喉がムズムズする・咳が止まらない時の対処法は?

更新日: 2025年06月04日

不快な喉のムズムズやイガイガ、止まらない咳、困りますよね。勉強や仕事に集中できない、熟睡できないと悩んでいる方もいるでしょう。これらの困った症状を改善するための対処法や考えられる原因について解説します。

この記事の監修者
檀上 大貴
医薬品登録販売者。大手ドラッグストアでの勤務を経験後、ウィルベースに入社。ドラッグストア等向けにOTC(市販薬)販売のコンサルティング、OTCに関する各種リサーチを行っている。

※掲載している商品の選定、商品画像や価格、特徴、対応レベル目安などはCureBellの情報を基にしており、監修者によるものではありません。

喉がムズムズして咳が止まらないときの対処法



「喉がムズムズ・咳が止まらない」といったときはどうすればいいのでしょうか?まずは対処法を詳しく見ていきましょう。

喉を休める

大声を出す、刺激物を食べる、喫煙、飲酒などは喉の症状の悪化につながることがあります。

どうしてもしゃべらなくてはならない場合を除いて、できるだけ声を出さないようにしましょう。大声を出したり、カラオケで歌ったりするのはもちろん、おしゃべりも最低限に留めます。

また、炎症を起こしている喉にとっては、日頃何気なく口にしているものでも刺激になりかねません。症状が治まるまで、辛いものやスパイスを使ったもの、熱いものは避ける方が良いでしょう。

喫煙や飲酒も喉の負担になります。健康のためにも、普段からなるべく控えるようにしましょう。

水・のど飴・ハチミツなどを口にする

喉がムズムズ・イガイガする原因の一つが乾燥です。喉の水分が奪われることで、刺激に過敏になり、咳が誘発されやすくなります。

そのため、空気が乾燥しているときは、水を飲んだり、のど飴をなめたりして喉を潤しましょう。医薬品に分類されるのど飴には、喉の炎症や咳を抑える有効成分が配合されているものもあります。症状に合わせて使い分けるのがおすすめです。

また、粘度のあるハチミツは、炎症を起こして荒れた喉の粘膜を保護し、乾燥を防いでくれると言われています。ただし、1歳未満の乳幼児にハチミツを与えるのは厳禁です。食中毒の一種である乳児ボツリヌス症を発症する恐れがあります。
参考:厚生労働省HP

マスクや加湿器を使う

喉の乾燥は喉の防御機能の低下にもつながります。細菌やウイルスに感染しやすくなるため、乾燥が気になるときはマスクを着用しましょう。

近年では、冬だけでなく夏でも、エアコンの使用によって空気が乾燥しやすくなっています。室内の場合、適切な湿度は40~60%とされています。加湿器を活用して、湿度調整を行うようにしましょう。

喉がムズムズするときや外出後は、うがいも有効です。ホコリや花粉、細菌、ウイルスといった異物を洗い流す効果も期待できます。

空気清浄機を使う

室内の場合、空気中のハウスダストも喉のムズムズや咳の原因の一つです。空気清浄機で除去することで、症状の緩和につながります。また、加湿器の機能を兼ね備えているものなら、室内の湿度も調節できます。

市販薬で様子を見る

症状が軽い場合は、市販薬でしばらく様子を見てもよいでしょう。薬の種類としては、以下のようなものがあります。

分類 薬の種類 主な有効成分 期待できる効果
内服薬:体の中から症状を抑える 抗炎症薬 トラネキサム酸 炎症や痛みを起こす物質の産生を抑制する
抗ヒスタミン薬 マレイン酸カルビノキサミン、クロルフェニラミンマレイン酸塩など アレルギー症状を抑える
去痰薬 L-カルボシステイン、ブロムヘキシン塩酸塩など 痰の切れをよくする、痰の粘り気を抑える
漢方薬 カンゾウ、キキョウなど 炎症を抑え、喉の痛みや咳を緩和する
外用薬:炎症に直接作用する トローチ デカリニウム塩化物、グリチルリチン酸二カリウムなど 喉の炎症や痛みを抑える
スプレー・うがい薬 ポビドンヨード、アズレンスルホン酸ナトリウムなど 殺菌作用、抗炎症作用など

しかし、副作用のリスクがないわけではありません。用法用量を守って服用することが大切です。また、持病がある方やすでに服用している薬がある方は、担当医師や薬剤師などに相談しましょう。

なお、数日間使用しても改善が見られないときや、体調に変化があったときは服用を中止して医師、または薬剤師に相談しましょう。

医療機関を受診する

市販薬で症状がよくならないときは深刻な病気の可能性もあるため、早めの受診が必要です。

受診すべき診療科は症状によって異なりますが、迷った場合はまずかかりつけ医や一般内科に相談するとよいでしょう。

喉がムズムズして咳が止まらないときに考えられる原因



喉がムズムズしたり、咳が止まらなかったりするようなときは、何らかの原因で粘膜に炎症が起きているのかもしれません。

アレルギー

人間の体には、有害なものや異物を排除しようとする働きが備わっています。しかし、過剰に働いてしまうとくしゃみや鼻水、目のかゆみなどのアレルギー反応が表れます。喉のムズムズや咳も、アレルギーの症状の一つです。アレルゲン(アレルギーの原因)となるものには、食べ物や花粉、ダニ、ハウスダストなどがあります。

食物アレルギー

食べ物によるアレルギーではさまざまな症状が現れることがあり、30%程度の割合で、呼吸器や粘膜の症状が現れると言われています。その場合、喉の違和感やかゆみ、咳などが現れることがあります。

食物アレルギーは重篤な症状(アナフィラキシー)が現れ、命にかかわることもあるので注意が必要です。

花粉症

主に鼻や口から入り込んだスギやヒノキなどの花粉によって、喉や鼻の粘膜で引き起こされるアレルギー反応の総称です。喉のムズムズや咳のほか、目のかゆみや鼻水、くしゃみなどの症状が見られます。

花粉症が起こる時期は、アレルゲンとなる植物によってさまざまです。たとえば、スギ花粉によるものの場合、花粉が飛散する年初から5月頃まで症状が現れることが多いです。

アトピー咳嗽(がいそう)

喉の違和感を伴う慢性的な咳を指します。アレルギーのある人に多く見られるのが特徴です。

就寝時・深夜から早朝・起床時に症状が起こりやすいため、喘息と混同されがちですが、特有の喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという音)はありません。また、喘息の治療に用いられる気管支拡張薬で治まらないことでも判別されます。

気管支喘息

いわゆる喘息のことです。主な症状は激しい咳と特徴的な喘鳴です。喘鳴は、炎症によって狭くなった気道(空気の通り道)を、空気が無理に通ろうとするために起こります。重症になると呼吸困難になることも珍しくありません。

咳喘息

咳だけが長期間続くものをいいます。喘息の亜型とされますが、喘鳴はありません。喘息に用いられる気管支拡張薬が有効という点で、アトピー咳嗽と異なります。

なお、適切な治療をしないと、成人の場合、30~40%が気管支喘息(典型的喘息)に移行するとされています。

また、胸の痛みや息苦しさを伴う場合は、肺がんなど深刻な病気の恐れもあるため、医療機関を受診しましょう。

風邪などの感染症(咽頭炎・喉頭炎・扁桃炎など)

ウイルスや細菌が喉の粘膜や周囲の組織に感染・増殖すると炎症が起こり、痛みが発生します。

くしゃみや鼻水、鼻づまり、頭痛や発熱を伴うことも多く、特に扁桃炎の場合、熱が高くなる傾向があります。

通常、数日で症状は軽快しますが、なかなか改善しない、息苦しさや高熱、緑や黄色の痰を伴う場合は早めに医療機関を受診しましょう。肺炎の恐れもあるためです。肺炎は重症になると入院治療が必要になることが一般的です。

後鼻漏

粘りのある鼻水や多量の鼻水が喉に流れ込む症状です。喉の違和感や不快感、咳などにつながります。また、鼻水が喉の粘膜に張りついて炎症を引き起こすこともあります。

後鼻漏の主な原因は、風邪などの感染症やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などです。

その他の病気

そのほか、喉のムズムズや咳が起こる病気として、胃食道逆流症や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などが挙げられます。

病気以外の原因

喉のムズムズや止まらない咳の原因は病気だけではありません。症状が起こるきっかけとなることは、日常生活の中にも見られます。

例えば、寒さや乾燥、ほこり・ハウスダスト・タバコの煙・アルコールなどです。加齢やストレスからくる自律神経の乱れによる唾液の減少・喉の粘膜の乾燥なども原因になります。

まとめ

「喉のムズムズや咳ぐらい…」と我慢してしまうかもしれませんが、なかなか止まらない咳を伴うときや、症状が長引く、何らかの異常を感じるといったときは、医療機関を受診しましょう。不快な症状を改善できるだけでなく、思わぬ病気が原因になっていることもあるためです。

特に持病のある方は悪化の恐れもあります。「ちょっとおかしいかも?」と思ったら、早めの診断・治療を心がけ、快適で健康な毎日を実現しましょう。

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