肝臓がボロボロになる前に!その改善ケアとは?

更新日: 2025年09月29日

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるように、症状が出る頃にはかなり疲れているケースも少なくありません。毎日の食事や飲み方で、知らず知らずのうちに負担をかけている臓器の一つ。この記事では、肝臓に良い食べ物や飲み物、サプリの選び方、そしてお酒との賢い付き合い方など、肝臓を長く健康に保つ具体的な方法をご紹介します。

「肝臓のことはあまり気にしたことがなかった」「仕事上飲み会が多い」と言う方は、必見です。

この記事の監修者
日野 萌菜美
管理栄養士・登録販売者
調剤薬局にて栄養相談や市販薬・サプリメントのアドバイスに携わり、幅広い健康ニーズに対応。現在はウィルベースにてSNSを中心に情報発信を行い、専門家の立場から市販薬やサプリメントの正しい選び方をわかりやすく解説。生活者が安心してセルフケアに取り組めるようサポートする活動に力を注いでいる。

※肝臓病などの治療を受けておられる方は、食品やサプリメントの摂取について、かかりつけの医師に相談していただくことをおすすめします。

肝臓の役割とダメージの原因

肝臓の主な働きと健康への影響

肝臓は休むことなく働く「体内の化学工場」です。食べ物をエネルギーに変える代謝機能、有害物質を処理する解毒機能、免疫を支える防御機能など、多くの役割で健康を守っています。機能が低下すると全身の不調や病気のリスクが高まるため、肝臓の健康維持は日々の生活の要です。

    • 栄養代謝 
      肝臓は、胃や腸で吸収された栄養素を利用しやすい形に変えて貯蔵し、必要に応じて供給する代謝機能を持っています。糖質や脂質、アルコールの過剰摂取はこの機能を損ない、脂肪肝などの原因となります

    • 解毒作用
      肝臓は、アルコールや薬などを代謝する際に生じた有害物質を分解する解毒機能を備えています。

    •  胆汁の生成
      胆汁は脂質の消化吸収を助け、コレステロールや老廃物を体外に排出する機能を持ちます。流れが悪くなると皮膚や白目が黄色くなる黄疸が現れます。

    • 免疫機能
      肝臓には免疫細胞が多く存在しております。免疫細胞はクッパー細胞が異物や細菌を食べ、NK細胞が感染や老化した細胞を処理し、全身の免疫システムを支えています

飲みすぎ・食べすぎ・不摂生…肝臓が悲鳴をあげる瞬間

会社の付き合いで飲み会が多い方や、お酒が好きでよく飲む方は、飲酒が肝臓に与える影響を一度は意識したことがあるのではないでしょうか。肝臓はアルコールや有害物質の解毒を担う重要な臓器であり、特にアルコールと肝臓の健康には深い関係があります。

飲酒によって体内に入ったアルコールの大部分は肝臓で代謝されるため、過剰なアルコール摂取は肝臓機能に大きな負担をかけます。その結果、肝臓に中性脂肪がたまり、脂肪肝やアルコール性肝炎、さらには肝硬変へと症状が進行してしまうことがあります。

こんな症状は危険信号!肝臓のSOSサイン

肝臓が疲れてくると、体にはさまざまな変化が現れます。本来であれば肝臓が解毒するはずの老廃物が処理されず体内に残り、エネルギーとして代謝しきれなかった糖質や脂質、アルコールは中性脂肪として蓄積されます。

肝臓の不調が原因でみられる主な症状は、全身の倦怠感、食欲不振や吐き気、腹部の膨満感や足のむくみなどが挙げられます。

肝臓に良い食べ物と飲み物

肝臓の健康維持をサポートする主な食材と避けたい食品

肝臓の健康を保つためにまずは、個人の適正量に合わせた食事にすることが大切です。そして「バランスの良い食事」が基本になります。「バランスの良い食事」とは、主食(ごはん、パン、麺など)と主菜(肉・魚・卵・大豆製品など)と副菜(野菜、きのこ、海藻など)が毎食そろった食事です。
これらを基本とし、肝臓の健康維持をサポートする食材5つをご紹介します。

  • 海藻(コンブ、ワカメ、モズクなど) 
    ビタミンやミネラルが豊富で、ぬめり成分のフコイダンが肝細胞の再生を促し、肝臓機能を高めるという作用が期待されています。

  • しじみ
    オルニチンが有害な物質であるアンモニアの代謝、解毒を促進し、タウリンが肝臓の働きを助けます。

  • 牡蠣
    ビタミン・ミネラル・アミノ酸が豊富で、肝臓での解毒作用に関わるグリコーゲンも多く含まれます。

  • 枝豆
    良質なたんぱく質が含まれており、中でもメチオニンがアルコール分解を促進し、肝臓の働きを助けます。

  • 豆腐
    消化吸収が良く、必須アミノ酸のバランスが良いことから肝臓の材料としても適しています。

※C型肝炎や脂肪肝など、特定の肝臓病では肝臓で鉄分が過剰に蓄積すると病状が悪化するため、必ず医師や管理栄養士に相談し、指導を受けることが重要です。

一方で、気を付けたいのが、動物性油を多く含む肉やバター、糖質を多く含む清涼飲料水(エナジードリンク等)やお菓子などの嗜好品です。

肝臓をサポートするサプリメントの成分

次に、肝機能にプラスの働きを期待できる成分の特徴と効果を見てみましょう。

成分名 主な食材 特徴
タウリン 牡蠣、しじみ、ほたて、たこ 肝臓の働きを助ける
オルニチン しじみ、あさり、キノコ類 肝臓の解毒作用を助ける
シリマリン マリアアザミ(ミルクシスル)の種子 ポリフェノールの一種。抗酸化作用が期待できる
クルクミン ウコンなど ポリフェノールの一種。抗炎症作用が期待できる
スルフォラファングルコシノレート アブラナ科の野菜 解毒作用の活性化、抗酸化作用などが期待できる

お酒を楽しみつつ、肝臓を守るスマート習慣

一日のお酒はどのくらいが適量?

健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」を、1日当たりの純アルコール摂取量が男性で40g以上、女性で20g以上と定義しています。なお、アルコールによる影響には個人差があり、また、その時の体調等によっても影響が変わり得ます。

性別 生活習慣病のリスクを高める飲酒量 ビール量
(アルコール度数5度の場合)
日本酒量
(アルコール度数15度の場合)
男性 40g以上 約1,000mL 約2合(360mL)
女性 20g以上 約500mL 約1合(180mL)

※「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」から各飲料のアルコール度数を用いて試算

翌朝も二日酔い知らずの飲み方~外でも安心!

楽しいお酒の席でも、翌日の二日酔いやその場での悪酔いは避けたいものです。ここでは、飲酒をより安全に楽しむための、事前にできるシンプルで効果的な対策を紹介します。

    • 空腹で飲まない
      食べ物や飲み物を胃に入れておくとアルコールの吸収が穏やかになり、悪酔いを防ぐことができます。

    • 体調を整える
      寝不足や疲労は肝臓の代謝機能を低下させるため、体調が悪いときは飲酒を控える。

    • ルールを決める
      飲む量や時間を決め、ビンごと置かない・少量缶を活用するなど環境を整える。

二日酔い対策サプリメントやドリンクも選択肢

もちろん、お酒を避けられない場面もあるでしょう。そんな時は、ウコン配合のドリンクや二日酔い対策サプリメントを事前に摂取しておくと安心です。

ただし、ウコンは肝臓に良いとされる一方で、大量摂取により肝障害を起こした事例が報告されてるため注意が必要です。肝機能に不安がある方は、これらを使用する前に医師、または薬剤師、登録販売者に相談することをおすすめします。

近年は、二日酔いや悪酔いを防ぎつつ肝臓を労わるためのドリンクを選べる時代になりました。

スマドリ(Sumadori)
スマドリという言葉をご存知ですか?これは、アサヒビールが提唱する「スマートドリンキング」の略で、体質や気分、シーンに合わせてお酒やノンアル飲料を楽しむ新しいスタイルです。0.00%ノンアルから低・微アル、通常アルコールまで幅広く揃います。

沈黙の臓器を守るための5つの鉄則

肝臓は「沈黙の臓器」。自覚症状が出にくいため、異常に気づくのが遅れがちです。年1回以上の健康診断や血液検査で肝機能の数値を確認し、早期発見・早期対策につなげましょう。

肝臓を守るためには、日々の生活習慣が鍵です。

① バランスの良い食事を摂る
② 適度な運動で脂肪肝を予防する
③ 十分な休養と節度ある飲酒で負担を減らす
④ 飲酒との上手な距離感
⑤ スマートドリンキング

これらの5つを意識して肝臓の健康を保っていきましょう。

まとめ

沈黙を保ち私たちを支え続ける肝臓。飲み会の頻度が多かったり食生活が乱れていたりして「あまり気にしていなかった」と感じる方は、今一度肝臓に向き合ってみませんか。今回ご紹介したおすすめの食べ物やサプリメントを是非取り入れて、肝臓を労わる一歩を踏み出してみてくださいね。

 

<参考文献>