: PMS)といった月経や女性ホルモンの分泌が多いことによる疾患・症状が増えているとされています。
症状が軽度であれば、市販薬で様子を見ることもできますが、病院に受診すべき目安も知っておきましょう。今回はPMSや更年期障害などからくる身体の不調やイライラなどの悩み・症状、その違いについて解説します。


※掲載している商品の選定、商品画像や価格、特徴、対応レベル目安などはCureBellの情報を基にしており、監修者によるものではありません。
目次
月経前症候群(PMS)とは
月経前症候群(Premenstrual Syndrome:PMS)は、月経(生理)前に3~10日間くらい続く、精神的・身体的な不調で、生理が始まると自然に軽快・消失します。PMSは20~30代女性に多いといわれており、生理周期も卵巣機能も正常な人に起こります。PMSの原因ははっきりとはわかっていませんが、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌量の変動が影響していると考えられています。
主な症状
症状はざまざまあり、人によって異なります。また同じ方でもその月々によっての違いもあり、PMSの症状は200種類以上もあるといわれています。もし生理前に不調を感じることがあったら、PMSの可能性があるかもしれません。
精神的な症状
精神的な症状の代表的なものとして、以下のような症状があります。
- イライラ
- 怒りっぽい
- 気分の変調(情緒不安定)
- 憂鬱
- 集中力の低下
- 他の人にあたる
身体的な症状
身体的な症状の代表的なものとして、以下のような症状があります。
- 乳房のはり
- 頭痛・頭重
- 疲れ・だるさ
- 眠気
- 肌あれ
- むくみ
- のぼせ
- 下腹部のはり
- 腰痛
PMSにおすすめの市販薬
プレフェミン®
1日1回1錠の服用
こんな方が選択肢に
PMSによる乳房のはり、頭痛、イライラ、怒りっぽい、気分変調などには、プレフェミン®が選択肢となります。
服用可能な年齢は18歳以上からとなりますが、授乳中は服用できないとされております。生理前の3~10日間続く乳房のはりやイライラなどの心身の症状で、生理が始まると軽くなるか消えていく場合に使用が検討できます。
服用のタイミング
服用開始は、生理開始直後(生理の初日)がおすすめです。生理開始直後から飲み始めた場合、1か月程度で症状の改善が見込まれるとされています。
ただし、うつ病の診断を受けた人や漢方製剤を服用中の方などは、医師、薬剤師または医薬品登録販売者に相談するようにしてください。
命の母ホワイト
ホルモンバランスの乱れからくる症状に
●生理、妊娠、出産などで女性ホルモンや自律神経のアンバランスによって起こる症状を改善するお薬です
●11種類の生薬が血行を促し体を温めることで生理時の痛み(生理痛)や頭痛、腰痛やイライラなどの心身不調や生理不順、冷え症などを改善していきます
こんな方が選択肢に
症状が生理周期に伴って現れる方は、生理痛や生理不順、血の道症などに効能・効果をもった命の母ホワイトが選択肢となります。
服用可能な年齢は15歳以上からとなりますが、授乳中は服用できないとされております。
服用のタイミング
生理前から生理中の不調を感じる方は、生理が来るなと感じた時から生理期間が終了するまで服用し、効果を確認すると良いでしょう。
生理不順の方は、生理周期等の影響を考え、1~2ヶ月は服用を続け、効果を確認すると良いでしょう。
PMSは受診することも大切
PMSの訴えでも、イライラや気分変調が強い場合や乳房のはりが強く、日常生活に支障をきたしている場合、またそれらの症状が生理周期にかかわらず続く場合は医療機関を受診するようにしましょう。生理痛がひどくて「仕事や学校を休むほどつらい」場合なども日常生活に支障をきたす場合は受診するようにしましょう。
婦人科では、子宮内膜症や子宮筋腫などの検査を行い、月経困難症と診断されると低用量ピルなど市販薬にはない治療を受けることもできます。
低用量ピルとは
低用量ピルとは、もともとは避妊のために開発された薬ですが、現在では月経困難症(月経痛など)を治療する薬として使われているものもあります。
排卵を抑え、ホルモンの分泌を減少させることで、身体的・精神的なPMSの症状を抑える効果が期待できます。
更年期障害とは
閉経前後10年間を「更年期」といいます。更年期には女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量の低下に伴い、ホットフラッシュ(のぼせや発汗など)、イライラ、不眠、肩こりなどのさまざまな種類の症状が現れます。人によって現れる症状が異なりますが、症状が重く日常生活に支障がある状態を「更年期障害」といいます。
症状には個人差がありますが、早い人では40代になって症状を自覚することもあります。更年期障害を起こす背景には、加齢やエストロゲンの欠乏といった身体的ストレスに加えて、心的ストレスや性格的なものが影響するとされています。
主な症状
症状はさまざまあり、またホルモンの分泌量によっても異なるため、年齢とともに変化すると考えられています。もし40代頃から不調を感じ始めた場合は、更年期障害の可能性があるかもしれません。
自律神経失調
自律神経が関係している症状の代表的なものとして、以下のような症状があります。
- ホットフラッシュ(ほてりやのぼせ、発汗)、動悸、寒気、冷え
- 胸痛、息苦しさ
- 頭痛、肩こり、めまい、疲労感
身体的症状
身体的な症状の代表的なものとして、以下のような症状があります。
- 腰痛、関節痛・筋肉痛、むくみ、しびれ
- 便秘・下痢、吐き気、食欲不振
- 皮膚や粘膜の乾燥、湿疹、かゆみ
- 性交障害、頻尿、排尿障害、月経異常
精神的症状
精神的な症状の代表的なものとして、以下のような症状があります。
- 情緒不安定、抑うつ
- イライラ・怒りっぽい
- 不眠、意欲低下
更年期障害におすすめの市販薬
当帰芍薬散
















































こんな方が選択肢に
体力虚弱で、足腰が冷える方、生理不順がある方など一般的に女性の悩みといわれる月経異常や冷え症などがある方の選択肢となります。
加味逍遙散
●「加味逍遙散」は、「逍遙散」に生薬の牡丹皮(ボタンピ)と山梔子(サンシシ)を加えたもので、『万病回春(マンビョウカイシュン)』に収載されている薬方です。
●体力中等度以下で疲れやすい方の更年期障害や、血の道症などに効果があります。





















こんな方が選択肢に
体力中等度以下で、交感神経の興奮によるイライラや不眠などの中高年女性の精神症状が強い方の選択肢となります。
桂枝茯苓丸
のぼせやすい方、顔はほてるけれど足は冷える方に適しています。
漢方医学にはエネルギーである「気」や、全身に栄養や熱を運ぶ「血」という概念があります。
この「気」が体の上部に集中し、「血」がめぐらずに停滞すると、顔はのぼせて足が冷えやすくなります。
また、「血」の停滞は生理痛や肩こりを引き起こし、皮膚に十分な栄養が届かなくなるため、しみやニキビなどの症状が現れます。
桂枝茯苓丸は「気」を降ろし、滞った「血」のめぐらせることで生理痛や肩こり、シミを改善します。




































こんな方が選択肢に
体力が比較的あり、下半身の冷えが特につらい、シミができやすいなどの方で、一般的に女性の悩みといわれる生理痛、月経不順、月経異常などがある方の選択肢となります。
命の母A
和漢生薬+ビタミン類の複合薬
●デリケートな女性の身体の仕組みを考えて作られた女性保健薬※1です
●13種類の生薬とビタミン類、カルシウムなどを配合※2。穏やかに効いていきます
●血行を促し体を温めることで、女性ホルモンと自律神経のアンバランスから起こるさまざまな身体の不調を改善し、女性の前向きな生活をサポートします
●小さくて飲みやすい糖衣錠です
※1 女性保健薬とは、女性にあらわれる特有な諸症状の緩和と健康増進の目的のお薬です
※2 ホルモン剤ではありません
こんな方が選択肢に
更年期に差しかかり、生理周期に関係なく日常的に不調を感じる方には、命の母A(ダイオウ末、カノコソウ末など)が選択肢となります。
服用可能な年齢は15歳以上からとなりますが、授乳中は服用できないとされております。
服用のタイミング
生理周期等の影響も考え、できれば1~2ヶ月は服用を続け、効果を確認いただくと良いでしょう。
注意が必要なことも
更年期障害でみられる症状(倦怠感や頭痛、吐き気など)は、他の疾患が原因で起こる症状に似ていることもあるため、すべての症状を「更年期障害のせい」と思い込みには注意してください。中には、重篤な病気に発展する恐れのある症状もあります。
自分で更年期障害と判断せず、まずは病院で正しい診断をしてもらうことが大切です。更年期症状がつらく日常生活に支障をきたす場合は医療機関を受診するようにしましょう。
症状を重くしないためのセルフケアも重要
PMSはストレスや喫煙・飲酒など食生活・嗜好品、自律神経の乱れなどで症状が重くなることがあります。また更年期障害にもいえることですが、基本は規則正しい生活リズムや栄養の取れるバランスの良い食事、質の良い睡眠、心身のリフレッシュなどが重要です。日々の生活習慣を見直すことでも症状の軽減が期待できます。
血行が良くなる姿勢などを心がけよう
学校の授業中やオフィスワークなどで長時間同じ姿勢でいることが多いでしょう。椅子に座っているときは浅めに座り、骨盤を立てるなど下腹部に負担がかかりにくく、血流が悪くならない姿勢を心がけると良いでしょう。
また休憩中などは滞った血流を改善するために軽いストレッチを行うと良いでしょう。
身体を冷やさないように
夏場の冷房や冷たい飲み物、冬場の薄着などは身体を冷やす原因となりますので、気をつけると良いでしょう。またお風呂はシャワーだけでなく、浴槽につかることで血行促進により冷えの対策やリラックス効果が期待できます。
無理せず、なるべくリラックスを
痛みに耐えることはストレスになります。痛みなどの症状がひどいときは無理せず休み、リラックスできる環境を心がけることが大切です。ハードワークや立ちっぱなしの仕事など負担が大きいことは避けるようにしましょう。
また家族や周りの方、職場の方に理解してもらい、協力の相談をすることも検討しましょう。